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「暮らし」など

やまい

作者: 維酉

あなたの面影を

ひとつ写真にふうじこめれば

ことばかぎりの愛でさえ

すこし美しくなれる

ましてや

あなたが微笑むそのさまは

ことばをもたない愛であれ

ずっと美しい


生活を、慈しむように

だれかの形跡をたどりながら

時間を編み、休息をとり

たるまない筆跡を遺す

息をしながら生きているのは

そうしなければ不器用だからで

ふとしたときに、息苦しい

厄介な不治をわずらいつつ

あなたの居場所をおぼえていて

それはわたしの隣であり

またはわたしの目の前であり

常にかたちある温度で

はっきりとわかる


季節のかわりめが

いつも億劫な空気をもちこんで

すこしくしゃみをしてしまう

自然の揺らぎは、胸のなかで

不安定なゆがみを生みだす


手を洗い

つまり水に濡れた手の

つめたさ、凍ったようなつめたさを

タオルのなかにしまいこんで

時間の違いと、無意識なこころのゆがみを

ごまかすように生きている

あなたはどこか淋しそうな顔をしている

純粋で、ただそれだけのものが我々の奥に潜んでいる気がする

土に深く、深く埋めた

一年前、一月前、昨日、あるいは一秒前のことをまた掘りかえしている

あなたは穏やかにわたしを抱きしめ

わたしは、原子の配列、分子の構造をたしかめながら

いずれ崩れさることばを

静かな面持ちで眺めている

まるでそこに凡てあるかのように

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