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25・後は俺に任せな

内定出た( ゜∀゜)



日本・とある都心のマンションの一室―――


その部屋の住人である少女が、一通の書類を

受け取っていた。


「アタシに?

 何だろコレ……


 え? ナヴィに?」


「どうかしましたか?」


不思議そうな声を上げる女神に、お目付け役の

猫・ナヴィが近寄ってきた。


「いえ、天界市役所から通達が届いたんですけど、

 宛先がナヴィなんですよ」


「?? 私に?」


ナヴィは人間の姿となり、フィオナからその

書類を受け取った。


中身を読み、時々首を傾げながら読み進める。


「どうしたの?

 そんなに変な内容?」


「いえ、そういう訳ではないのでしゅが―――


 要は、私にも神になる資格が出来たので、

 そのテストを受けてみないか、という事でしゅた」


「どゆこと?」


「フィオナ様のお目付け役兼サポートをしている間に、

 実績が積み上がって、テストを受ける条件が達成

 されたらしいのでしゅ。


 だから、その案内が来たという事でしゅよ」


その答えに、フィオナは肯定的な意見を述べる。




「いいんじゃない?」


「よろしいのでしゅか?」


「だってもし貴方がそれで神になれば、

 アタシもすごく楽になりそうだし……」


「神になる修行を始めるために、今のフィオナ様の

 お目付け役兼サポート役から、一時離脱する事に

 なるんでしゅけど?」


次の瞬間、お目付け役の前で土下座する女神がいた。


「前言撤回。

 どこにも行かないでくださいマジお願いします」


「清々しいまでに欲望に忠実でしゅね。


 それではそろそろ、本編スタートしましゅ」




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │

│ ■裏庭            │




「も、もしかして……

 あれは……」


茂みの中から、かつて自分が作ったものが月明かりの

光を反射する。

その存在を彼女に知らせるかのように―――


『……よう……

 久しぶり(3章4話以来)だな……』


筒状の形状の武器が語りかけてくる―――

そんな異様な状況に疑問を感じる事なく、

フィオナは確認の意図を込めて答えた。


「……ぱんつぁーふぁうすと君……?」


両のてのひらを顔の前で合わせて、

女神はさらに言葉を続ける。


「……貴方……

 捨て設定じゃ……なかったのね……?」


『……後は……

 ……俺に……任せな……』


「ぱんつぁーふぁうすと君……


 貴方……とても漢前イケメン過ぎるわ……!」


月光の下で―――

フィオナは、自らが作り出した兵器を

ひざまずいて抱きしめた。


(感動的な場面なのか?)


バクシアにいるナヴィが神託を通じて

ツッコミを入れる。


「当たり前じゃないですか!

 ここは泣く場面ですよ!」


(ちっとも感動出来ない! 不思議!


 それはともかく、そろそろ戻った方がいいのでは?

 こちらの方々ももう揃っておりますし)


「そ、そうですね。

 では、これを持ち帰って……」


両手で抱えるように持ち上げると、よろけながら

フィオナは眷属たちが待つ食堂へと向かった。




│ ■ファジーの家・食卓       │




「あ、フィオナ様……って、え?」


戻って来たフィオナに、アルプは真っ先に声を

かけたが、同時に自分が仕える女神が持ってきた

異様な物に対し、言葉を失った。


「な、何だいこりゃ?」


「鉄で出来ているの?

 こんなの、見た事ない……」


姉弟が続けて驚き、同時に感想と質問を述べる。


「な、何スか? これ?」


目を丸くしたままソルトがフィオナにたずねる。


「えっと―――

 取り合えず、バクシアと神託を繋いでから

 説明します」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「準備はいいでしゅか?

 フィオナ様」


(は、ハイ。おかげさまで)


バクシアにいるお目付け役・ナヴィが神託の

確認を行い、女神からの同意を得る。


「それで、その―――

 話がよく見えないのですが、フィオナ様が

 用意してくださった、『それ』は―――


 今回購入した鉱山と、何か関係が」


バートレットが、その説明を早く、というように

答えを促す。

おそらく、バクシア・ルコルア両国にいる人間は

同じ気持ちでいるだろう。


(はい。これはですね……)


―――女神説明中―――




│ ■ファジーの家・食卓       │




「バクハツ?」


「カヤク?」


フィオナの説明に、眷属2人は理解出来ない、

とお互いの疑問を確認し合うように顔を見合わせる。



「えっと、その、

 『ドカーン!』ってなる物なんですけど」


余計に訳がわからない、という感じで

今度はミモザとソルトが視線を宙に向ける。




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「―――つまりでしゅね。

 強い衝撃を与える事が出来るのでしゅよ。


 こちらにもカミナリはありましゅよね?」


見かねて、ナヴィがフォローで説明に入る。


「ええ、ありますけど」


「光って、デカい音と一緒に落ちてくるヤツだろ?」


マルゴットとトニックが聞き返す。


「その落雷の後、木が破壊されたり、地面が

 焦げていたりしましゅよね?


 しょれと同じ破壊力をぶつけられる物、

 とでも思ってもらえればいいでしゅ」


「で、では……

 問題となっているあの岩盤に、それを

 ぶつけるという事ですな?」


ローン・ボガッドの言葉に、バクシアとルコルアの

人間の表情が、理解した順に明るくなった。




│ ■ファジーの家・食卓       │




「さすがはフィオナ様です!

 そんな解決策まで用意していたなんて」


「雷のような物を岩盤にぶつけるんですね?

 それなら、何とかなるかも……!」


2人の眷属が興奮にも似た表情で、主従である

フィオナを称える。


「しっかし、心臓に悪いよ。

 そんな方法があるんだったら、最初から

 言ってくれりゃいいのに」


「ミ、ミモザ姉っ」


姉の抗議を弟はたしなめる。

それに反するように、女神は深々と頭を下げた。


「その点については謝ります。

 ですが、前にも話した通り、神の身というものは

 あまり人間の世界に介入出来ないのです。


 アタシ自身、こんな物が役に立つ時が来るとは

 思ってもみなかったので(ウソは言ってない)」


「……悪いね。

 全部、完全に人間こっちの都合だもんな」


「しかし果樹の神様なのに、よくこんなの

 作れたもんッスね?」


突然のソルトの質問に、フィオナはうろたえる。


「え? ええ?


 そ、それはデスネあのーハイ?」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「しょれはおそらく―――

 新たに眷属となったファジー君の影響だと

 思われるでしゅよ。


 信者、特に眷属を助けるというのは、

 フィオナ様の最大の目的であり使命でしゅので。


 ただ、神としての役割を超えているのは

 確かでしゅ。

 今回のしょれは、例外とも言うべきものでしゅよ」




│ ■ファジーの家・食卓       │




「(ナイスフォローですよ! ナヴィさん!)」


(あまり世話を焼かせないでください。

 毎度毎度……)


「ぼ、ボクのために……」


涙目になるファジーに罪悪感を感じながら、

フィオナは神としての威厳を保つため、

その振る舞いを継続する。


「アタシはかつてアルプにも約束しました。

 『信者を決して見捨てたりしない』と―――


 ただ、それだけです」


「フィオナ様ぁ……」


完全に信じ切っている瞳を輝かせながら、

1人目の眷属はフィオナを見つめる。


「(やべぇこれが信仰と信頼の光……!

 浄化されてしまう……!)」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「光に照らされて闇が浮き彫りになってましゅね」


「何の話かの?」


「いえ、何でもないでしゅよ」


老人の疑問に、ナヴィはごまかすように返した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2368名―――




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