12・血と汗と何かその他もろもろ
( ・ω・)会社のお湯はウォーターサーバーではなく
給湯室のを使う(よくお茶で消費するから)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
ブラウンのワンカールロングの髪をした、
小悪魔コスプレのような、コウモリの翼と
シッポを持った少女が相対する。
「では姫始め報告会を開始します」
「あの、ちょっと待ってくださいませんか?」
女神・フィオナの言葉にサキュバスは困惑した
表情で言い返す。
「だって邪神ちゃんはきちんと報告して
来たんですから。
仲間外れはダメでしょうが。
それにこんなオイシイ尺稼ぎ……
もといネタ、作者が見逃すわけもなく」
「何のフォローにもなっていないと思われるん
ですがそれは。
でもまあ確かに―――
アルフリーダ様から、『欲望を解放させよ』
という指令を受け取っていたので、その通りに
させて頂いたのですが」
その言葉に女神はぐいぐいと食いつき、
「ほほぉ。してどのような?」
「やはり私はサキュバスですので―――
江戸時代の遊女?
コスプレでナヴィ様に召し上がって
頂きましたわ」
するとフィオナは納得したようにウンウンと
うなずいて、
「あ~、そりゃサキュバスですもんね。
サキュバスちゃんの和風コスプレ、そりゃあ
相乗効果も確定ってもんですよ」
「ええ、それはもう……
激しかったですよナヴィ様。
普段よりもずっと求められている気がして、
私としても大満足でした♪」
その時の余韻を思い出したのか、彼女の顔は
紅潮し始め、
「まあこのへんにしておきますか。
一応ここ、18禁ではないので―――
それじゃそろそろ、本編スタートしますね」
│ ■シフド国・首都バーサー │
│ ■職人ギルド街・印刷工房 │
「ほらほら、もっとくっついて!」
「思い切ってしっかりと!」
絵をスケッチする職人たちの前で……
六・七才くらいの少年三人が、疲れた表情で
渋々指示に従う。
「うぅ、何で余がこのような」
「我々とて、何かがゴリゴリ削られていく気が」
「どうしてこうなった……」
少年たちはハロウィンのような、ドラキュラ
コスプレにも似た格好をしているが、
その正体は、女神・フィオナの両親と
因縁のあった限理神・マファーダ、
そしてその部下である男性魔族、
フォルド・ワーダーであり、
現在は魔力をほぼ全て持っていかれ―――
『モデル』として魔族も含めた女性陣の
管理下にあった。
「ダメですよー、マファーダ様。
コスプレはなり切らないと」
「いや、これ余の普通の格好で」
「これ、記録に残るのか?」
「残すためにやっているんですけど?」
「まあまあ、どうせ小さい体での
記録ですから……」
というやり取りが現場で行われている頃、
事務室の方では、いわゆる人魔双方の
女性上層部が集まっていた。
「で、限理神・マファーダさんと―――
フォルドさん、ワーダーさんの様子は?」
女神はそれまでに描かれた絵に目を通しながら、
質問する。
その先は限理神の部下であった女性魔族、
テクスとエクシルで、
「はい。
これまでのところ、大人しくなさって
おいでです」
「フォルドとワーダーにも被害分散……
もとい、協力を要請しておりますから、
それほどの負担にはなっていないかと」
二人の返答にフィオナはうなずき、
「まー、魔族って聞いちゃいるけど、
俺たちから見りゃただの子供だからな」
緑に近い茶色の短髪をした、青年に見える
女性がまず答え、
「さすがに暴れたりはしてねぇしよ。
指示に困惑しているような感じだが、
絶対に従わないってわけでもないし」
髪をハーフアップにまとめたウェービーヘアーの
女性が、腰に手を当てて伸びをするように続く。
「ふむふむ。
カーレイさんとメヒラさんの目から見ても、
問題無し、と。
それで―――
他に何か現状、問題はありますか?」
すると人間側の女性二人は大きくため息を
ついて、
「やっぱり印刷技術がなあ。
絵描きはこちらでも育成しているけど、
需要に間に合っていない」
「それに、第一段階のここで、新作が出来たら
まず王宮に献上する事になっているんだ。
そのために人手が取られているのも痛い」
そう、ここでの絵に関する製本技術は全て
人力がベースであり、
それによる大量生産は、彼女たちの血と汗と
何かその他もろもろによって支えられており、
もちろん生産能力は向上しているものの、
供給に追いついていないという現状があった。
「コピー機があれば楽なんでしょうけど、
さすがにアレまで持ち込んだら、ママに
怒られるなんてものじゃ済みませんし」
「ん? 何だいそりゃ?」
女神が独り言のように言った言葉に、
カーレイが食いつき、
「あ、この手の本が普及している世界での
技術です。
それこそコンビニに行ってすぐにでも
100部200部コピーして来たい
ところなんですけどね」
「こぴー?」
今度はカーレイが聞き返す。
そして他の女性陣にコピー機の概要を彼女が
説明すると、
「何ですかその夢のような機械は」
「それがあれば問題は一気に解決しますけど」
羨ましそうに彼女たちは話すが、
「ですがそれをこちらの世界に持ってくる事は
出来ないんですよ。
今までもいくつか、例外的にやらかした事は
ありましたけど―――
それはこっちの材料だけで、かつ世界の
危機的な状況であったから許されただけ
ですので……」
『BL本普及させたいから印刷技術を
異世界から移転させて♪』
というほどの度胸は、さしものフィオナには
無く―――
「木版版画でも出来ればいいんですけど」
「はんが?」
「はい。
印象とかハンコの大きいものですね。
ハンコはこちらの世界にもあるでしょうから、
要はそれを絵に特化させたものを作れば」
それを聞いた工房の商業ギルド職人二人は
顔を見合わせ、
「なるほど。
そりゃいい手かも知れないな」
「出来るんですか!?」
思わず女神が叫ぶように言うと、
「おいおい、ここは工房だぜ?
そして商業地区でもある。
彫刻や彫金が出来そうな連中に声をかければ、
いくらでも来るって」
そして、それを前提に話し合いがスタートし、
「時間はかかりますが、やってみる価値は
あるかと」
「どちらにしろ、このままではいずれ
需要に追い付かなくなるしな」
「試作まで3ヶ月ってところか?」
「まずは一番簡単なヤツからやってみよう。
それさえ出来れば……!
量産の道が開けるはず」
そして彼女たちの話し合いは熱を帯びていき、
シフド国を中心に印刷技術が飛躍的に発達して
いく事になるのだが―――
それはまた別のお話。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在8394名―――
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