4話 月夜との戦い
歩けもしないのに戦えるはずがない。
こんな少女に負けたくないし、勝ちたくもない。
月夜が何故か持っていた剣を一本俺に投げる。
重い。
本物の様だ。
「先に抜きな。殺していいから安心して。言っておくけど、私に負けたら酷い事になるよ」
月夜が剣を鞘から抜きながら言う。
俺も一応、座ったまま構えるが、戦わない方法を探していた。
「じゃあ、行くよ」
月夜が剣を振り下ろす。
!!
こいつは強い!!
ただの少女ではない。
理由は分からないが、それは分かる。
殺気があの鬼よりも強い。
月夜の剣を避け、脇を駆け抜ける。
そして、背後から首に剣を突き付ける。
「俺の勝ちだ。剣を置け」
良かった。怪我をさせずに勝つことが出来た。
それよりも俺、立ってないか?
月夜の脇を駆け抜けたよな?
「いやいや正直驚いたよ。まさかここまで速いとはね。私の負けだ。君は君で走れたことに驚いているようだけど、私に勝ってしまったという事に驚いて欲しいものだよ」
月夜がさほど悔しくなさそうに言う。
しかし、月夜が俺に向かって振り下ろしていた剣は地面に当たり、折れていた。
この少女、まじで俺を殺す気だったらしい。
可愛い顔して、とんでもないことしやがる。
「どうだい?こんなに可愛い子に剣を突き付けるという状況はドキドキするだろう?私はどんなHな事をされてしまうのかな?抵抗もできないみたいだしね」
月夜は自分が可愛いという事をしっかり理解しているらしい。
「でも、四方田君にだったら、何されてもいいかな。命令されたら、リードして色々教えてあげるよ?」
女の子と関わる機会は少なかったが、分かる。
こいつは俺に気なんてないのに、好きなふりをして遊ぼうとしている。
「どうでしたか?少しは手加減……」
あの憎き鬼が入って来る。
月夜に剣を突き付けたままの俺と目が合う。
「月夜様が負けただと?こんな平和ボケした戦闘経験0の奴に?」
鬼が言う。
確かにただの少女ではないようだが、少女は少女だ。
隙さえ見つけられればどうにでもなった。
今まで歩けなかったからと言って、俺を舐め過ぎだ。
「はぁ……。さて、私に勝ってしまったんだ。閻魔様の所に行こう」
あれ?『閻魔』って言った?
俺、まだここが地獄じゃない説を推していたんですが?




