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08・あふれんばかりの知性と神聖さ

1週間ぶりの更新です。

今週も何とか間に合いました。


近況報告:GWにも関わらず体が勝手に

出社しました。



「たとえ今いるジャンルの更新ページが

 『残酷な描写あり』タグで埋まっても、

 自分だけはギャグとコメディと感動で貫く、

 そんな女神になりた」


「待てまてマテmateちょっと待って」


日本・とある都心のマンションの一室―――


いつも通りの掛け合いを開始する女神に、

お目付け役(猫Ver)は言葉が終わるのを

待たずにツッコミを入れる。


「何ですか? ナヴィ。


 アタシが精神統一してみちびき出した決意表明の途中で

 割って入るほどの事ですか?」


「今のゴミのようなメタ決意を精神統一してまで

 導き出した事をまず反省して?


 それに、今まで我々の物語のどこに感動が

 ありましたか?」


ナヴィの素朴な疑問に、女神は反発して応える。


「え? 結構ありましたよね?

 人を救ったり国を救ったり悪者を懲らしめたり」


「それ自体を否定する気はありませんが―――


 あれは『結果的に何とかなった』だけであって、

 『アンカー』指定をした後始末とか、余計な事を

 やらかした後始末とか、ご自分の失敗の後始末とかが

 中心でしたよね?」


「い、いいでしょう!

 ナヴィの言う通り、結果的に何とかなっているん

 ですからっ」


なおも食い下がる女神に、ナヴィは話を元に戻す。




「ですからそこにどのような感動があったと……


 ただ、本当に『何とかなった』だけですので、

 今後は少し自重してくださいね?」


「わかっていませんね、ナヴィ。


 人生にリスクは付き物。

 多少危険をおかしてでも行動する事こそが

 ビッグになる第一歩なのです。

 弱腰になってはいけないんですよ!」


自信満々で述べるフィオナに、ナヴィは一通の

書類を取り出した。


「ちなみに天界市役所から書類が

 届いておりまして……


 眷属のいる信仰地域がフラール・ルコルア・

 バクシアの3ヶ国になった事で、当初より

 何らかのトラブルが生じた場合の罰則が

 強化されましたので、十分に注意するようにとの

 通達が―――」


「やはり今ある幸せを堅実けんじつに維持する事も大切だと

 思うんですよアタシは」


「手の平返し早ぇよ。


 それじゃ、そろそろ本編スタートしますね」




│ ■バクシア国・首都ブラン     │

│ ■徴税官シオニムの家       │




「ほほう。それでそれで?

 アルプの魅力はそれだけですかなメイさん?」


「それにしてもホント、ポーラもメイも……

 あなたたちは肝心なところでダメダメねえ」


女神と母親の興味津々な問い合わせは続き―――

その追及は妹にまで及んで継続されていた。


「も、もうお止めくださいフィオナ様……」


「何でポーラ姉さまだけじゃなく私まで……」


赤くなったり青くなったりする姉妹に、ようやく

終わりの時間が訪れようとしていた。


居間の扉が開かれ―――

席を外していた異性2名が、中にいる女性陣に

声をかける。


「お待たせしました、フィオナ様―――

 お前たち、フィオナ様に失礼は無かった

 だろうね?」


「フィオナ様、そろそろ戻りましゅよ。

 前回以上の恥をさらす事は無かったでしゅよね?


 一度ボガッド家に帰って情報共有するって

 話だったでしゅよね?」


「え? もうそんな時間?」


父親とお目付け役の言葉にホッと胸をなで下ろす

姉妹。

しかし、次のフィオナの言葉は―――




「では、続きはまた次回という事で♪」


「そうですわね。

 それまでに私も、娘たちに『教育』

 しておきますわ♪」


その対応に、ポーラとメイは逃げるように

玄関へ向かう。


「お、お見送りさせて頂きます!」


「またお越しください、フィオナ様っ!」


気をつけの姿勢で直立不動になり、両脇に立って

玄関までの道を開ける。


「―――では、ナヴィ様。

 くれぐれもご用心を。


 例の件は、この後ポーラにも話しておきます」


「わかっていましゅ。

 必ず、あの話は信用出来る人と共有しましゅので」


それぞれが一礼すると、温度差を残したまま―――

一家と客は別れる事になった。


そして女神とお目付け役は一路、ボガッド家に向けて

歩を進める。




「んっふっふ……

 なかなか興味深いひと時でしたわ」


「そうでしゅか。


 しかし、ポーラしゃんもメイしゃんも、

 フィオナ様に取っては『恋敵こいがたき』でしゅよね?

 しょれでいいんでしゅか?」


「だからこそですよぉ♪

 敵の情報は多いに越した事はありませんから♪


 ふー、お料理もお話もお腹いっぱいだわ♪」


「にゃるほどでしゅ。


 ……こっちも、ちょっとお腹いっぱいというか、

 胸やけしゅるようなお話を伺いましゅたが」


「??」


「取り合えず、ボガッド家に帰ってからでしゅ」


上機嫌のフィオナとは裏腹に、ナヴィは

不穏な態度で―――

ひとまず屋敷に帰る事にした。




│ ■バクシア国・首都ブラン    │

│ ■ボガッド家屋敷        │




「おお、フィオナ様、ナヴィ様!

 お待ちしておりました。

 想像しておりましたが、なんとも神々しい

 お姿……!」


「何も出迎える必要はありませんでしゅたのに」


ボガッド家に着くと、そこの家主である老夫婦が

入り口の広間で待ってくれていた。


「女神様と神の御使みつかい……

 フィオナ様は初めてお姿を拝見いたしますが、本当に

 美男美女で―――」


直に見るのは初対面となるローン・ボガッドと

その妻クレアは、素直に見たままを感想として

述べる。


「ふふふ……やはりこの、あふれんばかりの

 知性と神聖さは隠しきれないようですね……」


「知性があるというのであれば、降臨場所を

 間違えない程度の頭はあって欲しいのでしゅが」


「だからアレはただのミスですー!!

 何でこういうタイミングで言うんですかー!?」


涙目で抗議する女神を見かねて、クレアは

家の奥へ入る事を促す。


「あらあら。

 でも、そういった人間味もある方が親しみも

 持てますよ」


「そそ、そうですよねっ。

 さ、さぁ! 早く入りましょうっ!」


そして、食卓に通された2人の前に―――

初めての眷属と、その母がすでに席に着いていた。




「あ、フィオナ様、ナヴィ様!

 お帰りなさいっ」


「お待ちしておりました。

 まずはお茶でも」


アルプと、その母・ソニアが起立して一礼し、

フィオナとナヴィ、そして老夫婦が座るのを

見計らってアルプが座る。


そして、母・ソニアが全員の席を回ってお茶を注ぐ。


使用人はいるのだが、家族がいる場合はあまり

顔を見せない。


これは別にボガッド家が使用人と不仲という

わけではなく、ローンが、家族水入らずの

団欒だんらんの時は『自分たちでやるから』と

遠慮してもらっているのもある。


そして、ボガッド家がアルプを通じてフィオナに

全面的に協力するようになってからは、秘密保持

という側面も果たしていた。


また、いざという時、使用人まで巻き込まれない

ように、という配慮もあった。


「―――それで、

 ネクタリンさんの家でのお話は……」


一段落した頃に、アルプが本題に入ってきた。


「あ、少し待ってて。

 今フラールと神託を繋げているから……


 もしもし、ファジー?

 準備はいいでしょうか?」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「は、はい! フィオナ様。

 ミモザ姉と、バートレットさんとマルゴットさんも

 いらっしゃいます!」


フラール国のアルプの家で、第二の眷属である

ファジーが神託に応答する。


本来、ここはアルプの生家なのだが、ボガッド家から

神託を繋げるにあたって、眷属であるアルプを抜かして

ローン夫妻だけで対応するのはいかがなものか、

という意見が出て―――


結果、アルプの家では第二の眷属であるファジー、

そしてフラールの重要メンバーが待機する事に

なったのだった。




│ ■ボガッド家屋敷        │




「……あれ? ソルトさんとトニックさんは?」


女神の疑問に、向こうでマルゴットが応える。




│ ■アルプの家          │




「ルコルアで『枠外の者』の調査と、こちらで

 所有している鉱山の労働者募集を引き続き

 してもらっております」


「思ったよりも採掘量が多いって言ってたな、

 あのワインとかいうジイさん」


女性2名の言葉の後、貴族が続く。


「予想以上の事ではありますが、

 上手くいくに越した事はありません。


 彼らも、状況が落ち着けば情報を共有

 させましょう」




│ ■ボガッド家屋敷        │




「ふみゅう。わかりましゅた。

 では、シオニムさんから聞いた話を共有

 しましゅね―――」


お目付け役が、ようやく本題を開始した。


「あくまで、シオニムさん個人の推測だと

 仮定しましゅて―――

 このようなお話をしましゅた」




―――ナヴィ回想中―――


│ ■徴税官シオニムの家       │


「……フム。なるほど……


 『枠外の者』の目的は奉公労働者の発生と

 そのオークションの元締めとなる事。


 経済破壊はその手段―――

 有り得ない話ではないでしょうな」


「ただ、アルプ君はあまりにも危険過ぎるのでは、

 と疑問を持っていましゅた。


 しょれに、そんな動きを連合国家が黙っているとは

 私にも思えないのでしゅよ。


 ローンしゃんはそもそも、経済破たんの原因を

 突き止める事は難しい―――

 犯人はわかりゃないから、とおっしゃって

 いましゅたけど」


ナヴィの報告と疑問に、シオニムはゆっくりと

上半身を席上へ乗り出す。


「ここから先は、事実を踏まえての私の推測と

 なりますが―――


 フラール国の国王急死を受けて、連合国家

 上位3ヶ国の間で、ある呼びかけがなされました。


 『連合共同金融安定局』の設立です。


 要約しますと、フラール国の国王急死に伴う

 情勢不安定化による経済危機などを例に上げて―――

 それに対する支援として、融資と指導を行う機関を

 作ろう、と」


「……素晴らしい政策でしゅね。


 まりゅで、こりぇから経済危機におちいる国が、

 いつ出てきてもいいような……」


眉間にシワを寄せて、シオニムが言葉をつなぐ。


「ええ、まったく。


 そして、その提言の後にルコルアでの

 『枠外の者』の動き―――」


「偶然とは見ていない、という事でしゅね……?」


声を出さず、黙ってシオニムはうなづいた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2699名―――




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