03・(夜の)戦闘能力
( ・ω・)まったりモード
(そもそも危機的状況なんて無かった)
日本・とある都心のマンションの一室―――
目付きがやや悪い黒髪セミロングの少女が、
室内のデスクトップPCに向かって何やら
打ち込んでいた。
【 おー、また来たか 】
【 最近はちょくちょく顔を出すな 】
限理神・マファーダとの決着がついてから、
フィオナは空いた時間を『アンカー』たちとの
コミュニケーションにあてていた。
「いやまー、直近の問題が解決したんですから。
それにやっぱり、あなたたちの力も必要だと
思っているんですよ?
これでも……」
【 とは言われても、なあ 】
【 最近のアンカーは、主にコンビニの
新作パンを買うかどうかとか 】
【 ソシャゲの課金ガチャにもう1回
チャレンジするかどうかに使われて
いるものなあ 】
緊急の事案が無くなった今、フィオナは
日常的な問題というか言い訳に、『アンカー』を
使うようになってしまっていて、
「い、いやーこれこそが平和ってモンですよ!
それにしょっちゅうピンチになっている
わけでもないんですよ、アタシは?」
【 まーたこの子はこうやってフラグを 】
【 少しは落ち着けって 】
【 で? あっちの設定では結婚式とかに
忙しかったんだろ? 】
そこで女神は情報共有のために、新規の状況を
書き込む。
【 ほー、バクシアとフラールの合併か 】
【 それであの貴族様2人が駆り出されて
いるのね 】
【 で、そのお2人が新婚組として―――
妻と一緒にこちらの世界に? 】
『アンカー』たちはフィオナの書き込みから
情報を整理していく。
「それでですねー、こちらの異世界に
招待するのは初めての方ばかりですので。
どうやっておもてなししたらいいのか、
相談に乗って欲しかったんですよー」
バーレンシア侯爵とビューワー伯爵の新婚組を、
地球に迎えるにあたってのアイディアを彼らに
出してもらうため、女神は話しかけるが、
【 てか、これまでの流れで考えるとなー 】
【 二組とも新婚さんなんでしょ? 】
【 いつも通りエロとか、あと18禁とか、
そしてベッドインプロレスのネタとか…… 】
すでに招待されたシモン・ポーラ組や、
その両親・親族がこちらの世界でどのような
接待を受けたか知っていた彼らは―――
すぐに下半身の話題に結び付ける。
「失礼な!!
後でちゃんと女子限定で、BL本も密かに
持ち帰って頂きますよ!!」
【 それでこそ我らが女神様 】
【 しかしまあ、唯一の注意点というか懸念は
刺激が強過ぎやしないかとう事だな 】
その書き込みにフィオナはウンウンとうなずき、
「そーなんですよねー。
アタシのアルプも今いろいろと仕込み……
もとい勉強してもらっていますけど。
どんなに大人しそうな子犬でも、
アグレッシブビースドにめたもるふぉーぜ
するのは、彼で経験済みですし」
アルプとフィオナ・メイは―――
すでに関係を持ってから二年以上が経過して
いたが、
(■8章32話
アグレッシヴビーストモード参照)
その後、地球の知識であれやこれと……
地道にその(夜の)戦闘能力を高めて
いたのである。
「それに今回は若い人たちだけじゃないん
ですよ。
ボガッド夫妻にも来て頂きますから、
あんまり刺激の強い事は」
【 あー、その人たちも来るのか 】
【 でもその老夫婦?
空気読んで別行動にでもするんじゃない? 】
【 普通、新婚さんにはついていかないわな 】
と、『アンカー』たちから常識的な
指摘をされる。
「でも彼らだけ仲間外れというのも何て
ゆーかー。
ママに頼んでその時だけ若返らせて、
という手も無きにしも非ずで」
【 人外手段使うのなら何でもアリじゃ
ねーか 】
【 こっちは一応人間なんだからさ 】
【 相談の範囲は人の出来る範囲で
お願いします 】
と、『アンカー』たちから呆れるような
書き込みが返り、
「だからアタシだとどーしても、そういう
人外目線になっちゃうんですってば。
それでみなさんのお知恵を拝借したいって
ワケなんですよぉ」
それっぽい持論でフィオナは返す。
【 とはいえなあ。
たいていの事はもうアルプやメイ経由で
伝わってんじゃないのか? 】
【 まあお出かけなら秋葉原でいいんじゃね?
あの特殊地域なら、たいていの衣装は
コスプレで通る! 】
【 あ、でもそうだな―――
持ち帰ってもいいとかそういう物を
選んであげれば? 】
女神はその最後の書き込みに反応し、
「お! いいですねー。
確かに今までは本とか消費物くらいしか
ありませんでしたけど、
文明レベルの違いを考えて、お土産の幅を
持たせるのも、いいかも知れません!」
それからしばらく、女神と『アンカー』たちは
お土産のチョイスで盛り上がった。
「ん? 何でしゅかコレ?」
マンションに戻ってきたナヴィは、
見慣れない荷物を前に疑問の声を上げる。
「あー、それ?
ちょっと『アンカー』たちと話し合って決めた
お土産の一部。
ホラ、バーレンシア侯爵にレイシェンさん、
ビューワー伯爵にマルゴットさん……
そしてボガッド夫妻をこちらに呼ぶ事に
なっていたでしょ?
で、おもてなしの方法と一緒に彼らに
相談したのよ」
銀髪の美少年はそれを一目見ると、
興味なさげに視線を戻す。
「そうでしゅか」
「それよりアンタは一体どこへ行ってたの?」
主筋の質問に彼は靴下などを脱ぎ始め、
「私は私で、あの5人との結婚式の式場探し
でしゅよ。
まあ5対1の式場なんてありましぇんから、
適当なイベント会場でも借りて、コスプレって
事にでもしてやろうかという事になって
ましゅけど」
さすがに現代日本で堂々と重婚発表は出来ず、
邪神たちとはその線で方針を決めていた。
「天界は、邪神ちゃんも悪霊ちゃんもお断り
でしたからねえ」
「まあダテに天界じゃないでしゅからねえ。
しょれよりアルプ君とメイさんは今、
あっちでしゅか?」
ナヴィの問いにフィオナはうなずき、
「一大イベントが終わった後―――
バーレンシア侯爵がグロッキー気味でした
からね。
しばらく、こちらからの差し入れの
栄養ドリンクと、アルプの果実を混ぜた
飲み物で回復させているわ。
ビューワー伯爵も併合話で忙しいので、
そっちにも差し入れてもらっているの」
その説明を聞いていた彼は両目を閉じて、
「……おかしい。どうしてあなたが役に立って
いるのでしゅか?」
「え? そこに疑問を持つの?」
「もちろんでしゅよ。
そこは何か役に立とうとして、取り返しの
つかない失敗を演じるとかじゃないでしゅと」
「マファーダの件が片付いたのに、
自分で何らかのフラグは立てませんよ!!」
ナヴィは着替えをしながら怒る女神と
やり取りし―――
いつもながらの日常を受け流していた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在8221名―――
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