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93 小さな一歩

短めです。

「あれ、今回は周真面目だな」


 休み時間に授業中に板書された内容をまとめたノートを眺めていると、話しかけにきた樹がやや驚いたような声を上げた。


 見返しやすく要点をまとめたノートはかなり見やすいと自賛できるほどのもので、樹もノートを覗き込んで「うへえ、きっちりしてら」と呆れと感嘆のどっち付かずな様子を見せている。


「ん……まあ、ちょっと頑張ろうって思って」

「どういう風の吹き回しだ?」

「いや、まあ……もう少し、自分に誇れるようになろうかと思って」


 うだうだしてないで卑屈にならない、自分に自信を持つ、という努力目標があるので、取り敢えず自信をつける第一歩として成績を上げる事にした。

 おあつらえ向きにテストが待ち構えているので、そこでいつもよりいい点数を取ろう、という事である。


 周は元々成績はよい方ではあるのだが、折角なので十位以内を目指す事にしていた。

 流石に真昼から一位奪取なんてまず無理なので、一旦十位以内を目処にしている。成績が進学にも強く関わってくるので、丁度いいと言えば丁度よかった。


「いい男のなり方なんて分からんし定義は人それぞれだからな。取り敢えず、隣に居て恥ずかしくない人間になろうかと」

「別に、今のままでもいいと思うけどな。自信さえつければ」

「自信をつけるためにもって事だよ」


 今はまだ励まされただけで全部自分に自信が持てるとかではないし、やはり自信を持つに相応しい事を成し遂げる必要がある。

 といっても、今のところ周に出来そうなのは勉強くらいなのだが。


「髪はしないのか」

「それとこれとは話が別だし。今はまだ、いい」


 例の男フォームを普段からしろという事なのだろうが、今の状態でやっても周に自信がつくという訳ではない。

 それと、単純に今話題の男として登場してしまうと男子からの嫉妬で殺されそうな気がしたので及び腰になっている、というのも大きい。


 真昼の大切な人発言はかなりの男子にショックを与えた。


 基本的に恋愛のれの字も話題に上がらなかった天使様が自ら口にした『一番大切な人』という言葉は、彼女に恋する男子の心をへし折るには充分な威力だったらしい。


 かつては共に歩く姿を見られたが特にそういう関係ではないと否定されたものの、今回の真昼はあえてほのめかすように言ったため憶測が憶測を呼んで大変な事になっている。


 例の男である周としては、例の男の正体についてあまり盛り上がらないで欲しかった。


「オレとしては、早く周にはビフォーアフターしてもらってみんなの度肝を抜きつつ、オレの自慢の友達なんだぜとドヤらせてほしい」

「何の意味が」

「んー、周が正当に評価されるって事が普通に嬉しいからかな?」

「……そうかよ」


 なんというか、そういう事を言われると微妙に気恥ずかしくなるのは気のせいだろうか。


 我ながらよい友人を持っていると実感しつつ、それは表に出さないようにしてふいと顔を背けると、樹は全部お見通しのように愉快そうに声をあげて笑った。

(別にハグが日課になっている訳ではないですよ……)

あと、気づけばもう少しで百話ですね!

さすがに企画とかやるのは佐伯の体力と時間的に厳しいものがありますので、余力があれば何か考えておきますー(ㆁωㆁ*)

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