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雲が好きなんだ〜空にドラゴンと龍を見た話〜

作者: 歌川 詩季

 雲が好き!


※ 武 頼庵(藤谷 K介)先生 主催の【24夏のエッセイ祭り】参加作品です


※noteにも転載しております。

 空は好きです。


 朝焼け、夕焼けや夜空とのグラデーションはもちろん。

 そこを(めぐ)る太陽も。

 色とかたちと、サイズを変貌()える月も。

 弱い視力には、星座を(えが)くにも脆弱(ぜいじゃく)すぎる星たちも。


 そして、私は雲が好きです。


 好きになったのはいつからだか?

 でも、そのきっかけはわかります。


 雲を、「立体」でとらえるようになってから。


 星座のせいか。プラネタリウムのように、星たちをはりつけた天井——広大な平面として、夜空を見てしまうもの。

 だから、昼なかの空も。水色の画用紙に白い絵の具を塗りつけたみたいに、雲のことを見てしまっていたのです。


 夜空はいまだに、天井として見てしまいますし。

 雨雲のように、面として覆う雲もそう。


 だけど、青空に浮かんだ、白くはっきりした輪郭と存在感をもつ雲。

 あれを凝視し、その陰影からきちんと解析すれば。

 雲は、たまらなく立体なのです。


 入道雲って言うんですか?

 あ、積乱雲とおなじなんだ?

 あれを見るたびに、空は平面でなく、雲という立体を浮かべた空間だとわかるのです。


 だから、雲が好き。

 雲は、空を平面でなく空間だと、気づかせ直してくれるから。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 私が、いままで見た雲でとくに好きだったものがふたつ。

 そのふたつに。

 私はそれぞれ、ドラゴンと龍を見たのです。



 台風の朝、おおきな雲が強い風で、たやすく目視できるほどの速さで流されていきました。

 たくさんの、ごつごつした雲の塊が群れをなして、雄大に空を渡ってゆく。

 そこに翼と尾を見たとき、私は空を埋めるドラゴンの大群に遭遇したのでした。

 いや、じっさいに目にすることがあるなら、まさにこんな光景なのだろうなと思います。

 空を渡るドラゴンの群れ。

 この世界では目にできるはずのないものを、私は見せてもらったのです。



 翼をはやした大トカゲのドラゴンだけではなく。

 長い蛇のような体躯(からだ)をもつ龍にも、逢えたことがあります。

 あれ、飛行機雲なのかなぁ?

 ふつう、飛行機雲って、アスファルトにチョークをひいたような、かすれたイメージなんですけど。

 あれは、もっと鮮烈な存在感があって。太さや白さだけではなく、龍が鱗を逆立てた腹を見せて。こっちの地平線からむこうの地平線まで、アーチをかけながら両断していたのですから。

 ささくれたような形状は、腹よりも背を思わせはしましたが。龍が背泳ぎのように飛ぶとは考えにくい(絵的に面白いですが)ので、たぶんあれは腹なのでしょう。

 今まで見た、どの飛行機雲ともぜんぜんちがう。

 平面の青空にひいた線ではない、蛇のような胴体をしたあの雲は、アーチをかけて空を両断する白龍の腹だったのです。



 私はかつて、ドラゴンと龍を空に見ました。

 それを見せてくれた雲が好き。

 そして、雲を()でるのを忘れなければきっと。

 きっと、また。

 私はいつか、ドラゴンや龍を目にすることができるでしょう。

 空は見てて、飽きないですね。

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24夏のエッセイ祭り
バナー作成/武 頼庵(藤谷 K介)先生
― 新着の感想 ―
[一言] 昔、ちょっとスピリチュアル的な治療の先生のところで、竜にしか見えない雲の写真を飾っているのをみました。 龍の雲という感じで検索をかけると画像がいろいろ出てくるんですが、書き物の場合も多いで…
[良い点] ドラゴンの群れ、見たいー!! なんて勇壮(≧▽≦) 空も雲もすごく好きです♪ 最近は娘といろんな動物を見つけけてますが、互いにどう見えるかの解釈が面白いです。なるほどなぁってなってます。 …
[良い点]  ドラゴンの群れ。空渡る龍。  見間違いかもしれない。でも、見間違いではないかもしれない。  だったら「そう」だと思う方が、何倍も楽しいですよね!
感想一覧
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