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1話 死んで地下に

 俺は今死んだ。


 体から魂が抜け出ており、宙を漂っている。

 普通なら、自分の亡骸を眺めるのだろうが、多分バラバラだ。

 見たくない。


 移動も出来ない俺は走馬灯のように過去を思い返す。


 俺の名前は四方田 啓利。ごく普通の高校三年生だった……と言えれば、どれほど良かった事か。

 俺は生まれつき足が不自由だった。感覚すらなく、歩く事など夢のまた夢。


 それが原因で特別いじめられるという事もなかったが、地獄の様な毎日だった。見下しや憐みの目が、俺の人生に価値などないと伝えてくるのだ。

 田舎の学校で一番足が速いだけで、上から「元気出せよ」なんて言ってくる。県大会にも進めない程度の奴らが心の中で馬鹿にしてくる。


 偉そうにしやがって。小さな世界で平均点を超えているだけのくせに。


 運動も勉強も友達も出来ない俺は、順調に性格は歪み、タピオカに数時間並ぶ人を馬鹿にするのだけを生きがいにしていた。


 そして、就職の時期になり、世界に絶望した。俺を必要とする人間なんてどこにもいない。

 せめて体さえまともであれば……。

 俺にこんな不完全の体を与えた神を恨んだ。


 そんな時、駅のホームから、車椅子の操作をミスって落ちた。普段だったら、そんな線路ギリギリは進まないし、十年以上使っている車椅子の操作をミスる事なんてない。

 死んでもいいと思っていたのかもしれない。

 電車が来て、死ぬ瞬間も何も思わなかった。


 さて、死んだ後も自我があるという事はあれである。

 異世界転生。

 一体、どんなチートを与えられるのだろうか。胸が膨らむ。


 体がゆっくり空に向かい始める。

 さあ、出来ればゲームの様な世界がいい。

 そこなら無双できそうな気がする、


 唯一の特技はゲームだ。


 先程までのゆっくりした上昇が嘘のように、超高速で体が地面に向かう。

 うーん。

 これはまずいやつ。


 激突する。

 痛い。体が信じられない速度で地面の中を進む。

 激痛だ。魂の状態で痛覚があるとは……。

 むしろ、痛すぎて痛くない。

 そんな訳はない。死ぬほど痛い。


 これって……。

 なるほど、最近のトレンドは地下からの異世界転生か。


 まさか、俺が地獄なんてことないもんな?

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