22・そそそそそそ、そんな事ああああるわけが
( ・ω・)寒暖の差が激しいのか、首や肩が
バキバキする(年寄り)
日本・とある都心のマンションの一室―――
一人の黒髪セミロングの少女が、床に突っ伏して
疲れ果てた様相を呈していた。
「ハァハァ……
よし、これでホワイトデーと花見の
中間イベントは完周したわ。
これで思い残す事なく、次のイベントに
備えられる―――」
彼女はフラフラになりながらも、決してつかんだ
端末は離さず、
「いったいその先に何があるというのでしゅか。
そうして苦労して終えたイベント、その果てに
何を見るのか……」
そこで銀髪の美少年が部屋に入って来て、
「イベントが終わるとどうなるか知らないん
ですか?」
起き上がってフィオナがナヴィにたずね、
彼がうなずいて肯定すると、
「次のイベントが始まります」
「お話だけ聞いていると無間地獄のような
気もするんでしゅけど。
しょういえば、アルプ君やメイさんは?
最近よく来ていたような―――」
ふと従僕が話の向きを変えると、
「あー、ママが天界のご近所さんに、
お披露目しているんですよ。
義理の息子と娘になったようなものです
からねえ。
あと親戚中も引っ張りだこですよ。
あれだけの美少年ならゲフゲフゲフ♪」
ヒロインがしてはいけない顔でフィオナは
笑うが、
「まあアルフリーダ様の事ですから……
下手したらユニシス様も若返らせて、
あちこち連れ回している様が目に浮かぶ
ようでしゅ。
私もよくされましゅたねえ」
ナヴィが遠い目で過去にひたり、
「あなたも美少年レベル高いですもんねー。
そりゃ見せびらかしたくなるママの気持ち、
わからなくもないですよ」
ウンウンとうなずく女神を前に、
従僕兼お目付け役はハッとした表情になり、
「あれ??
それならどうしてフィオナ様はここに
いるんでしゅか?
もう1人の妻であるメイしゃんは同行して
いるんでしゅよね?」
「いや~それはその~……
あ、アタシでしか出来ない仕事があったって
ゆーか~」
彼女はしどろもどろになりながら話すも、
「私の目には、ソシャゲーのイベントで
疲労困憊した廃人にしか写っていないの
でしゅけど―――」
「そ、それはそうなんですけどねぇ~……
こ、これには深いワケがありましてぇ」
フィオナがあわあわとうろたえていると、
天井から、
『どうやら、説明が必要なようね―――』
「アルフリーダ様!?」
突然の主人の声に、ナヴィは視線を上に向ける。
「あ、ママ……!」
『ナヴィ、この子にはとある事情があって、
同行するのを諦めてもらったのです……」
自分の直属の主人の声に、彼は姿勢を正し、
「そ、それは申し訳ありませんでしゅた。
私はてっきり、ただソシャゲーから
離れられなくて、それを優先したと
ばかり―――」
『あー、それはまあ間違っていないんだけど』
「はい?」
従僕の言葉をアルフリーダは消極的に認め、
『えーっとね、まあ今回の件は私のお願いでね。
ちょっと季節の中間イベで、推しキャラの
バージョン違いが来ちゃったのよ。
だけどお披露目の日は先に決めちゃって変更
出来なかったから……
それで同じソシャゲーやっていた
フィオナちゃんに、私の分もお願い
しちゃったの♪』
「いやーママ、今回はマジきつかったですよ。
やる事はアタシとほぼ一緒だからいいものの、
戦力や持っているキャラが微妙に違うもの
だから―――
最後はほんとグロッキーでした。
メイさんにも少しはこっちの世界のものを
やらせてはみたんですけど……
任せるにはまだまだですしね。
で、ママ。
それでお披露目はどうなったの?」
そこで一瞬間が空いたが、
『そりゃあもう♪
羨ましがられる事しきりだったわ♪
あんなにマウント取れたのはパパとナヴィの時
以来よ!
メイちゃんも自慢の夫がいて……
妻として鼻高々って感じだったわ♪』
「そうでしょうそうでしょう!
何せあの世界でいの一番に目をつけた
弟夫ですからね!
こりゃあ帰って来てからメイさんに聞く事が
いっぱい出来ましたよデュフフフフ♪」
と、しばらく母娘のやり取りを聞いていた
ナヴィは、
「お2人とも変わらないようで安心しましゅた。
いつまでもそのままでいてくだしゃい。
事情がある、と聞いた時は身構えましゅた
けれど」
と、従僕の言葉に二人の女神は振り返り、
『ま、まあ―――
限理神・マファーダとの一戦以来、
これといった危機はありませんしね。
それにホラ、安心して娘を任せられる
優秀なあなたもいる事だし……』
「そっそうですよ!
これも平和になったおかげです!
えーと、それじゃそろそろ……
本編スタートしまーす!!」
│ ■グレイン国 │
│ ■王宮中庭施設 │
「それでは、名残惜しいですがこれにて」
豊かな長い黒髪をなびかせながら、威厳を保ちつつ
彼女は女神に向かって一礼し、
「こちらこそ、楽しいひと時を過ごさせて
頂きました。
パパとママにも、またこの国を訪れるよう
伝えておきますので―――」
女神・フィオナもグレイシア王妃に対し、
長年の友人のように頭を軽く下げる。
「それではまた……
よろしくお願いしましゅ」
ナヴィも頭を下げると、王妃と共にいた
女性騎士やメイドの一団も深々と返礼し、
彼女たちに背を向け、王宮の外へと二人は
歩き始めた。
「しかし、話があると言っておりましたが、
何があったんでしゅか?」
従僕が主筋である女神に向かって聞くと、
「そうですねえ。
この国の今後や在り方―――
特に女性の地位的な問題について、かなり
突っ込んだ議論をしました」
無い胸を張ってドヤ顔でフィオナは答える。
「そうでしゅか。
そりぇはよかったでしゅ。
ユニシス様と私、そしてマイヤー伯爵、
ガルディ騎士団長、バスタ副団長と一手
交えたものでしゅから……
どちらが受けで攻めとか、てっきり
話し込んでいたのかと」
すると女神はガクガクと小刻みに震えながら、
「そそそそそそ、そんな事ああああるわけが」
「?? どうして震えているんでしゅか?
攻めも受けも、剣術では重要な要素
でしゅよ?
武術を観戦したいと仰っていたくらい
なんでしゅから―――
別段、それくらいの事は話すと
思いましゅけど」
そうナヴィが首を傾げると、
「へあっ!?
そっそーですよね!
攻めか受けかってすごくじゅーよー
ですからね、ハイッ!!」
「とは言え、ユニシス様はどちらでも
無かったでしゅねえ。
ほとんど受け流す、と言うより流す?
わざとスキを作って誘い出し、それで来た
攻撃を最小の力でベクトルを変えるように
弾いていましゅたから」
「なるほど。
誘い受けというヤツですね……!」
「言い得て妙な言葉でしゅね。
でもピッタリだと思いましゅよ」
「こ、これで軍神の娘ですからねー」
そう二人は微妙にかみ合わないやり取りを
しつつ、王宮の外へと歩いて行った。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在8657名―――
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