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02・悲しい五七五

今週もなんとか更新出来ました。

よろしくお願いします( ・∀・)ノシ



日本・とある都心のマンションの一室―――


住人である女神・フィオナと、そのお目付け役である

ナヴィ(猫Ver)が何気ない会話を交わしていた。


「そーいえばこのマンション、

 ペット可になったんですよね」


「3章17話目で、アルフリーダ様がそのように

 『成長』させていきましたからね」


自分の主人がいきなりマンションをペット禁止から

ペット可へと『成長』させた時の事を、ナヴィは

細い目をして魂を宇宙に飛ばしながら思い出す。


「まあナヴィは後からお目付け役で来たんだし。

 引っ越しも面倒くさかったから別に良かったけど。


 でもペットかー。

 ナヴィは飼いたい動物とかいます?」


「別段これと言ってありませんが、

 ここだとさすがに大型は難しいと思いますよ?


 せいぜい、小鳥かハムスターかモルモットか」


「おー、モルモット!

 この前、動物園のふれあい広場で抱っこ

 させてもらったんですよ。


 あれくらいならちょうどいいかな。

 でも、飼い方がわからないし……」


さすがに生き物に関して無責任な事は言えず、

トーンダウンする。




「小動物ですからね。

 注意する点さえ押さえておけば大丈夫です」


「ふむフム。

 ちなみにどんな点を注意すれば?」


「えっとですね。確か注意点は……


 ・水に濡らさない。

 ・明るい光に当てない。

 ・夜12時以降は食事を与えてはいけない。


 これだけは絶対に守らなければならない

 との事です」


「何かその条件、どこかで聞いたような記憶が

 あるんですけど」


「そうですか?


 それではそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「さて、どこから話したものか―――

 『新貴族』について、だったかの」


屋敷の主であるローン・ボガッドは、迎え入れた

訪問客の前で、テーブルの上に視線を落とす。


その大きなテーブルには両側に6人ほどの客が座る。


アルプとマルゴット、バートレット。

そして反対側にファジーにミモザ。

最後に、お目付け役兼サポートであるナヴィが

席に着いていた。


アルフの母、ソニアも来ているが、祖母である

クレアと一緒に厨房で張り切って立ち働いている。


「はい。バーレンシア侯爵のお話では、

 ここ数年のうちに、バクシアに現れた勢力とか」


アルプの言葉に、ローンは首を横に振る。


「バクシアに現れた、というのであれば

 その通りなのじゃが」


少年が首を傾げ、周囲がそれに続いて疑問の

雰囲気を形成すると、老人は言葉を追加した。




「アレはもともと―――

 連合国家のうち、上位3ヶ国だけにいた

 勢力じゃ」


ローンの話によると、その地位ではなく『個人』の

実績のみが評価される、というのはバーレンシア侯爵の

話通りだという。


ただ、本来は連合国上位である、ミイト国・

シフド国・グレイン国だけにいた存在であり―――

バクシアの貴族の間に浸透してきたのは、

つい最近の事らしい。


「その3ヶ国は前にも言っていた、

 実質上の連合国家の支配国でしゅね?」


「さよう。

 じゃが、彼らが何をしたか、何が狙いかと言われても

 商人であるわしには……」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「ちょっとですね」


ここで、唯一フラールで待機していた女神、

フィオナが口を挟んだ。


(何ですか?)


「いや何ですか? じゃなくて!

 どうしてアタシだけお留守番みたいに

 なっているんですか!」


フィオナのツッコミに対し、バクシアからナヴィの

返答が届く。




 い あ バ

 な な ク

 い た シ

 か の ア

 ら 眷 に

 。 属




「そんな悲しい五七五はいりませんー!!」




│ ■ボガッド家屋敷      │




「何でもアンカー任せにしゅて、

 バクシアで眷属を作らなかった

 フィオナ様が悪いのでしゅよ」


「で、でもそのおかげでボクは眷属に

 なったんですし、

 ルコルアもそれで助かったんです。

 それを思えば……」


ナヴィのツッコミに、同時に神託カイセンで繋がっている

眷属はフォローを入れる。


(あ、そういえばナヴィ、結局ルコルアでの

 『枠外の者』の狙いってわかりました?)


「ん? そうでしゅね。

 そりぇも聞いておきましょう―――


 ちょっといいでしゅか? ローンしゃん」


フィオナからの質問を、ローン・ボガッドに

伝えるナヴィ。

その問いには、商人2人と、貴族1人が応える

事になった。


「……まずですな。

 あくまでも想定、推測である事をご理解

 願いたい」


「そして―――

 あまり……と言いますか、正直に言って

 後味がよくない話になります」


ローンとマルゴットが、話を切り出した。

それにミモザが、緊張を隠すためか軽く受け流す。




「もったいぶってないで言ってくれ。


 ここまで関わったんだ、聞かなきゃ納得

 出来ないよ」


「ミ、ミモザ姉っ!」


2人目の眷属が姉をたしなめる。

そして話は進められた。


「結論から言うと―――


 国家単位の経済衰退、もしくは破壊にあると

 思われます」


バートレットが発した言葉に、ローンとマルゴット

以外の人間がそれぞれ顔を見合わせた。


「え、えっと―――

 『枠外の者』って商売人でしょう?

 そんな事をして、いったい」


「そ、そうですよ。

 その国の経済を破壊してしまったら、

 何も売れないじゃないですか」


眷属2人が、自分の知識の中で驚きと反発、

その理由を返す。


「―――私も、そう思いました。

 ですがフラール国での『枠外の者』の動き……


 当初は短期利益のみを狙っていると考えました。

 後は野となれ山となれ、と―――


 ですが、それでも……

 『売れる商品』はありましたよね?」


「……あ、ありましたっけ? そんなの」


マルゴットの言う意味がつかめず、アルプが

混乱する。


(あー……)


そこで、神託を通じてフィオナがため息混じりに

割って入った。




│ ■アルプの家          │




「あの『人間オークション』ですか……」




│ ■ボガッド家屋敷      │




「ご明察めいさつの通りです、フィオナ様」


「で、でもっ!

 アタイも奉公労働者の経験があるからわかるけど、

 そんな儲かんのか、アレ?


 アタイだって金貨30枚くらいだったし」


ミモザの問いに、ボガッドが応える。


「ミモザさんの時は、恐らく―――


 ・自国内だけで完結している。

 ・他国が介入しない。


 という条件下であったはずだ」


「フラールの場合、上位のバクシアが関わっています。


 それに大量に奉公労働者が出ましたが、全体ではなく

 個人差で値段が上下しますから―――


 例えばアルプの場合、最後まで揉めていまして、

 優先権は金貨500枚まで値上がっていました」


「ごひゃ……!?」


マルゴットの答えに、ファジーが思わず

うわずった声を上げた。


「その値上げ―――オークションの元締めと

 なっていたのが、『枠外の者』です。


 連中が言っていた『フラールの再現』とは、

 おそらくこの事を言っていたのでしょう」


「ビューワー君の言う通りだ。


 今回はおそらくミイト国の『枠外の者』が

 中心となって、オークションの元締めとなる

 方針だったのだろう」


ローンが話し終えると、何とも言えない沈黙が

部屋を支配した。




「でも、おじい様―――


 仮にも、ですよ?

 一国を滅ぼしかねない、そんな動き……

 危険過ぎるとは思わないものなのでしょうか」


孫の重ねて語られる疑問に、祖父は応える。


「経済というものは、発展や維持は難しい。

 逆に壊す方がずっと簡単なのだ。


 安定させようとしても、うまくいかない事が

 多々ある。

 よほど露骨な真似をしなければ、原因と断ずる事は

 不可能じゃろうな」


「…………」


その言葉に、もう1人の眷属は押し黙った。


「ホントにヤベぇ状態だったんだね、

 アタイたちの国―――


 フィオナ様、ナヴィ様。

 改めて礼を言わせてもらうよ」




│ ■アルプの家          │




「ま、まぁそれほどでも―――」




│ ■ボガッド家屋敷      │




「しかし、その―――フィオナ様。

 失礼極まりないとは思いますが、

 少々もどかしいですな。


 この年になると、他国に出かけるのも一苦労で。

 いつかお姿を拝見出来ればいいのですが……」




│ ■アルプの家          │




「そ、それにつきましては、その。

 近々善処する予定でございまして、ハイ」




│ ■ボガッド家屋敷      │




「え? という事は……

 バクシアからも眷属を!?」


「眷属は確か1ヶ国につき1人、というお話

 でしたよね。


 となるとやはり、バーレンシア侯爵か、

 それともシモン君か……」


マルゴットとバートレットがフィオナの言葉に

いち早く反応し―――

その後、ソニアとクレアが合流し、話題はそれ

一色となった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2579名―――




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