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02・結果的に、だけど

( ・ω・)そして今回は茶番が無かった

(区別がつかない)


│■フラール国・バクシア国代官館(改4)│




フラール国における、バクシアの代官館……

その一室に担当者である、頬にクロスの傷を持つ

侯爵が横たわっていた。


「侯爵サマの具合はどう?

 だいじょーぶ?」


「今は奥で休んでおられますが……


 国家を上げての行事でしたからね。

 プレッシャーとかそうとうすごかった

 はずですので―――」


別室で、お見舞いにやってきた

黒髪セミロングのやや目付きの悪い少女……

フィオナの問いに、

金髪ロングの女性騎士といった体の伯爵令嬢、

レイシェンが答える。


フラールを始め、序列上位国も混合で行った

結婚式で―――

その当事者でありながら、イベントを

まとめ上げたのがバーレンシア侯爵であり、


その大仕事を何とか終えた今……

彼は灰色になりながら燃え尽きたように

白くなっていた。


「大丈夫でしゅかね?

 アルプ君からもらってきた果物と、

 地球(あちら)でもかなり高額な栄養ドリンクを

 持ってきましゅたけど」


女神の従僕である銀髪の美少年、ナヴィが

その品物を差し出す。


「これはありがたいです。

 さっそく飲ませてきましょう。


 気付けになれば良いのですが」


正式にバーレンシア侯爵の妻となった

レイシェンはそれを受け取ると―――

奥へと姿を消した。




「いやぁ~……

 申し訳ないねぇ、女神様。


 何しろ、一世一代の大仕事が終わったばかり

 だったから」


寝起きであろう、疲れ切った表情の侯爵が、

奥から姿を現す。


「いえいえ。

 こちらでのアタシの結婚式もサポートして

 頂きましたし、


 限理神・マファーダとの対決後―――

 立て続けにいろいろとお任せしてしまって、

 こちらこそ申し訳なく思っています」


「ハハハ……そう言って頂けると助かります。


 僕も本番でいろいろとやらかしちゃった

 からねえ。

 転んだりテンパったり順番を間違え

 ちゃったりと。


 レイシェンもすまない。

 一生に一度の思い出なのに」


フィオナの言葉に、彼は死にそうな表情で返す。


事実、彼は緊張のあまり失態を繰り返して

しまったのだが、


「しょれでも、かなり好意的に受け止められて

 いたでしゅよ。


 限理神の脅威を、『フラールの剣聖』・

 ビューワー伯爵と共に退けた、

 『バクシアの鬼神』―――


 事情を知らない人にしてみたら、どんな

 強面(こわもて)の人か想像していたでしょうし」


「そ、そうですよ!


 それに、各国からの評判も……

 あれで他の人たちの緊張がほぐれたとか、

 最高責任者が失態を演じたおかげで、

 誰も(とが)められる事が無くなったとか―――


 後で各国の上層部から質問攻めにあったん

 ですからね、わたくし」


ナヴィとレイシェンが続けて擁護する。


実は『バクシアの鬼神』と呼ばれたほどの

レンジ・バーレンシア侯爵は噂が独り歩き

していて、


『片手で熊を絞め殺す』だの、

『一度に大勢の魔族を相手にして一歩も

退かなかった』だの、

『味方すら恐怖に(おとしい)れる武人』だの……

どちらかというと怖い対象として見られて

いたのだが、


それが今回の結婚式で―――

転んだり間違ったりした事で、返って人間臭い、

気安いというイメージが広がり、


さらにレイシェンの言った通り、

『あれは演出か?』

『自ら失敗する事で、場を(なご)ませたのでは?』

『最高責任者がしくじれば、それより下を

怒る事は出来なくなるからな』

『自ら泥をかぶっても、他を守ろうとする

その姿勢は貴族の(かがみ)だ』

となぜか評価される事となり、


否応にもバーレンシア侯爵の名声は

高まったのであった。


「そういえば、ビューワー伯爵と

 マルゴットさんは?」


「あー……

 実はね、ここだけの話―――

 バクシアとフラールの併合(へいごう)の話が進んで

 いるんだ」


フィオナの問いに、侯爵が話を切り出す。


「世界の危機を救ったとされる、

 『フラールの剣聖』を取り込めるのは

 大きいでしょう。


 さらにバクシアは『バクシアの鬼神』と

 呼ばれる、レンジ様を(よう)しているのですから、


 これを機に、序列上位国への影響を高めようと

 考えるのは当然かと」


レイシェンの補足に、ナヴィは首を傾げ、


「んー……

 まあそれはいいとしゅて、


 しょれ、新たな火種になりましぇんか?

 せっかく限理神の件が片付いたばかり

 でしゅのに」


彼が懸念を口にすると、


「あー、これはね。

 グローマー男爵やマイヤー伯爵も絡んで

 いるんだ。

 グレイン国のガルディ騎士団長もね」


「?? どゆこと?」


女神が聞き返すと、侯爵の妻がゆっくりと

口を開き、


「もともと彼らは―――

 『枠外の者』『新貴族』ではありましたが、


 実情はそれらの暴走を抑える、お目付け役が

 真の役目でした。


 そこで今回、最初の標的となったフラール国、

 そして彼らの野望と戦い続けてきたレンジ様を

 筆頭に、


 新たな監視体制として、新組織を作る事に

 なったのです」


鼻息荒く、ドヤ顔でレイシェンは胸を張る。


「結果的にだけど……

 僕たちが連中の計画やら企みを阻止して

 きたのは事実だからねえ。

 結果的に、だけど。


 まあそんな感じで、そういう役割の

 お(はち)が回ってきたというか。


 ホント、何でこんな事になったんだろう」


深いため息をつくバーレンシア侯爵に、

みんながなだめるように取りなす。


「まあそんなわけで、ビューワー伯爵も

 その新組織の立ち上げで忙しく駆け回って

 いるんだよ。


 新婚だから申し訳ないんだけど―――

 僕も断り切れなくて」


「あー……

 そりぇは何というか、お気の毒と

 いいましゅか」


そこで女神はしばし考え、


「えっと、そういう事でしたら―――

 アタシの世界へ来たらどうでしょうかっ?


 幸いというか、向こうでのアタシたちの

 結婚式には今回の諸事情で来る事が

 出来なかったわけですし。


 新たな脅威の再発防止とか、一応ホラ、

 パパとママも関わった事ですしね?」


そう言いながらフィオナはチラチラと

ナヴィの方を見るも、


「まあいいんじゃないでしゅか?」


「え? マジ?」


従僕の言葉に女神は聞き返す。


「実際、こりぇだけお世話になっているにも

 関わらず、結婚式に招待出来なかったと

 いうのは不義理でしゅし……


 神しゃまが、この世界の今後の対応の

 ために、と呼び出しぇば―――

 さしゅがに文句は出ないでしょう」


するとレイシェンがフィオナの両手を

固く握り、


「あ、ありがとうございますフィオナ様!!

 是非ともよろしくお願いしますっ!!」


「あー、そりぇと……

 ビューワー伯爵様とマルゴットしゃんも

 連れていきましょう。


 あとこの前来れなかったボガット夫妻も」


「そっそうですね!

 あの方々にもすごくお世話になりましたし!


 ではそういう事でっ!」


そこで話はまとまり―――

それを聞いていたバーレンシア侯爵は、少しだけ

生気(せいき)を取り戻した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在8202名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】

https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】

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