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07・おいでませ、ルコルアへ



日本・とある都心のマンションの一室―――


主筋しゅすじである女神がベッドで寝込み、それを

お目付け役の従僕・ナヴィ(猫Ver)が心配そうに

彼女を見守る。


「ゲホッゲホッ、ゴホッ」


「いったいどうしたんですか。

 神であるフィオナ様が、風邪を召されるなんて」


「ん~……ちょっと人間モードになって

 油断してたらさ~」


「ヤレヤレですね。

 ま、病気の時くらいは大人しくしててください。


 何かして欲しい事とかありますか?」


ナヴィからの申し出に、フィオナは寝たまま

顔だけ彼に向けて声を出す。


「アタシの右脳は―――

 『目の前にいるママの従僕が人間Verになって

 裸になって添い寝してくれたら治る』

 って言っています」


「左脳は?」


「左脳は―――

 『眷属になったコが2人でアタシの両腕を

 腕枕にして、抱き着きながら寝たら治る』

 って言ってます」


「結論は?」


「3人まとめて相手して一緒に汗かいてハァハァ」


「元気そうですから全ての窓全開にしてきますね」


「マジごめんアタシが悪かったから!

 神様モードに戻るからぁ!」


「そんなに簡単に戻れるんだったら、

 最初からそうしてください。

 何もそんなに苦しむようなマネしなくても―――」


「身をけずる苦労なくして成果はあり得ないのよ」


「格好悪い事を格好よく言わないでください。

 では、そろそろ本編スタートしますね」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「―――以上が、バクシアで行われた話で、

 この事をアルプさんに伝えるようにと」


フラールのアルプの家に着いたトニックは用件を

アルプに伝え、一息ついていた。


「お疲れさまです、トニックさん。


 どうしよう、お母さん。

 僕、バクシアへ行った方がいいのかな。

 その方がフィオナ様とも神託を通して

 情報を伝えられるし―――」


「でも、神託はフィオナ様から下されるんでしょう?

 こちらから連絡は出来ないんじゃ」


「だけど、僕がマルゴットさんやバートレットさんと

 一緒にいれば、神託が下った時にその情報を伝える

 事が出来るよ」


「う~ん……

 フィオナ様はルコルアにいらっしゃるのよね?


 一度フィオナ様に意見を伺ってからじゃ

 ダメかしら」


「あー、ルコルアへはソルトのヤツが行ってる。

 多分何かしら指示があれば、アルプさんに神託が

 来るんじゃねーか?」


「そうかも知れませんね」


「一応、待ってみればいいんじゃないかしら。


 ソルトさんも今日くらいはお休みしていって

 ください」


「いや、そりゃありがたいけど―――

 いいンすか?

 何か向こうに伝える事とかは」


「今急いで伝えるような事はないでしょう。

 それに、もしアルプがバクシアへ行くような

 事になれば、その警護もして頂かないと」


「ン……まあそういう事なら遠慮なく」


こうしてアルプの果樹園に、家主である母子、

そしてトニックが待機する事になった。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「はー、なるほどねえ」


一方、ファジーの家ではソルトが、ミモザ姉弟、

それに女神とお目付け役の4人と情報共有していた。


「ラムキュールさんが鉱山を―――」


複雑そうな表情をして、ファジーが感想をそのまま

口にする。


「一応、女神様のお耳にも入れておいた方が

 いいって事になって。

 あ、アルプさんにもトニックのヤツが伝えに

 行ってますから」


「しかし、我々が調べたところでは、しょんな話は」


「情報のレベルが違うよ。

 アタイらが調べたのは、せいぜいルコルアの

 近況とか噂くらいだし。


 ただ鉱山を買っちまうってのはデカい話だ。

 あと2・3日もすれば街中でも話題になるだろ」


「ん~……でもそれは正当な取引だったんですよね?

 だとすると、アタシが口を出す話では」


「そうッスか」


そう言うと一息ついて、ソルトは出されたお茶に

口をつけた。


「アンタ、言われた事はそれだけかい?」


「いや、一応ラムキュールの周辺も洗ってみて

 欲しいって言われてる。

 ここで一休みしたらそれに取り掛かるよ」


その答えに、ミモザはため息で応じる。


「あのさぁ、アタイもアンタもラムキュールのヤツに

 顔知られてるんだぜ?」


「ンな別に、直接会って話すわけじゃ」


「だから調べられる事が限られるだろ。


 確かにアイツが鉱山を所有したのは、何らかの

 目的が―――

 それも『枠外の者』らしい狙いがあっての事に

 違いない。


 でもそこまで調べるには、よほど深く調べなきゃ

 ならない。

 それが出来るか? って話」


「う……そっかな」


「ミモザ姉、別にそこまで考えなくても。

 本当にまだ何もわかってないんだし」


ミモザとソルトの会話に、ファジーが

落ち着くよう促す。




「まあ情報提供には感謝するでしゅ。


 しかし、眷属に神託が下す事が出来るとはいえ、

 こういう時は不便でしゅね。


 アルプ君に一応連絡取ってみた方がいいんじゃ

 ないでしゅか?」


「ん? アルプとは1日1回神託カイセン繋げているけど?」


「しょうでしゅたか?」


「ええ。お風呂の時間に無言で―――

 彼の目を通して、白い肌が湯気に映えてそれはもう

 アタシが彼で彼がアタシで」


フィオナの言葉が言い終わらないうちに、

お目付け役はアイアンクローをめる。


「だかりゃ

 お前は

 神の力を何に

 使っているんでしゅか?」


ペチペチとナヴィの腕を叩き、ギブアップを

伝えるフィオナ。

それを横目でソルトとミモザが見つめていた。


「あ、あのっ、フィオナ様も今日はどこか

 調子がお悪そうですので……

 ソルトさんも今日のところはお休みした方が」


「あ、ああ、うん」


「まあしゃーねーか。

 のんびり出来るのはいいんだけどさ。


 でも一応アルプさんにもらっている

 お休みだし、遊んでいる訳にも」


「あー、しょういう事でしゅたら、後でアルプ君に

 事情を話しておくでしゅよ。


 わかりましゅたか、ダ女神?」


「あーうん。わかったから手を離して頂けると

 嬉しいかなっていうか」


そこでようやくナヴィから解放され―――

女神はフラール国にいる眷属に神託カイセンを繋ぐ事にした。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「……あっ、はい! フィオナ様!」


女神からの神託に、眷属である少年は元気よく応える。


(あ、アルプ?

 話は聞いていると思うんだけど―――)


「はい。トニックさんから一通りは。

 それで、僕は何をすればいいでしょうか?」


(ううん、まだそれは考え中です。

 ただ、ミモザとファジーがまだしばらく

 ルコルアから動けなくなりそうですので)


「構いません。

 全てはフィオナ様の仰せのままに―――


 それであの、差し出がましいようですが、

 やっぱり僕はマルゴットさん達と一緒に―――

 バクシアで神託を待つようにした方が

 いいのでは……」




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




初めての眷属の申し出に、女神は考え込む。


「そうですねえ……

 今後の事を考えると」


「だからバーレンシア侯爵か、シモン君にした方が

 よかったでしゅのに。

 しょうしゅれば、直接バクシアに降臨する事だって

 出来たんでしゅよ?」


「だ、だからぁ……

 アレはアンカーが……


 そういえば最近アンカーどもの出番も無い事ですし、

 ここは1つ活躍の場を与えてあげる事にしますか」


「ご自分でどうしていいかわからないんでしゅね

 わかります」


「『アンカー』は今のスレで……400!


 聞きたい事は―――

 『アルプをどうするか』


 条件は―――

 ・アルプにどこで待機してもらうか

 ・移動先の国は今まで出てきたところから


 ―――さあ、アタシを導き給え……!!」


「ちょっと待つでしゅ、その条件は―――」




>>400


【    ルコルアへGO!    】



「お?」


「んみゅ?」



【   合流www   】


【 直接話せるよ! やったねフィオナちゃん! 】




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在1992名―――




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