265 学校でのお祝い
短め。
「……その様子だと、昨日はお楽しみでしたねえ」
誕生日翌日の学校は、やはりというか樹にからかわれる事になった。
職員室に用事があるらしい真昼と一旦分かれて教室に入ったら、にやにやした樹に出迎えられた。ちなみに千歳はまだ登校していないようだ。
「意味深な言い方すんな。普通に祝ってもらっただけだよ」
「またまたぁ」
「お前な」
「冗談だって。さておき、椎名さんの仕込みはばっちりそうでよかったよ」
眉尻を吊り上げた周を宥めるように肩を叩いた後訳知り顔で頷いている樹に、周は責める事は出来ずに小さく唸ってからそっとため息をついた。
「……真昼が協力してもらったみたいでありがとう」
「つってもオレは何にもしてないけどなあ。どっちかって言うとちぃとか木戸さんの方が色々と相談に乗ったり手伝ったりしてたし」
「それでもわざわざ隠してたんだろ。ありがたい限りだよ」
「まあ、折角ならサプライズがいいだろうしなあ。満足のいく誕生日を過ごせたみたいでよかったよ。改めて、誕生日おめでとう」
一番の気遣い屋でもある樹はなんて事のないように笑って肩を叩いてくるので、周は嬉しさと気恥ずかしさに緩みそうになる頬を噛みながら「……おう」と小さく返す。
この場には居ない千歳にも後で礼を言わなければならないだろう。恐らく結構に真昼の相談に乗った筈だ。
こうして誕生日を祝ってくれる友人が居るという事に幸せを噛み締めながら息をこぼすと、話を聞いていたらしいクラスメイトが寄ってきた。
「え、何藤宮君誕生日だったの?」
「そうそう昨日誕生日だったんだよ」
樹が肯定すると、クラスメイトは「えー!」とやや大きな声を出してこちらを見てくる。
「何で言わなかったのー。椎名さん達も何も言ってなかったから全然気づかなかったし!」
「え、いやサプライズだとかなんとかで……」
「なるほど。でも言ってくれないのは水臭いな……今日何にもないんだよね……ジュースでいい?」
「じゃあ俺この飴ちゃんをやろう。期間限定なめたけご飯味」
「それ絶妙にまずいやつじゃん、押し付けんなよ」
「なにおう! この絶妙な味が癖になるんだよ!」
「味音痴乙ですわ」
話を聞きつけたらしいクラスメイトがわらわらと寄ってくるので非常に困惑する周に、樹は小さく笑って「気のいい奴らなんだよなあ、素直に受け取っとけ」と囁く。
周がみんなの前で変わる事を決めてから、クラスメイトとの距離は多少近くなっていたとは思ったが……こうして何の気兼ねなしに話しかけてきて祝ってくれるというのは初めてで、無性に胸が熱くなった。
閉じこもったまま、人と関わる事を避けたままだったら、今こうして人に囲まれる事なんてなかっただろう。
「……その、みんなありがとう。すごく嬉しい」
気恥ずかしさを隠し切れない声のままお礼を言うと、周囲のクラスメイトは明るい笑顔を浮かべたので、周はもう一度小さく「ありがとう」と呟いた。
(更新してなくて申し訳ない限りです;;作業が終わらない;;)
取り急ぎお知らせをいくつか
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・活動報告にぷらいべったーにあげていたSSのログをアップしています。○○の日SSだったりツイッターアンケートで決まった小話です。
作業終わってないのでとりいそぎご報告までに。
5巻は関係性が変わった後のお話ですのでこれまでより甘々になってます。書き下ろしもきっちり入ってるのでよろしければ予約していただけましたら幸いです。