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25・何かたくましくなったねえ

( ・ω・)GWも出社出来ないかなあ

(休みがあると執筆もエンジンが

かからない社畜体質)


日本・とある都心のマンションの一室―――


そこで、グリーンの髪と瞳を持つ少年と、

黒髪セミロングのやや目付きの悪い少女、

そしてシルバーのロングウェーブの髪をした

女の子が座り、


黄色に近い首までの長さの金髪を

ウルフカットにした、半人半獣の狐耳の

少女と、銀髪の美少年がその三人と

対峙していた。


「ど、どうも……

 そちらのワーフォックスさんとは

 お久しぶりです」


まずアルプが挨拶して、


「まあ私は普段こちらの家にまだいる時が

 多いでしゅけど―――

 彼女はもう別のタワマンにいましゅ

 からねえ」


ナヴィも同じ夫として返す。


「えーと、私は何で呼ばれたんです?」


当の狐耳の少女は首を傾げて、


「あー、ちょっとそちらの食生活について

 他の奥さんとも話していまして」


「後残っているのは、カガミさんと

 ワーフォックスちゃんだけですので、

 それでお話を聞きたいかなーって」


フィオナとメイが、妻同士として彼女に

話を促す。


「話す事と言っても……

 悪霊ちゃんがメインで作っているのは

 ご存知なんですよね?」


「いやでも、全部ってわけじゃないでしょ?」


「個人的に、どういうのを作っているの

 かなって」


女神と第三眷属の妹が、世間話の一環として

聞こうとすると、


「まあどちらかと言いましゅと―――

 彼女の料理は結構私と合っていましゅよ?


 元が猫でしゅし、野生である分好みが

 一致する事が多いといいましゅか」


嫁をフォローするかのように、ナヴィが

ワーフォックスの前に答え、


「そうですね。

 その点はカガミさんと似たようなものかと。


 ですから時々、私とナヴィ様、カガミさんの

 3人で生肉……

 もとい生食用のお肉を食べたりしています」


ふむふむ、と聞いていたアルプ一家はうなずき、


「でも、危なくはないんですか?」


「この国だと、生食用に処理されたお肉を

 売っていたりするんでしゅよ。


 卵だって生で食べられるでしょう?」


心配そうに聞くアルプにナヴィが答え、


「あー、そうですね。

 あれはビックリしましたよ」


「そういえばアルプもメイさんも―――

 初めて食べた時は驚いていましたものね」


メイが語ると、フィオナもそれを補足する

ように続く。


「人間が卵をナマで普通に食べているの、

 私だって初めて見ましたからね。


 悪霊ちゃんの話では、ここ100年ほどの

 事だって言っていましたけど」


うんうんとうなずきながら、ワーフォックスも

その事について語り、


「お聞きしたい事はその事でしたか?」


続けて彼女は本題に話を戻すと、


「んー、まあ料理的なものを聞きたかったん

 ですけど……」


「生って言われたらそれ以上は」


アルプの妻二人は、やや困惑した表情で返す。


「まあ、それは仕方の無い事かと。


 僕だって果実そのものの調理方法を

 聞かれたら―――

 切るか煮るかしてください、としか

 言えないですし」


「何せ生肉でしゅからねえ。

 せいぜい味付けくらいしか……


 それもこの国は、様々な調味料が充実

 していましゅからね。

 料理と呼ぶにはちょっと」


夫同士が苦笑しながら、互いに感想を漏らす。


「参考にならなかったようで、申し訳

 ありません」


獣人の少女がそう言って頭を下げると、


「あ、いえいえ!

 こちらも興味本位で呼んでしまったので」


と、女神の方も返礼で頭を下げる。


これで用件は終わりかと、一段落しかけた

その時、


「あ、フィオナ様。

 ちょっといいですか?」


不意にメイが質問し、


「?? 何でしょうか、メイさん」


「あのお米?

 という穀物ですけど―――


 あれ、わたくしたちの世界へ持っていく

 事は可能ですか?」


その問いかけにアルプも入り、


「あ!

 あれ、すごく美味しいですよね!


 フィオナ様には様々な農作物を

 頂いておりますが……

 あれも出来る事なら、お願いしたいと

 思っていたのですけど」


するとナヴィが顔の前で手を水平に立てて

左右に振り、


「フィオナ様は果実の女神なんでしゅよ。


 なので、果実関係については移動させる事も

 可能でしょうが―――

 穀物となるとしょれは」


言外に、不可能という事を彼らに告げる。


「こちらから、苗とか種とか持って行く事は

 出来ないのですか?」


ワーフォックスが夫にたずねると、


「別世界に物を移動させるのは、結構制限が

 ついていましゅてね。


 バーレンシア侯爵やビューワー伯爵に、

 よく栄養ドリンクを差し入れていましゅが、

 あれだってかなりグレーなものなんでしゅよ。


 すでに精米したものを持ち込んで、その場で

 全部調理・食べてもらうのならまあ」


「そ、そうですか……

 残念です」


アルプがしゅん、と肩を落とすと、


「よし、じゃあお米を果実として女神パワーで

 再現してみるか」


「おい柑橘系(かんきつけい)女神。

 お前は何を言っているんでしゅか?」


それを見た人間と半人半獣の少女は、


「愛する旦那様のため、頑張ってください!」


「神の愛で乗り越えられない事など、

 何もありません!」


そう言って応援し、フィオナが精神集中する事

一分弱。


「出来たわ!!」


「なんで?」


従僕のツッコミの通り、その女神の手には

苗が握られており、


「す、スゴイですフィオナ様!!」


「あー、うん。

 やったね女神ちゃん。


 しょれではそろそろ本編スタート

 しましょう」


女神たちの夫の言葉の後に、ナヴィは

投げやりに物語の進行を宣言した。




│■フラール国・バクシア国代官館(改4)│




「準備はどうかな?」


「私の方は出来ております」


フラール国のバクシアの代官館で―――

応接室にあたる部屋、そこに頬にクロスの

傷を持つ侯爵と、シルバーの短髪の伯爵の

二人の男性が互いに情報を共有し、


「グラノーラさんは?」


「はい。

 こちらも持っていくものはすでに」


金髪で長身の、女騎士といった体の侯爵夫人と、

真っ赤な長髪を持つ伯爵夫人が、確認し合う

ようにやり取りする。


「いやー、でもすごい荷物ですねえ」


地球・日本にいるナヴィとその妻たちとの

顔合わせのため、迎えに来たフィオナは

彼女たちの荷物に目をやると、


「あ、これはどちらかと言いますと、

 持ち帰る用のものです」


「デザイン的な物はあちらの世界から持って来て

 いいとの事でしたので……

 衣装やファッション、その他もろもろのものを

 持ち帰ります!」


レイシェンとマルゴットは鼻息荒く答え、


「うーむ。

 しょこはやっぱり女性といいましゅか」


共に迎えに来ていたナヴィも納得するように

うなずくと、


「それに、異世界とのつながりなんて、

 この上ないコネですからね。

 旦那様のお役に立つのであれば何でも」


「それを元に商売すれば―――

 また『枠外の者』や『新貴族』みたいな

 勢力が出て来ても、対抗出来ますし」


そう妻たちが答えるのを見て、夫である

バーレンシア侯爵とビューワー伯爵は、


「何かたくましくなったねえ」


「強くなったと言いますか」


達観したように妻を見つめる夫を、

女神と従僕は生暖かい目で見つめていた。




カシャ☆



―――女神フィオナ信者数:現在8688名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】

https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288


ネオページ【バク無双】

https://m.neopage.com/book/31172730325901900


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】

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