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28・女神である部分を見つけられない

一週間ぶりの更新です。


あと、PV数が7万突破しました。

ありがとうございます<(_ _)>


( ̄▽ ̄;)次かその次には3章

終わるかな・・・?



日本・とある都心のマンションの一室―――


横になりながらスマホに興じる女神に、

お目付け役であるナヴィ(猫Ver)が

声をかける。


「ところでそこのジャージ」


「ジャージとは何ですか!

 アタシは女神ですよ!」


「……私の目が悪くなったんですかね?

 女神である部分を見つけられないのですが」


フィオナの着ている上下グレーの、トレーニング

ウェアのような着衣に、ナヴィは率直な感想を述べる。

続いて、たしなめるように話を続ける。


「いくら何でもダラけ過ぎですよ。

 ルコルアでの件が一段落着いたとはいえ―――」


「だって、後はあちらの調査結果待ちだし……」


フィオナは自分の言葉に、ナヴィと一緒に

一連の出来事を思い出していた。




―――女神&お目付け役回想中―――


│ ■ルコルア国・月水晶鉱山入り口  │




フィオナ、ミモザ、ソルトは、元鉱山主である

カベルネ・ワインと共に鉱山の外で待機していた。


フィオナはナヴィと入れ替わりにバクシアへ行った

アルプと神託カイセンを繋ぎつつ、状況を見守る。


そこに地響きが起こり―――

目的が遂行された事を伝えてきた。


「な、なんじゃこれは!?

 地震か!?

 何が起きとる!?」


自分の元所有の鉱山で起きている初めての事態に、

カベルネはうろたえる。


「だ、大丈夫かい?

 ナヴィ様とファジーは」


前もって起きる事を知らされているミモザも、

不安を隠せない。




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「フ、フィオナ様……っ、

 どうなっていますか?

 ナヴィ様、ファジー君は無事でしょうか?」


バクシアで待機していたアルプも、神託越しに伝わる

音と衝撃は経験の無い事で―――

そんな彼の対応に、周囲の人間も落ち着きの無い

視線を向ける。




│ ■ルコルア国・月水晶鉱山入り口  │




「だ、大丈夫です。

 今こちらに、ファジー君を抱えてナヴィが

 走ってくると―――」


フィオナがそう言うのとほとんど同時に、

砂煙を上げながら、一つの影が彼女の前に

飛び出し、停止した。


「ファジーっ!」


「ミ、ミモザ姉っ!」


ナヴィの手から離れたファジーが、姉と抱き合う。

それが合図であるかのように、地響きは収まった。


「と、止まった……か?」


「どうやら、大きな崩落には至らなくて

 済んだようじゃの。


 じゃが、一体何が起きとるんじゃ」


ソルトとカベルネが体勢を立て直しながら、

状況を把握しようとする。

しかし、両者とも理解を超えている事に

変わりはなく―――


「お疲れ様です、ナヴィ、ファジー君。

 それで、岩盤は……」


「問題の岩盤は間違いなく破壊されたでしゅよ。

 ただ、確認は」


「これだけの衝撃があっても、すぐ揺れが

 収まったという事は、坑道自体にそれほど

 損害は無いだろう。


 ワシはこの目で見に行く。

 お前さんたちはどうする?」


旧鉱山主の言葉に誰も応えず―――

無言で、彼の後に皆がついていった。




│ ■月水晶鉱山・坑道  │




「これは……」


坑道の奥、例の岩盤があった場所を見て、

元鉱山主は言葉を失っていた。


「この瓦礫がれきの山が―――

 あの岩盤だっていうのかい?」


かつての現場を目にした事のあるミモザは、

その変わり果てた光景に自分の目を疑う。


「そ、そうだ!

 ぱんつぁーふぁうすとさんが……!」


駆け寄ろうとしたファジーの前に、老人の手が

水平に差し出される。


「近付くな。

 岩盤が破壊された事で、周囲の地盤が緩く

 なっておる。


 少し補強すれば大丈夫じゃろうが、

 それより……」


瓦礫の奥、その暗闇の向こうから―――

わずかに光を反射させる何かが、その弱々しい

輝きを通して存在を伝えてきた。


月水晶ムーンクリスタル……でしゅか?」


「そうじゃ。

 むき出しになった地表だけで、この量……

 この坑道だけで埋蔵量がどのくらいになるのか、

 見当もつかん。


 あの岩盤の向こうが、これほどまでとは」


老人は呆れとも感動ともつかないため息をついて、

ただその暗闇の奥へ視線を向けていた。




「ココ売った事、後悔してるかい?」


ソルトがからかうように老人に質問する。


「もともと、ワシが生きている間にこの岩盤が

 どうにかなるなんて、思ってもいなかった。


 冥途の土産に珍しいものが見れたわい。


 ―――じゃが、こんな事が出来るアンタらは

 いったい何者なのかね?」


その言葉に、フィオナとナヴィの周囲が空き、

他の4人の視線が2人に集中する。


「アタイら、というよりこの人たち、かな。


 ――神様と、その使いだよ」


そして―――

その日の夜、改めてルコルア・バクシア間で

神託が繋がれ、今後の方針を話し合う事になった。




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「岩盤の破壊は成功―――

 坑道の補強には1週間くらいかかる見込み、

 ですね」


「そして、かなりの採掘量増加が見込める事から、

 人員確保も」


「少なくともこれで、ルコルア国の鉱山における

 『枠外の者』一強支配は防げたわけじゃな」


眷属であるアルプを通じ、バートレットと

ローン・ボガッドが状況を今一度確認する。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「そうでしゅね。

 あとは『枠外の者』がどう出てくるか、

 でしゅが―――」


「こればかりは、相手の出方待ち

 ですからね」


女神とそのお目付け役が、今後の予想は

困難との推測を述べる。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「でも、フィオナ様のおかげで対抗策は

 打てます。


 当初の予想通り、『枠外の者』が何らかの手段で

 月水晶の相場を操作しようとしても、こちらも

 それなりの鉱山を手にしたのですから」


「やつらが売ったり出し惜しみすれば―――

 その分こちらで調整が可能だ。


 何せ『ギリギリのライン』をすでに調べてくれて

 いるのだからな。

 連中に合わせれば、こちらも国に目を付けられる

 心配は無い」


商人であるマルゴットとローン・ボガッドは、

自信を持って対応策を語る。


「では、しばらくは様子見という事になりますか」


バートレットの言葉で、しばらくは小康状態に

なりそうだと、みんなの表情に安堵が浮かんだ。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「―――それでは、アタシは一度帰ります。

 すぐにこちらに戻ると思いますが、

 ちょっと開け過ぎたので……」


「……無理言ってすまなかったね、フィオナ様。

 ナヴィ様も」


「信者のためでしゅから。

 ね、フィオナ様?」




│ ■ボガッド家屋敷      │




「それじゃ、僕もルコルアへ戻ります」


「え? アルプが?」


1人目の眷属の発言に、マルゴットが思わず

聞き返す。


「まだファジー君と一緒に、ラムキュールさんの

 雇われという事になっておりますから。

 肝心なこの時に、疑いを持たれてはならないかと。


 それに、フィオナ様が帰られるのでしたら、

 遠い土地で神託を受ける必要も無いと思われ

 ますので―――」


「そ、そうかも知れないわね……

 じゃあ調査もあるし、私も出向きますわ」


―――こうして、ルコルアへアルプとマルゴットが

来る事になり、入れ違うようにしてフィオナと

ナヴィは地球にある自分の部屋へと戻った。


―――女神&お目付け役回想終了―――




│ ■日本国・フィオナの部屋  │




「事情はそうですけど、1日置きくらいに

 戻った方がいいですよ」


「まー戻るだけなら時間もかからないし、

 心配させないよう、顔見せだけはしておきますか。


 今あっちは夕方くらいですかね。

 それじゃ行きましょう」


「え” いやフィオナ様そのままで」


ナヴィが言うが早いか、1人と1匹は光に包まれ―――

部屋からその姿を消した。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




台所で食事の用意をしていたミモザは、

家の中に突然現れた気配を感じ、すぐに

その場所へと移動した。


「フィオナ様、ナヴィ様かい?

 まだアルプさんとファジーは戻ってきて……」


そこへ、アルプに付き添っていたマルゴットも

姿を見せる。


「フィオナ様が降臨なされのですか?

 ……って、え?」


「…………」


「あら?」


無言のナヴィを横に、ジャージ姿の女神は

同性の反応にようやく、自分の着て来た

服装を把握した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2402名―――



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