169 終わらない課題
ちょっと短め。
「周助けて」
「知らん」
シャーペンを携えてリビングの机に向かっている千歳の泣き言に、周は呆れも隠さず突っぱねた。
真昼宅に泊まった千歳はどうやら課題を終わらせるためにお泊まりを決行したらしい。周も巻き添えにしようとしたのか周の家ですると勝手に決めてこちらにやってきたが、周は一ヶ月近く前に課題は終わらせて自己学習するだけなので、慌てる必要は一切ないのである。
急いで机に向かう必要もないので、周はソファに座って雑誌を見ながら千歳を見下ろす。
「大体、後回しにして終わらせなかったお前が悪い。計画性を持て計画性を。後で切羽詰まって嫌な気分に疲れた頭の夏休みで幕を閉じるより、最初苦労して課題終わらせて残りを楽しい夏休みにした方が余程いいと思うが」
「うっ」
「樹と一緒に終わらせる事だって出来ただろ。あいつももう終わらせてるし、そもそもあいつはある程度コツコツしてたから同じようにしていたら今困ってない」
「ううっ」
「というか、何で人に頼ったら何とかなると思ってるんだ。解くのはお前だ。今までの怠惰のツケが回ってきただけだろ、足掻くのはやめて机に向かって課題をした方が早く終わるぞ」
「まひるーん、周がいじめるー!」
周としては正論を言ったつもりなのだが、千歳が真昼に泣き付く。
丁度千歳の分のジュースを注いできたらしく、トレイにはオレンジ色の液体が注がれたグラスが載っている。
「あんまり強く言い過ぎちゃ駄目ですよ周くん」
苦笑しながらも窘めるように言って周にオレンジジュースを渡す真昼に千歳は調子づいて「ほらー」と真昼を見習えと言わんばかりの視線を向けてくる。
ただ、真昼は千歳の完全な味方でもない。寧ろ考え方的には周に近いし、だからこそ課題は先に終わらせて自主学習に移っていた。
コツコツ積み重ね型の真昼ではあるが、夏休みの課題は先に終わらせている。なんでも期限に追われるのはあまりいいものでもないから、やる事はやってあとは勉強内容を忘れないようにしている、との事。
ほぼ周と同じ考えなので、少し安心した。
真昼は穏やかな笑みを浮かべて机に千歳の分のオレンジジュースを置いたところで、ゆっくりと千歳の肩に掌を置く。
「千歳さん、頑張りましょうか」
「まひるんまで!」
「だって夏休みの始めに一緒にやりましょうかと聞いても遊ぶの優先したの千歳さんですし……」
「うううっ」
「完全に自業自得じゃねえか」
真昼に誘われていたのに遊ぶ事を選んだのは千歳なので、同情の余地はない。
「千歳さん、たくさん課題が残っているとはいえ、私がついてますので大丈夫ですよ」
「まひるん……!」
「とりあえず夕御飯まで机に向かっていれば半分くらいは終わりますから……ね?」
「やー!」
どこまでもナチュラルに手を伸ばした先にある蜘蛛の糸を切って絶望させる真昼に、周は千歳を見つつ「可哀想に」と他人事のように感想を抱いて渡してもらったオレンジジュースを口にする。
一応、本当に困った時、というより真昼が指導に疲れた時には交代するつもりではあるが、甘やかし過ぎても調子に乗るので、ほどほどに鞭を使っていく方向である。
やだー、と嘆きながらも渋々課題をする体勢になった千歳に、周は後で甘いもんでも買ってこようと思いながら彼女の横顔を眺めた。
レビューいただきました、ありがとうございます(´∀`*)
お隣の天使様2刷が都内の一部店舗では入荷し始めたようですねー!
一日二日あれば大体の地域に届くと思いますので(札幌のメロンブックスさんは6月25日入荷予定だそうなので)、売り切れで買えなかったという方ももう少しお待ちいただけたらと思います(´∀`*)
それから活動報告に書いていますが、重版記念ツイートキャンペーンを開催していただける事になりました!
詳細は活動報告に載せてありますが、前回の帯コメント募集の時のようにお隣の天使様の感想やらキャラへの愛などを『#お隣の天使様』タグをつけて担当さんにリプライの形で送ると抽選で豪華プレゼントが当たるよ! という企画です。採用されたコメントはポスターに載るそうです!(ポスターつくってもらえるのうれしい)
気になるプレゼントの中身ですが、都内の一部店舗に設置してある特大まひるんの描かれたのぼりだったり、販売台だったり、お隣の天使様の色校だったり、今回のキャンペーンで作成されるポスターだったり、色々なものが当たります!(ポスター以外のプレゼントの見本は担当さんのツイッターに写真があがってます)
ぶっちゃけどれも非売品でかなりレアなので、参加してくださるという方は活動報告および公式ブログを確認した上で参加していただけたら嬉しいです!
それでは今後ともお隣の天使様をよろしくお願いいたします(*´꒳`*)





