43・恐らくここが聖地となるぞ
( ・ω・)次回400話達成!!
(続いただけ)
日本・とある都心のマンションの一室―――
黒髪セミロングの、やや目付きの悪い少女と、
銀のロングウェーブの髪を持つ少女が、
カーペットの床で脱力していた。
ただ、二人ともその年齢は十才かそこらに見え、
「お~う~……♪
いやこりゃあクセになりますねぇ、メイさん」
「ですねぇ~……
こりゃ女にとって麻薬とも言うべきもの
ですよぉ……♪」
そしてそんな彼女たちを、グリーンの瞳と短髪を
持つ少年が、困惑した表情で見つめ、
「何かあったんでしゅか?
アルプしゃん」
「あ、ナヴィ様」
さらにそこに銀髪の美少年が現れ、状況を
問い質す。
「いえ、その―――
この前、アルフリーダ様が
いらっしゃいまして」
「ご主人様が?
ああ、しょれで二人ともあんなに幼く
なっていたんでしゅね」
(時と成長を司る女神・アルフリーダは、
年齢や外見をコントロール出来る)
しかし、原因はわかったが理由がわからない
ナヴィは首を傾げ、
「で、どうしてあのような状態に?
まあろくでもない事でしょうけど」
その問いに彼女たちの夫は困ったように笑い、
「あ、あはは……
えっとですね、フィオナ様もメイさんも、
僕より年上じゃないですか」
「まあそうでしゅね。
しょれで?」
「そ、それでですね―――
アルフリーダ様が『たまには年齢逆転シチュ
やってみない?』とご提案なされて」
その答えに女神の従僕は目を糸のように細め、
そして彼の妻たちの方へ振り向くと、
「いやも~……
ヤバかったわ、ホント」
「体の大きさが逆転しただけで―――
まさかこうまで精神が幼くなるとは。
ずっと甘えっぱなしでもいいと思い
ましたよ、アルプお兄ちゃ~ん♪」
そう言いながら這いずるようにして、
フィオナとメイはアルプにまとわりつく。
「アルプしゃん自身はしょれでいいん
でしゅか?」
「僕はまあ、いつも二人にベッタリ甘えて
いましたし。
それに一人っ子でしたので、兄弟や姉妹がいる
家庭に憧れていたといいますか」
それを聞いたフィオナとメイは、さらに
ゴロゴロと猫のように体をこすりつける。
「ふみゅう、しょうでしゅか。
では私はこれで……」
「え? もっとゆっくりしていっても」
「んー、近くに寄ったので顔見せみたいな
感じでしゅたから。
あ、お土産は冷蔵庫に」
「ありがとうございます」
そうしてナヴィは、今や愛の巣となった
マンションを後にしたが、帰りのエレベーターの
中で、
「多分―――
明日の朝まではあの姿のままでしょうねえ。
アルフリーダ様の事でしゅから、
あのまま ベッドインプロレスまで考えて
いるでしょうし。
ま、しょれはしょれとして……
そろそろ本編スタートしましゅね」
│ ■フラール国・ビューワー家館 │
「畑の中に社を、なるほど―――」
「果樹の女神様が下賜された黄金の果実
ですからね。
眷属の果樹園に設置するのは、理にかなった
事かと」
アラサーだが、年齢よりずっと若く見える
ホワイトシルバーの短髪をした伯爵青年と、
真っ赤なロングヘアーの伯爵夫人が、
揃って同意の言葉を述べる。
『アンカー』たちに相談し、指示された事を
報告すると、フィオナの夫ともう一人の妻も
また、
「確かにここは、フィオナ様が初めて
ご降臨された土地でもありますし……」
「黄金の果実もその時のものでしょう?
それに、ここの果樹園もかなり大きく
なりましたし、社の一つや二つくらいで
どうという事もないですよ」
と、おおむね好意的に受け止められ、女神は
ホッと胸をなでおろす。
「そ、それじゃあ社の建設はお任せしても
大丈夫でしょうか?
あ、それと黄金の果実はアルプに渡した
ものではありますけど、今まで預かって
くれたのがグラノーラ家ですから……
その功績をどこかに記す事は出来ない
ですかね?」
珍しくフィオナが気を遣った意見を言うと、
「そうですね。
実質、ずっとグラノーラ家が維持管理して
くださったのですから」
「アルプ君はもうフィオナ様と結婚して
いるから、所有していても意味ないと
思いますし。
ここでスッパリとグラノーラ家に所有権を
渡して、文字通り家宝にしてもらうと
いうのは」
次いでアルプとメイから案が提示され、
「ふむ。
それでいいと仰られるのであれば―――」
「ね、願ってもないお話です!
あ、でもあなた。
一応陛下には話を通しておいてからの方が
いいと思いますわ」
ビューワー伯爵とマルゴットもそれに賛同し、
そして社の建設が決まった。
そして後日話がまとまり、社の作成に向けて
各担当の技術者が集まり……
建設計画を話し合っていたのだが、
「ご神体は黄金の果実と聞いたが」
「果実1つ奉納しておければいいと―――
それで社も小さくていいと言われている」
技術者たちはそれを元に図面を引き始め、
「だが、同時に女神様を奉る社でも
あるのだろう?」
「そもそも女神様から下賜されたものだという
話だしなあ……」
「果樹の女神ながら、世界を脅かす
限理神とやらと一騎討ちして、
勝利したとも聞いているぞ?」
そこで彼らは他の図面も退き始め、
「では黄金の果実とは別に、女神様の像も
必要になるのでは?」
「となると小さな社ではすまないな―――」
「本殿もいるのでは?
それに、恐らくここが聖地となるぞ?」
と、次から次へと追加要素が出て来て、
「参拝客も大勢来ると思われるしなあ」
「そのための道路整備も必要だな」
「だが果樹の神様だ。
それで畑や果樹園に手を付けるのは、
お望みにならないだろう」
「ならば地下道を作るか、それとも上を通る
陸橋を造るか……」
そしてフィオナの想定とは裏腹に、社は大規模に
なっていった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在10,089名―――
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