9話 シロ
月夜が俺の腕の中の少女の頭を撫でる。
そういえば、抱きしめたままだったな。
「そして、この子の名前が……。忘れちゃった。閻魔様、分かるかい?」
「覚えてるわけないだろ。そんなクソ奴隷。『タマ』とか覚えやすくていいんじゃない?」
どうやら、この少女は閻魔に嫌われているらしい。
そういえば、月夜も大罪人らしいな。
……。
俺は大罪人グループじゃないよね?
白髪の少女に服を引かれ、下を見る。
「ヨモが私の名前つけて」
もしかして、名前ないのか?
責任重大だな。
タマは違うが、猫っぽい名前がいいと思うんだよな。
うーん。
「閻魔様なのにそういう所良くないと思うよ。新人たちに舐められない方が良かったんじゃないのかい?」
「うるせえよ。そもそも、説明は月夜の仕事だろ。君みたいな罪人と違って、僕は忙しいの。もう1000年地獄に閉じ込めてやろうか?素人に負けた雑魚が!!」
「神器盗まれた雑魚神様が何を抜かすんだい?」
「あー!!言っちゃいけない事言いやがったな!!もしこの任務に失敗したら、無限に地獄に閉じ込めてやる」
「……ごめんなさい。私、閻魔様の事が好きで……。ついつい意地悪言っちゃうんだ……。でも、本気で思ってるわけじゃなくて。閻魔様がかっこよすぎるから」
「いや、僕、君の心読めるから。ふざけんなよ」
後ろが何やら騒がしいが、決めた。
やっぱり、シンプルなのが一番いい。
「『シロ』ってどう?」
数秒、目が合った後、ゆっくり頷いてくれた。
「シロ、気に入ったなら、『にゃー』って言って」
「にゃー?」
シロは自分の行動に自信がないらしく、鳴いた後、首を傾げた。
心臓を抑える。
死ぬほど可愛い!!
「死ねばいいのに」
アリスが呟いた。
俺は人の心を読めはしないが、これは本心だと分かる。
胃を抑える。
死ぬほど痛い!!
「これパーティ編成ミスったかな」
閻魔様が呟く。
「なあに、めんどくさい色恋沙汰になったら、私がヨモ君を大人の女性の魅力で落とすから問題ないさ」
月夜が何やら物騒な事を言っていた。




