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29・お見事でございますナヴィ師範

1週間ぶりの更新です(*‘∀‘)


でもやっぱりペースが落ちるとPV数も

減りますな(-_-;)



前回のあらすじ。


お目付け役兼サポートをしている猫のナヴィから、

様子見のため信仰地域へ行く事を勧められた女神・

フィオナは、ついうっかりジャージ姿のまま

降臨してしまう。


風が、殺意を運んだ……


「いやイヤいやっ!?

 そんな昼ドラサスペンスみたいな展開の

 あらすじは何ですか!?」


日本・とある都心のマンションの一室―――


冒頭のあらすじ説明に異を唱える女神。

それを横線のような細い目で、お目付け役

ナヴィは見つめる。

その目に危険を感じながら、おずおずと

フィオナはたずねる。


「て、てゆーかー、誰が殺意なんて持って

 いるんですか?

 もしかして、ナヴィ?」


「いえ、殺意なんてめっそうも。

 ただ一切の生物学的行動を止めて頂きたいとは

 思いましたが」


「ウンそれ、死ねって言ってますよね?」


フィオナからのツッコミが入り、彼女の言葉に

どう答えたらいいか考えるお目付け役。

しばし目を閉じ沈黙した後、返答する。


「失礼。では息をしてはいけないくらいで」


「同じだーっ!!」


「ではそろそろ本編入りましょうか」


「え? この空気のまま?

 ちょっと待ってくださいよあのですねホントに」




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「あ、あの……フィオナ、様?」


「その、お着物はいったい……

 非常に動きやすそうではありますが」


ミモザもマルゴットも、自分たちの世界からすれば

異世界の服装に驚きを隠せない。


「ここ、これはですね、そのー。

 い、いつでもすぐにこちらに降臨出来るように、

 軽装でいたので」


「そ、そうかい?

 でもナヴィ様はいつもの格好のように

 見えるけど」


二人の女性は、その場にいる唯一の異性と

フィオナの衣装を見比べる。


「私は基本、人間か猫のどちらかの姿でいましゅから。

 服装はそれに合わせて、勝手に決まるんでしゅよ。


 今の人間の姿であれば、ある程度着替える事は

 出来ましゅけどね」


一応、フィオナのそれとは違う、という事を

フォローを兼ねてアピールするナヴィ。


「そ、そうですか」


「ま、まあ室内限定なら……いいのかな?」


ナヴィの言葉に、ひとまず納得する女性陣。


「えっと、そ、それより―――

 アルプとファジー君は、まだラムキュール氏の

 館に?」


「ああ、そろそろ帰ってくると思うけど……」


その会話に応えるように、家の入口から気配が

声と同時に入ってきた。




「ミモザ姉、ただいまー」


「マルゴットさん、ただ今戻りました」


そして食卓のある広間で、2人を4人が

出迎える。


「あっ……フィオナ様、ナヴィ様!」


「いつこちらへ降臨されたのですか?」


パッと明るい笑顔を見せる眷属2人。

しかし、ナヴィはどこかその笑顔に影を感じ、

彼らに問い質す。


「……どうかしたのでしゅか?

 ラムキュール氏のお屋敷で、何かありましゅたか?」


「あ……」


ナヴィの言葉に、2人はお互いに視線をいったん

合わせた後―――

表情のトーンが少し暗くなった。


「やっぱり、フィオナ様、ナヴィ様には

 お見通しなのですね」


「……今日、あのミイト国の商人、シンデリンさんが

 来られたのですが……」


2人が話始めようとしたところを、フィオナが

割って入る。


「ちょちょ、ちょっと待ってください。

 取り合えず2人とも帰ってきたばかりなのですから、

 少し落ち着いて―――」


「そ、そうだね。

 お茶でも淹れてくるよ。


 その間に着替えてきてくれ、2人とも」




―――10分後―――




自宅の普段着に着替えた2人、そして他4人は

改めて食卓の席に着いた。


「では、改めて聞きましゅが―――

 何があったのでしゅか?」


進行役が決まっていたかのように、ナヴィが

話を進める。

そしてアルプとファジーは説明し始めた。


「僕たちもよくわからないのですが……

 シンデリンさんが来まして」


「それでしばらくしたら、屋敷内が騒がしくなって。

 ここを閉鎖するとか何とか―――


 もしかしたら、お払い箱になるかもって、

 他の使用人の人たちが……」


「シンデリン・トーリが来たのは、

 十中八九じっちゅうはっく、私たちが買い取ったあの鉱山に

 ついてでしょうね。


 でもそれが―――

 どうしてお屋敷を閉じる事に?」


「さ、さあ……

 ただ話しているのが聞こえてきただけなので」


「僕も詳しく聞きたかったのですが、

 聞きにくい事でもありますし……」


みんながそれぞれのポーズで、うなりながら

考え込む。




「話しているのが聞こえただけなんでしゅよね?

 アルプ君、ファジー君は何か言われましゅた?」


「いえ、それが―――」


「僕たちも帰るまでは、何とも。

 ただスタウトさんがすごく疲れた顔を

 していたような」


「……どういう事だろう?

 まだ正式には決まってないって事かな?」


「確かにそれは考えられますが」


意見は出てくるものの、これといった結論は出ず―――

決め手を欠いていると、場の空気を変えようとしてか

フィオナが何気ない質問を眷属に向けた。


「そういえば―――

 シンデリンさん? でしたっけ。

 彼女はまだお屋敷にいるんでしょうか」


「え? えっと……

 どうでしたっけ、アルプさん」


「僕は外の仕事ですので、出てきたらわかる

 はずですけど―――


 少なくとも、僕とファジー君が帰る時間になるまで、

 お見送りもありませんでした」


「つー事は、まだラムキュールの旦那の屋敷に

 いるって事かな?


 でもフィオナ様、何でそんな事を?

 あの女商人に気になる事でもあるのかい?」


「え? ええまあ、ちょっと」


特に何の考えもなく言った言葉に対する質問に、

フィオナはぎこちなく応える。




「ふみゅ。


 では、ちょっと行ってきましゅか。

 フィオナ様」


ナヴィの発言に、2人の眷属とミモザ、

マルゴットの視線が集中する。


「えっ?

 ナ、ナヴィ様?」


「あの、ナヴィ様。

 何を言って―――」


人間の女性2人が、真意を図りかねて聞き返す。


「でしゅから―――


 『枠外の者』が2人、今、ラムキュール氏の

 屋敷にいるわけでしゅよね?


 しょしてまだ帰っていないのであれば―――

 何らかの話し合いが継続して行われているのでは

 ないかと思いましゅ」


「確かに、その可能性はありますね」


「(おお……

 何も考えていなかった事を、いかにも理由が

 あったかのように見せかけるこじつけ、

 お見事でございますナヴィ師範!)」


「(どうせ何も考えていなかったんでしょうが、

 まあ私も話しているうちに結構いい考えだと

 思ってきたので良しとしましょう)」


女神とお目付け役は心で会話し合うと、

素朴な疑問がファジーから向けられる。


「……ですがナヴィ様。

 今から、と言っても場所はおわかりなの

 ですか?」


今度は眷属2人の視線が、ナヴィに集中する。


「以前、お2人を通じて、神託でラムキュール氏の

 お屋敷を見聞きした事がありましゅたよね?


 ありぇで周囲の地形は覚えましゅた。

 後は方向さえ教えてもらえれば大丈夫でしゅよ」


そしてナヴィが席を立ち、アルプとファジーが

それに続く。




「じゃ、ちょっと行ってくるでしゅよ。

 フィオナ様。

 神託、よろしくお願いするでしゅ」


「ゆ、夕ご飯までには帰ってくるんですよ」


そして3人が部屋から消え―――

1分もしない内に、すぐに2人になって戻って来た。


「やっぱりスゴいですね、ナヴィ様は。

 あっという間に見えなくなりました」


「来て頂いたばかりで、申し訳ない気も

 しますけど……」


「ま、まあこのために来たようなもの

 ですからね」


作り笑いをして何とか、神としての威厳を保つ

フィオナ。


「それならそうと言ってくれりゃ―――

 と言うのは人間の勝手な都合なんだろうな。


 それに、今までフィオナ様のしてきた事に

 間違いは無かった。


 今回もお任せするよ」


「ミ、ミモザ姉っ」


姉の包み隠さない物言い、弟が抗議の声を上げる。


「まあまあ。

 さてと、それではナヴィの報告を待つと

 しましょう。


 2人とも、席についてください」


女神の言葉に、眷属は素直に従う。

そして残っていたお茶に口を付けた。


ミモザが席を立ち、お茶のお替りを持って

再び食卓に戻り、みんなに配る。


それを見て、フィオナは神託をつなげる。




「ナヴィ、聞こえますか?

 今どのあたりです?


 ……え?」


「いくら何でも、まだ早いのでは」


「ここを出てから10分も経ってませんし」


しかし、アルプとファジーの予想に反し、

返ってきた答えは―――


(そろそろお屋敷が見えてきました。


 もう日が落ち始めていますが、あの光で

 間違いないかと。


 3分後、潜入を開始します)




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2413名―――



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