192 二人の当たり前
今回短めです。そろそろ文化祭編に入ります。
甘えたがり且つ甘やかしたがりな真昼が我に返って周の膝から退いたのは、数十分後の事であった。
自分で大胆な姿勢を取っていた事に気付いて真っ赤な顔になったのは、周としては見ていて可愛らしかったし微笑ましかった。
正直言えば幾ら彼女が両足でなく片足に跨がっていたとはいえ、体勢と距離的に段々恥ずかしくなってきていたのだが……真昼が周の分まで恥じらい慌てるのを見て少し余裕が出来たのである。
「……止めてくれると嬉しかったのですが」
「いや、つい。真昼は真昼で俺を甘やかそうと一生懸命だったから止められないし」
「せめてそれとなく言ってください」
「無茶言うなよ」
周は周で割とどきどきしていたし、真昼のハグを堪能していたのでどうしようもなかった。本人にはあまり言えないが。
そ知らぬ顔をする周に真昼は微妙に眉を寄せていたが、そもそも足に乗ったのは真昼からなので強く言えないらしく「もう」と小さくこぼす。
「……私は、周くんを好きが故に意図せず大胆な事をしてしまうのです。ストップをかけてください」
「そういう事を言ってる時点で大胆なの気付いてくれ」
「……し、仕方がないでしょう。周くんを好きなのなんて、分かりきってるじゃないですか」
「うんまあそうなんだけど……それだけ好かれてると口にされると、やっぱ恥ずかしいというか」
ある意味先ほどの体勢より羞恥を煽られている。
真昼は無意識に大胆なスキンシップをはかる事があるのは身をもって知っているが、それを明確に示されると何とも言えない恥ずかしさを覚えるのだ。
真昼も真昼で頬を赤らめて周をぺちぺちと叩いているので、双方にダメージがあったようである。
「……周くんは私の好意を疑ってる訳じゃないでしょう」
「そりゃな。真昼には俺しか居ないって事くらいは分かってるし、俺だけしか見ないだろ」
これだけは自信を持って言える。
真昼は、恐らく周以外を見る事がない。
彼女の性格もそうだが、好かれている自信があるしなんなら将来を約束しているのだ。周が何かしでかして愛想を尽かされない限りは、彼女は周の事を大切にするし好きで居続けてくれるだろう。
きっぱり言いきった周に真昼が更に顔を赤くして頭突きしてくるので、乱暴な照れ隠しだなあと笑って好きにさせる。
やはり周も恥ずかしかったが、真昼がこうして照れ隠しに頭を押し付けてくるので何とか誤魔化せていた。
「……分かってるなら、いいです」
頭突きをやめて腕に額を押し当てた真昼が小さく呟いたので、周も小さく「当たり前だろ」と返して大人しくなった真昼の手をそっと握った。
お隣の天使様、50万文字と5000万PV達成しましたー(´∀`*)
(ほんとは数日前にPV達成してたけど報告が遅れました)
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初コミカライズでどきどきです。
お隣の天使様の雰囲気が好きな方は腹ぺこも気に入っていただけるのではないかなーと思います。ご興味がある方はWeb版やコミカライズ版から読んでみるのもいいかなと思ってます、どうぞよろしくお願いいたします!
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