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19・ウン。フツー逆じゃね?

連載50話達成。

てか、それで評価ポイント?が1ケタって

ウチくらいかも(;・∀・)



日本・とある都心のマンションの一室―――


女神・フィオナとお目付け役の猫・ナヴィは

向かい合って座っていた。


「さて、ナヴィ―――

 貴方に聞きたい事があります」


「改まって何でしょうか?

 何なりと」


たたずまいを直し、背筋を伸ばしてナヴィは

真剣な表情のフィオナと視線を合わせる。


「シモン君の店で―――

 女性用の制服を着用したとの話(3章12話参照)

 ですが、それは事実ですか?」


「はい。

 ですが、店の制服ではないとシモン君が怒り、

 あの姉妹を追いかけていきましたが」


「―――そうですか。


 では、着た時の感想をお聞かせください」


ゴクリとつばを飲み込む音がフィオナの喉から聞こえ、

ナヴィの回答を待つ。


「動きにくかったです」


「でしょうね!!


 じゃなくて、アタシが聞きたいのは……!」


その時、不意に天界との連絡がつながり、

フィオナの頭の中に声が響いた。




『甘いわね、フィオナちゃん……』


「マ、ママ!?」


『あの程度でナヴィが動揺するはずも無いわ……』


「ど、どうして!?

 ナヴィにいったい何があったんですか!?」


『なぜならあのコは、私が散々着せ替えして

 遊んだのだから……!

 いやあ良かったわあパパと初めて会った頃の事とか

 その時の思い出を再現出来てもう何ていうかハァハァ』


「何してるんですかママ?(真顔)」


『急に冷静になられると心臓止まりそうになるから

 やめてちょうだい?』


「ていうかナヴィ。

 貴方は嫌じゃなかったの?」


渦中の人物に質問を投げると、特に感情の起伏なく

応えが返ってきた。


「元猫ですし、人間の着る物については詳しく

 ありませんから。

 なので、これといった感想は別に」


いつも通りの態度をくずさないナヴィをよそに、

アルフリーダが会話を続ける。


『だいたいねーフィオナちゃん。

 それならあのアルプって眷属のコ?

 どうして潜入させる時、ファジー君と一緒に

 姉妹って事にしなかったのよ』


母親の言葉に、フィオナは衝撃を受けた表情を返す。


「そ、そうか……!

 その手があったか……!

 よし、それは次の機会に……!!」


「次っていつだよ。


 それじゃ、そろそろ本編入りますねー」




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │

│ ■フィオナの寝室       │




>>900


【    こちらも鉱山を買う    】




「…………」


アンカーから出された答えを改めて見直し、

フィオナは沈黙する。



【 一番シンプルな対抗策だって言ってたじゃん 】


【 目には目を、歯には歯を 】



「だから現実的ではないって言ってたのに、

 どこを聞いているんですかこの『アンカー』

 どもは……」


(聞いていたからこその選択じゃ

 ないですかね?)



【 まあ、買えるかどうかは別問題だし。 】


【 最後の手段ってやつで、ね? 】



(実際、予算の問題で決まるでしょうね。


 一応、次の話し合いの時に提案してみますか)


「そ、そうですね。

 いくら『アンカー』でも、出来る事と出来ない事が

 あるはずですから……」


(だから今後はもっと慎重に『アンカー』を

 使ってください。


 条件さえ付けていれば、多分こういう二度手間は

 しなくて済んだと思います)


「は、はぁ~い……

 それじゃナヴィ、おやすみなさい」


(はい、おやすみなさい。

 それでは失礼します)


こうして、フィオナとナヴィは神託を閉じ―――

翌日に備える事にした。




│ ■ファジーの家・食卓       │




「……鉱山の相場?」


朝食を取りながら、ミモザがフィオナの言葉を

聞き返す。


「それくらいならすぐ調べられるけど―――

 多分、前にも言った通り高騰こうとうしているのは

 間違いないぜ」


ソルトが続いて、フィオナに応える。

そして2人の顔には、『まさか、買うつもりなのか?』

という表情が張り付いていた。


「え、えっと……

 一応、知っておいた方がいいかなー、って」


「そうですね。

 買う、買わないかはともかくとして、

 今の相場はどれくらいか、把握しておいた方が

 いいかも知れません。


 何せ、ミイト国の『枠外の者』まで絡んで

 きているのですから……」


「アルプさんの言う通りだと思うよ、ミモザ姉。

 他の鉱山だって、『枠外の者』に買われないとも

 限らないし」


アルプとファジーが、フィオナを擁護するように

2人で提案の理由を補強する。




「そうかも知れないなあ……

 ま、どちらにしろアタイらが手を出せる

 値段じゃないだろうし」


「りょーかい。

 メシ食ったら、ひとっ走り調べてくる。

 昼には戻れっかな?」


「そうだな。

 ファジーはまた2人のお世話を頼むよ」


ミモザがファジーに留守番を頼むと、不満ながらも一応、

彼は同意して首を縦に振った。


「ウ、ウン……」


「あ、じゃあお昼ご飯作って待ってますね。

 ファジー君、一緒に作ろう」


「ウ、ウン……え?」


アルプの提案に、きょとんとするファジー。

そしてミモザも慌てて口を挟む。


「い、いや、アルプさんとフィオナ様は

 お客様なんだから」


「僕の料理の腕は知っているでしょう?

 それに、裏庭の果実も試してみたくって」


「アルプさんの料理かー。

 あれは美味いからな」


ソルトがうなづくところを、ミモザが頭を

引っぱたく。


「調子に乗んな!

 ……んー、じゃあお願いするよ。

 家の中の物はファジーに聞いてくれ」


「じゃ、ファジー君。一緒に作ろう!

 フィオナ様はその、失礼ですけど味見を

 お願い出来ますか?」


「えっ?

 あ、ハイ。わかりました」


こうして、ミモザ・ソルト組は調査へ出掛け―――

女神と眷属組は留守番して、昼食を用意する事になった。




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「鉱山を?」


マルゴットはナヴィの質問を、驚いた顔で

聞き返していた。


「あくまでも、購入しゅる場合でしゅが―――

 現実問題としゅて、可能性はどりぇくらい

 あるのか、と」


「購入自体は、連合に加盟している国の者であれば

 問題ありません。

 ただし、それぞれの国の法に準拠しますが。


 私は、アルプ君のおかげで資産も増えて、

 今は金貨5千枚くらいなら動かせます。


 ラムキュールが購入した鉱山は、その10倍の

 金貨が必要なのです」


同じく聞いていたローン・ボガッドとバートレットの

2人が、うなるようにして考え込む。


「ワシもボガッド家の当主に返り咲いたが―――

 ソニアさんに財産を相続させたのもあって、

 金貨1万5千枚ほどが限界じゃろう」


「私は……家屋敷を売れば、金貨2千枚くらいには

 なるでしょうか」


最後のバートレットの言葉に、つくづく現実的では

ない案だと、ナヴィは思い知らされていた。


「うみゅう……

 この前判明した、ミイト国の商人はそれくらい

 ポン、と出しぇるという事でしゅか?」


「ハッキリ言えば、序列1位から3位までの国が、

 実質上の連合国家の支配者だ。


 経済規模で言えば、4位のバクシアからそれ以下の

 国をまとめて、ようやく3位のミイト国と対等、

 くらいの実力差がある」


「にゃるほどでしゅ。


 (まあこれで、少なくとも今回の『アンカー』は

 実現不可能でしょう。

 となると、他の案を考えておくべきか……)」


彼らの話を聞いて、ナヴィは今後の事について

頭を回転させ始めていた。




│ ■ファジーの家・台所       │




一方、その頃―――

ファジーの家では、眷属が2人で料理に

取り組んでいた。


「で、ここで塩を入れて……」


「ハ、ハイっ。えーと、分量は」


「ああ、そのへんはあまり気にしないでいいよ。

 取り合えず適当に。

 手順さえ覚えておけば、後で調整が効くし」


その2人の後ろ姿を、女神はテーブルに座りながら

見つめる。


「(……アタシのために男の子が、それも2人も

 頑張って料理を作っている……


 ウン。フツー逆じゃね?


 アタシ、家に帰ったら、卵料理以外も作れるように

 なるんだ……!)」


微妙なフラグを立てながら―――

女神は決意を新たに、眷属2人はお昼の準備を

進めていた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在2227名―――




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