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32・『神様ですか、どうぞお通りください』

( ・ω・)シリアスが続くと体が拒絶反応を

起こす(病気)


「宿屋を成長……

 そんな事まで出来るのですか!」


「確かにママ、ウチのマンションもいつの間にか

 ペット可にまで成長させていたしね」


「フィオナ様もすごいと思いましたけど、

 お義母(かあ)様も何でもアリですね」


天界・フィオナの神殿(じっか)―――


そこでグリーンの瞳と髪の少年・アルプと、

その妻である二人……

黒髪セミロングのやや目付きの悪い女神・

フィオナと、

銀のロングウェーブの髪を持つ少女、

メイが驚きつつも納得する。


「それに、フィオナちゃんと違って―――

 初めての異世界ってわけじゃなかった

 ですからね」


ブロンドの長髪と抜群のプロポーションの女神、

アルフリーダは得意気に胸を張り、


「でも宿屋を成長って……

 目立ちませんでしたか?


 僕の世界なら大変な騒ぎになるような」


アルプがおずおずとたずねると、


「そりゃあ大変だったさ。


 すぐに役人とかすっ飛んで来てね」


黒い短髪の、褐色肌の青年―――

軍神ユニシスがしみじみと昔を思い出す

ように両目を閉じ、


そして昔話が再開された。




―――アルフリーダ回想再開―――




「……何か外が騒がしいわねえ」


翌朝、第一眷属とした少年を抱きながら

眠ったアルフリーダは、宿屋の外で何やら

騒動が起きている事に気付き、目を覚ます。


『だから私にもわからないんだって!

 気が付いたらこんな事になっていたのよ!


 改装するお金なんてありゃしないし、

 たった1日でこうなるわけないでしょ!』


聞くと、女将さんがどうも対応に苦慮している

ようで―――


彼女はベッドから抜け出すと、そのまま

騒動の中へと足を進めた。




「何かわかったか?」


「いや、女将にも何が何だかわからんらしい。

 ウソを言っているというか、そもそも状況を

 把握できていないようだ」


表に出ると、役人らしき兵士がチラホラいて、


「やっと来たのですか」


私がそう言うと、女将さん、それに彼女と

揉めていた連中はこちらに振り向き、


「ん?」


「誰だお前は?」


そこで私は宿屋に振り向くと、


「女将さん、どうしますか?

 無用であればこの宿屋、元に戻しますけど」


それを聞いた彼女はポカンとしていたが、


「へっ!?

 こ、これアンタがやったのかい!?


 い、いや……

 出来ればこのままにしておいて

 欲しいんだけどさ。

 でも、騒ぎになっちまったら―――」


そのやり取りに、女将さんを問い詰めていた

兵士たちの矛先が自分に向かう。


「これはお前がやったのか?」


「いったいどういう……!」


そんな彼らに私は近付き、手をかざす。


「私を出迎えに来るのであれば、これくらいで

 なくては」


すると彼らの鎧や武器が、ほのかに輝いたかと

思うと、


「な、何だこれは―――」


「こ、こんな立派な装備、俺たちは

 持っていないぞ!?」


困惑する彼らに私は背を向け、横目で

視線だけ向き直し、


「この国の領主、もしくは国王に伝えなさい。


 『時と成長を司り、見守る女神』……

 アルフリーダ・ルールーが降臨したと。


 そして私と眷属に迎えを寄越しなさい、

 とね」


私はそれだけ言い残すと、再び宿屋へと

戻って行った。




「も、申し訳ございません!

 神様とはつゆしらず!!」


食堂で朝食を持ってきた女将さんは、

土下座せんばかりに頭を下げるが、


「ああ、気にしないでください。

 こちらも名乗りませんでしたし。


 それにあなたは、眷属であるこの子を

 きちんと接待しましたからね。


 この宿屋はそのお礼、ってところかしら。

 後は宿代ね」


「うへへぇ、この子も神様の眷属なのですか。

 も、もちろん宿代は結構でございますとも!」


何度もペコペコと頭を下げると、彼女は

逃げるように去っていき、


「お、お金どうしようかと思っていたん

 ですけど―――

 さすが女神様です!」


褐色肌の少年が、キラキラした瞳で私を

尊敬の眼差しで見つめる。


「まあこういうのは最初の印象が大事

 ですからね。


 いくら私が女神だと言っても、いきなり

 『神様ですか、どうぞお通りください』

 なんて言う兵士や門番はいないわ。


 だから女将さんには気の毒だけど、

 こうして目立たせてもらったのよ」


それを聞いたユニシスは、そのキラキラした瞳を

ますます輝かせる。


「これで、少なくともこの街の上層部には

 私が来た事が伝わったはずだから……


 お迎えが来たらユニシス、あなたも私の

 眷属として行くわよ」


「も、もちろんですっ!!」


元気いっぱいに返事をしてくれる、

それが私に取ってはたまらなく嬉しく、


「じゃあ、あなたも―――

 ちょっとおめかししておきましょう。


 食事の後で、ね♪」


そして私はユニシスと朝食の時間を楽しんだ。




それから一時間後くらいに、宿屋の前に

高級そうな馬車が一台停まり、


「こ、ここに……

 女神様が降臨されていると聞いたのだが」


馬車から降りて来た従者らしき男は、

うやうやしく女将にたずね、


「アルフリーダ様ですね。

 はい、いらっしゃいますよ。


 今、お呼びいたします」


そんなやり取りが外から聞こえて来て、

すぐに女将さんが部屋へとやって来る。


「行きますよ、ユニシス」


「は、はいっ!!」


そして私と彼は宿の外へ出ると、


「あ、あなたが―――

 女神様なのですか?


 この街の領主様より、あなたをお連れするよう

 命じられてきました。


 ご同行、お願い出来ますでしょうか」


領主様のお使いである、アラサーの男の

申し出に私はうなずき……


「眷属も―――

 この子も一緒でよろしいかしら?」


私の問いに、彼は他の従者と思しき者たちと

顔を見合わせたが、


「え、ええ、もちろん。


 とにかくお連れするように……

 そして、可能な限りご希望に沿えるようにと

 命じられておりますので」


そこで私はユニシスに視線を落として、


「さあ、行きましょう」


「はいっ!!」


そして私は、彼と共に馬車へと乗り込んだ―――




カシャ☆




―――女神フィオナ信者数:現在8821名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】

https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288


ネオページ【バク無双】

https://m.neopage.com/book/31172730325901900


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

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