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30・(その後吐いたけど)

( ・ω・)血圧は手首ではなく腕で計る方が

正確だという事をこの前知る(高血圧薬が

常備薬の老人)


「えっ、じゃあパパって最初から

 強かったんだ!?」


「さ、さすがはフィオナ様のお義父(とう)様です!」


「なるべくして軍神になったのですね」


回想から天界・フィオナの神殿(じっか)へと戻り……


やや目付きの悪い黒髪セミロングの娘と、

その夫である、グリーンの瞳と髪をした少年、

そしてもう一人の妻である銀のロングウェーブの

髪をした少女が、ユニシスについての感想を

それぞれ語る。


「そう言われるとちょっとなあ。


 まあアレだよ。

 死の直前で能力が目覚めた、みたいな?


 それでもママが来てくれなかったら、

 あそこで終わっていただろう」


フィオナ・アルプ・メイの言葉に―――

父親である黒髪黒目・褐色肌(かっしょくはだ)の青年ユニシスは

照れ臭そうに話す。


「まあそれが初めての出会いだったのよね。


 あの時のパパったら……

 可愛いのとかっこいいのと、それでいて

 ピンチだったから庇護欲(ひごよく)が半端なくて。


 運命って信じたわ。神様の私が」


長いブロンドの、抜群のプロポーションを持った

女神は、両手を頬に添えながらクネクネと腰を

振って踊る。


「でも本当に正直ギリギリだったからねえ。


 あの時の僕は子供の体だったし―――

 『マガツモノ』も10体近くいたから、

 周囲の数体を倒したくらいでは、どうしようも

 無かった。


 僕はそれで神様の存在を信じたよ。

 実際、女神様だったわけだけど」


ユニシスの話に、アルプはコクコクと

うなずいて、


「それ、すごくわかります……!


 僕がフィオナ様に助けて頂いた時も、

 もう詰んでいたような状況でしたから」


互いに眷属で、しかも窮地(きゅうち)を救ってもらった

経験のある二人は、連帯感のようなものを覚え、


「あ、でも僕の方はまだ何ていうか―――

 別に命まで取られるような状況では

 なかったですけど」


義父と比べる事が不敬と思ったのか、少年は

慌てて訂正するが、


「……いや、でもそういう意味では、

 君の方が危なかったか」


「そうねえ。


 今だからこそ話せるけど、私たちは

 その世界からフィオナちゃんを引かせようと

 していたの」


義理の両親の言葉に、アルプとメイは目を

丸くして、


「えっ」


「ど、どういう事でしょうか」


そこでユニシスとアルフリーダは真剣な

表情となり、


「フィオナは果樹の豊穣(ほうじょう)(つかさど)る女神。

 当然、出来る事も限られている」


「だから私たちは当初、『枠外の者』や

 国家間の問題に発展したと聞いて、


 フィオナちゃんの神としての能力を超えて

 いると―――

 別の世界へ移そうとしていたのよ」


急に裏事情を明かされ、義理の息子と娘は

黙り込む。


「神様といえど、出来る事は限られている。

 また信者とはいえ、人間の生活に過度(かど)

 介入する事は許されない。


 ましてあの時は『契約』上の問題だった。

 それが条件通りに履行(りこう)されているとなると、

 手出しはほぼ不可能だったのだ」


「でもフィオナちゃんが猛反対してね。


 『アタシ、眷属にしたあの子に約束

 したんです。

 信者を見捨てたりしない。

 信じて待ってて、って。


 アタシは―――女神として、パパとママの

 娘として。


 ―――約束を破りたくありません』


 そう言われたら、ねえ」


「フィオナ様ぁ……」


涙目になったアルプが、フィオナを

熱い視線で見つめ、


「な、なかなか―――

 すごい覚悟でやっていたんですね。


 こう言っては何ですけど、普段の様子から

 しますと、ちょっと意外といいますか」


メイが驚きを隠せずに正直に話すと、


「まあ結構頑固(がんこ)な娘なのだよ。

 誰に似たのだか。


 それにあの時のフィオナは、実は神の資格を

 はく奪される危険もはらんでいたのだ」


「親としては気が気じゃなかったわよね、

 あの時は。


 私たちも手を出せる範囲が限られていたから、

 毎日ヒヤヒヤしていたわ」


「も、もう……!

 上手くいったんだから、いいじゃ

 ないですか!」


顔を真っ赤にしたフィオナが、照れ隠しで

両腕をブンブン振る。


「まあ確かに、今でこそ単なる過去の話だが、

 同時に娘の成長を目の当たりにして、

 嬉しいやら複雑やら、だったよ。

 (その後吐いたけど)」


「本当にね―――

 子供っていつの間にか、親の想像を超える

 くらい、精神的に成長しているのよね。

 それを実感したわ。

 (その後吐いたけど)」


さすがに二人そろって嘔吐(おうと)した事だけは、

ルールー家も口には出さず……

(■1章3話

電子上の頭脳集団、その名はアンカー参照)


「そ、それでそれで!?

 それからパパとママは、一緒に行動

 するようになったんですか?」


話を元に戻そうと、娘である女神が

催促(さいそく)すると、


「そうだね。

 ママと共にあの世界を救う一歩を

 歩み出したのは、間違いなくあの時

 だったと思う」


「その時はそんな自覚も無かったけどね。


 救うのは既定路線だったし、とにかく

 調べなきゃ、って思ってて」


そして二人は再び、記憶の中へと戻って

いった。




―――アルフリーダ回想再開―――




「……あ……


 ……女神、様……?」


「えっ!?

 そ、そう―――

 私は時と成長を司り、見守る女神……

 アルフリーダといいます。


 それより少年、あなた先ほ異様な存在に

 襲われていたようですけど、この世界で

 何があったのですか?」


ある程度の情報は事前に知っていたが、

彼女は現地の人間から状況を一通り

聞く事にした。




「なるほど―――


 あなたの住む地域で、『マガツモノ』なる

 存在が出現し始め……

 それで逃げて来たと。


 大変だったのですね。

 それで、あの―――

 あなたのご家族は……」


ユニシスは首を左右に軽く振り、


「もともと、僕には家族はいません。

 孤児(こじ)でしたから―――


 ただそれが幸いして、住んでいる町の

 あちこちに、抜け穴みたいなものを

 見つけていたんです。


 それでいち早く逃げる事が出来て、

 ここまで……」


そこまで彼が話すと、アルフリーダは

少年を優しく胸の中へと抱きしめた。




カシャ☆




―――女神フィオナ信者数:現在8786名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】

https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288


ネオページ【バク無双】

https://m.neopage.com/book/31172730325901900


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958


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