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13・そんなわけないじゃない♪

一週間ぶりの更新です。


4章11話で結構なやらかしがありました。

かなり加筆修正しています。



日本・とある都心のマンションの一室―――


だらしなく体を横にしながらスマホを持ち、

ポチポチと自分の手元の操作を見つめる

女神が1人―――


「フフフ……毎日ログインするだけで何かもらえる……

 この日課、日常サイクルは実にいい……

 これだけがアタシの乾きを癒してくれる……」


それを見て、お目付け役(猫Ver)が

ため息をつくように頭を下げた後、

彼女に忠告する。


「どうでもいいですが、そんな事を日課にしていると

 脳が衰えますよ?


 どこぞのブタ……作者バカのように、後から

 設定を忘れた事に気付いて慌てて、大幅に

 加筆修正するような間抜けな事態になっても

 よろしいのですか?(4章11話)」


『うぐぅ』


お目付け役の言葉に、面倒くさそうに

フィオナは座って姿勢を直す。


「でも何もしない毎日よりはマシじゃないの?

 それにイベントとかあったらむしろ脳は

 活性化するわ。


 だいたいシナリオの細かな修正なんて、

 昔からこっそり頻繁にやっているじゃないの」


『うぐぅ』


フィオナの応えに、ナヴィはさらに言葉を続ける。




「しかし今回は、たった1日前の設定を覚えていない

 という、信じられない間違いでしたからね。


 どうして、ルコルアに行ったはずの

 ミモザさんとマルゴットさんが出てきた時点で

 気付かないのか―――

 まあ何とか調整出来たみたいですけど。


 いかにあの作者バカが、脳死状態で何も考えず

 ノリだけでシナリオを書いているか、

 バレてしまった事でしょう」


『うぐぅ』


ナヴィは姿勢を正した主人の前に座ると、

身を丸めて姿勢を崩す。

フィオナはそんなお目付け役を撫でながら

会話を継続する。


「ところでさっきから、カエルが潰れたような声が

 時々聞こえてくるんですけど―――」


「そうですか?

 私には、ドブで溺れたネズミのような声に

 聞こえましたが。


 それでは、そろそろ本編スタートしましょう」


『うぐぅ』




│ ■バクシア国・首都ブラン      │

│ ■ボガッド家屋敷          │




「―――この4人で、ミイト国へ?」


老人は席に着いた複数の男女を前に、義理の孫に

確認を促す。


「はい、そうです。


 ファジー君には引き続きフラールで神託を

 受け取ってもらわなければならないので、

 僕の実家で……


 母も、収穫の指示を出さなければならないので

 実家に戻ってもらいます。

 その時はミモザさんも一緒に」


「アルプさんも神託を受け取ってもらわないと

 いけないから、ココ、バクシアにいてもらう。


 本来ならファジーもルコルア待機が

 自然なんだろうけど、ついこの前

 『枠外の者』が失敗したばかりの国だし、

 当分は大丈夫なんじゃないかと思う」


第二の眷属の姉が、アルプの説明を引き継ぐ。


「貴族の話がわかる者、そして護衛として私が―――」


「商人として私がミイト国へ行きます」


バートレットとマルゴットが、軽く一礼する。


「しょして、私も参加するでしゅよ」


お目付け役のナヴィもまた、会話に加わる。


「それで、今回第三の眷属となった私、ポーラも

 ミイト国に同行いたします」


2人の男性と女性が、互いに顔を見合わせ―――

確認し合うかのように頷く。




「そしてアタシは!!」


留守番るしゅばん


「イヤァアアアアア!!」


勢いよく立ち上がる女神に、お目付け役は

冷や水を浴びせ、それによる悲鳴が室内に響く。


「しょうがないでしゅよ。

 ミイト国に眷属がいない以上、フィオナ様は

 その国に入れないんでしゅから」


「ナヴィ様が同行してくださるのですから、

 これほど心強い事は無いのですが……


 必ず有益な情報を持ち帰りますゆえ、

 どうかバクシアで待機をお願いします」


バートレットが深々と一礼すると、おずおずと

眷属の少年が口を挟む。


「あの、やはり僕もミイト国へ行った方が

 いいのでは―――


 せっかくフィオナ様がいらっしゃるのですし、

 神託を受けるにあたって、同じ場所にいる

 必要もないかと。


 それに、シンデリン・トーリさんの顔も

 面識があるのでわかりますし……」


その問いに、マルゴット・ミモザの首が

左右に振られる。


「確かに非効率とは思うのですが、フィオナ様に

 1人で待機願うのも恐れ多い事で―――」


「……あとは、まあ……

 その『面識がある』ってのが問題でね。


 アルプさんもそうだけど、2人ともルコルアで

 あの女にガッチリ目ェ付けられてんじゃん。


 だからファジーも置いてきたんだけど……」


アルプはシンデリンの執拗なアタックを思い出し、

身震いする。




「あー……シンデリンさんとはアタシも会った事が

 ありますが―――


 そうですね、万一の事を考えると、アルプと

 ファジーは連れて行かない方がいいでしょう」


女神も彼女たちの言葉に納得し、同意する。


「そういえば―――

 バーレンシア侯爵様は?


 ご一緒ではなかったのですか?」


アルプの母の問いに、同じ貴族である

バートレットが返答する。


「彼はこの首都に実家がありますから、

 そこでいったん支度を整えてから、ここ、

 ボガッド家で合流するとの事です」


彼の言葉に、気付いたように女神とお目付け役が

話を続ける。


「そういえば、バーレンシアさんとは今回、

 初めて会いますよね。


 ミモザさんと一緒に館に行った事は

 ありますけど、あの時は名乗りません

 でしたし(2章11・12話)」


「まあここまで来たら、会わないわけにも

 いかないでしゅよ」


「―――そうですね。


 そろそろ、お見えになってもよさそうな

 ものですが……」


誰ともなく、ちらと玄関方面に皆が視線を移すと、

ほぼそれと同時にドアノッカーの音が聞こえた。


それは、とてつもなく重く、そして鈍い感じがした。




「……や、やあ。遅れてすまないね」


玄関へ出迎えた祖母・クレアと母ソニアに

両脇を抱えられるようにして―――

脱力したような表情をしたバーレンシア侯爵が

現れた。


「あ、あの、侯爵様……

 顔色が土気色なのは……」


「あー、面目ないアルプ君。


 いやー……家族と使用人たちからさあ。

 『これでバーレンシア家が再興出来る!』

 『希望の光がやっと見えた!』

 って……

 もうものすんごいプレッシャー。


 あ、あとお土産のモモ、大変美味しゅう

 ございましたって」


全員が心配そうに渦中の人物を見つめる中、

当の彼はその中の1組の男女、そしてやや

年長の少女に気付く。


「あれ? えっと、そちらの方々は?

 確か初対面……」


「豊穣の女神、フィオナです。


 ―――貴方の事はよく知っております。

 我が眷属であるアルプが、大変よくして

 頂いたようで、感謝しています」


「フィオナ様(の母親)の従者、ナヴィでしゅ。


 以後、お見知りおきをお願いするでしゅよ」


「わ、私はポーラと申します。

 この度、フィオナ様の新たな眷属となりました。

 今回ミイト国にも同行する事になりましたので、

 よろしくお願いしますっ」


一礼するフィオナとナヴィ、ポーラを前に、

彼も頭を下げて返礼する。




「ああ、アルプ君が眷属として仕えている

 女神様―――ですね。


 お初にお目にかかります。

 バクシア国侯爵、レンジ・バーレンシアです」


そんな彼を見て、一同は目を丸くして驚いていた。


「あ、あの……女神様、ですけど?」


「ん? そう仰られているじゃないか」


眷属の少年の問いに、侯爵はあっさり応える。


「えっと……驚きませんのね」


マルゴットを始めとして、それまでの彼を知っていた

面々は、意外そうな表情を隠せないでいた。


「ま、いろいろとあったからねぇ。


 それに、ついこの前、王族に直接表彰される

 イベントまであったんだよ?


 そっかー、次は神様かーってなるよそりゃ」


周囲が苦笑と同情の笑いをもらし、初老の老人が

侯爵に声をかける。


「ははは、なるほど。

 慣れというのは恐ろしいものですな。


 ここしばらくの出来事で、すっかりたくましく

 なられたようで」


「そんなわけないじゃない♪」


その言葉と共に笑顔のまま、バーレンシア侯爵は

膝をついた。




「侯爵様!?」


「大丈夫ですか!?

 少しお休みになられた方が……


 ローンさん、アルプ、手伝ってください!」


マルゴットが驚くと同時に、バートレットが倒れる

彼を何とか支え―――

そして男手によって、バーレンシア侯爵は部屋の

外へと連れ出された。


それを見送る女性陣&お目付け役の目には、

不安が色濃く出ていた。


「大丈夫なんでしゅか? 彼……」


「精神的なものと思われますので―――

 しばらく休憩すれば落ち着くかと」


マルゴットとナヴィが顔を見合わせ―――

ソニアとクレアもまた、お互いに考え込むような

表情で目を合わせる。


その2人を横目に、眷属になったばかりの少女が

女神に質問する。


「すいません、あの侯爵様って―――

 メンタル弱いんですか?

 いや、自分の国の貴族様をこう言うのも

 何ですけど」


「そういう事も無いと思うんですけど……」


困ったように返答するフィオナに、既婚者である

2人が警戒するように語る。


「でもねぇ、あんな具合だと―――

 押し切られてしまうかも知れませんよ?」


「相手の女性がしたたかな方であれば、

 いいように利用されてしまう可能性も……!」


未だ恋愛未満の経験しかないと思われる少女たちは、

困惑しながら楽観的な声を上げる。




「い、いやそこまでは」


「考え過ぎかと……ね? フィオナ様」


しかし、それをすぐさま否定するように、クレアと

ソニアは詰め寄る。


「甘いですよ、フィオナ様!」


「今やバーレンシア侯爵様はお金も地位もある

 男性なのです。

 加えてルックスも並み以上―――


 あの方を野心のある女性の前に差し出すと

 いうのが、どれほど危険な事か……!」


ある程度世間を知っている商人と情報屋が、

その言葉に追随ついずいする。


「確かに、流されてしまう可能性も……」


「ちょっとさあ―――

 いざって時、断る理由もこっちで考えておいた方が

 いいんじゃねーか?」


ちょうどそこで、部屋の扉が開かれ3人が返ってきた。


「やれやれ」


「バーレンシア侯爵様は寝かせてきました」


「―――?

 どうしたのですか?」


微妙な空気が彼らを出迎え、唯一残っていた同性が

その疑問に応える。


「んー、ちょっとでしゅね……」




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2734名―――




4章11話で結構なやらかしがあったのを

さらに活動報告で『3章11話修正しました』と

二重に間違えが発覚したため、冒頭の茶番で

セルフ公開処刑。

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