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29・アメと焼き芋の包み紙

( ・ω・)涼しくなったなあ

(を通り越して寒い)


日本・とある都心のマンションの一室―――


そこで同じ夫を持つ二人……

目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、

シルバーのロングウェーブの髪の同性が

向かい合って座る。


「まあ、そういうわけでね。

 いろいろなネタがあるものだと―――」


「はあ、人外の方々もいろんなお悩みが

 あるものなんですねえ」


例の『封印』されし箱について、フィオナと

メイはそれを酒の(さかな)ならぬお茶請(ちゃう)けにしていた。


「そういえばメイさんには、そういう

 『封印』されし何かは無いんですか?」


「無くは無い、と思いますけど……

 何ていうかこの世界? この国?

 に来てから、自分の未熟を思い知らされたと

 言いますか」


その答えに女神はウンウンとうなずき、


「そりゃーもう!

 この世界でこの国に勝るHentaiは

 無いでしょうから。

 質といい種類といい」


「まあおかげでアルプきゅんとの―――

 夜のベッドインプロレス、その技と

 フェイバリット・ホールドに事欠かないん

 ですから」


すっかりこちらの世界に慣れた、第三眷属の妹は

フィオナとの会話に普通についていく。


「でもまあ、それはそれとして……

 やっぱりアルプきゅんにも夫として、いろいろ

 覚えて欲しい事はあるかな、なんて」


「でも体格的に難しい技ばかりなんですよねー。

 今のところ、わたくしたちの方が体が大きい

 ので、それは仕方無いんですけど」


二人はお互いにうなずき合いながら、


「それは今後成長すれば、アタシたちより

 大きくなるんでしょうけど―――


 でもそうなると、今度は今の体格で出来た

 事が難しくなるというジレンマが……!」


「それがあるんですよねぇ~。


 あ! でもフィオナ様のお義母様?

 アルフリーダ様がユニシス様にしている

 ように、年齢を自在に変えてもらっては」


「おお! そういえばその手がありましたね!

 いやー周囲が神様とか人外ばかりだと、

 返って出来る事を忘れてしまいがち

 なんですよー」


そして、そんな光景を扉の隙間からのぞく、

グリーンの瞳とショートの髪を持つ少年と、

シルバーの短髪の美少年が二人。


「あの、夜の生活って―――

 何ていうか、普通に明かされている

 ものなんでしょうか?

 神様の身内ともなると……」


「いやー多分ウチだけだと思うでしゅ。

 ていうか神の力をそういう夜用に使うと

 いうのは何ていいましゅかまあいいか。


 それじゃそろそろ、本編スタートしましゅね」




│ ■コザイ国・某所遺跡 │




「な、何だこれは……!?

 飴だと!?」


細長い、恐竜の骨格模型のような頭骨を

頭に被った限理神・マファーダは―――

自らの力によって召喚された物を見て、

困惑していた。


「あ、それアタシの前世です」


「何それ!?

 生き物ですらないじゃない!!」


女神の言葉に、限理神はさらに混乱を

加速させ、


「そ、そうだ!

 前世はそうだとしても、来世は

 どうなった!?


 それも同時にこの次元空間に

 召喚したはず……!!


彼がキョロキョロと周囲を見渡すと、

そこには、湯気を立てて新聞紙に包まれた

焼き芋が転がっており、


「……何だこりゃ?」


いい匂いをさせる焼き芋を前に、限理神の

混乱は極限に達するが、


「あー、そっちがアタシの来世ですね」


「どうして君の前世と来世、加工されて

 いるのかな!?」


「ちなみに本体は包んでいる紙の方で……」


「中身ですら!?」


もはや理解不能の事態に、マファーダは

頭を抱えて転げ回る。


「いやまー、最初からそうだったわけじゃ

 ないんですよ?


 ただアタシがちょーっと失敗しちゃいまして。

 それでそのお仕置きっていうかー」


「それはわかるよ!

 罰として来世をカエルとか虫とかにする

 神様というのもいるしさあ!


 だけど無機質って何だよ!

 生きてないじゃんコレ!!」


「アタシだってせめて哺乳類でってお願い

 したんですよ!

 でも受け入れてもらえなかったようで。


 それに来世は知りませんでした!

 いや予告はされていたんですけどね?」


口ゲンカのように応酬する女神と限理神。

するとそこへ声が響き、


『あ、フィオナちゃん!? 大丈夫だった!?

 今こちらの世界にパパと一緒に来たんだけど、

 めっちゃ固い結界みたいなものがあって、

 入れないのよ!


 多分、あのマファーダとやらの仕業だと

 思うんだけど―――』


その声はアルフリーダの声で、


「クックック……


 いかに貴様らといえど、我とその配下、

 フォルドとワーダーの膨大な魔力を練り上げて

 作った結界、簡単には壊せまい。


 それに両親が来たのならちょうどよい」


限理神は声だけのユニシス、アルフリーダに

向かって、


「お宅の教育方針、いったいどうなって

 いるんですかあぁああっ!?


 何!?

 娘の前世と来世が飴と焼き芋って!!

 しかもその包み紙って!!


 いくら何でもあんまりじゃないで

 しょうか!!」


「そーですよママ!!

 それに来世ってどうしたんですか!?

 アタシ何も聞いてないですよ?」


事実、それはフィオナも知らなかった事で……

彼女も一緒になってアルフリーダに抗議する。


『あーそれねー。

 前世は変えたけど、来世を変更するのは

 初めてだったから……

 ちょっとテストしてみたのよ。


 それで、えーっとね?

 『あ、成功したわ』って思ったら、

 そのまま忘れちゃって』


「忘れないで(アタシ)の未来ー!!」


一通り大声を上げたからか、ゼェゼェと

フィオナは呼吸を整え、


「あ、そうだママ。

 パパも来ているって聞いたんだけど?」


『あー、それなんだけどね。

 私とパパが現場に到着したら、何か人間と

 魔族の女性陣同士で話し込んでいてね。


 で、男性陣は遠目で見守っているような

 状態で―――

 それにパパも加わっているの。

 何か近寄りがたいって』


「向こうは向こうで何やってるんですかね……」


呆れるようにフィオナがこぼすと、


「あれ? それじゃママは?」


『んー、私も後から話に加われるような

 雰囲気じゃなくって。


 一通り落ち着いたら後で合流しようかなって。


 で、そっちはどうなのフィオナちゃん?』


そこでふと、彼女は敵であるマファーダに

向き直り、


「ええと、ママがずいぶんとご迷惑をおかけ

 したようで―――


 それで、現状どんな感じでしょーかっ」


すると限理神は憤慨(ふんがい)しながら、


「どうもこうもなあ!!

 この次元空間の作成と外界遮断(しゃだん)、それに

 お主の前世と来世の召喚にどれだけの魔力を

 費やしたか!


 フォルド、ワーダーの2人、それに()の魔力!

 そのほとんどが、こんな、こんな……!!


 後はせいぜい、前世と来世のお主の洗脳に使う

 魔力程度しか―――」


すっかり意気消沈するマファーダに対し、

フィオナはサブマシンガンをチャキッ!

と構え、


「ママ、この結界を破るのに後どれくらい

 かかりそう?」


『あと10分か15分ってところかしら。

 どう? それまで持つ?

 (持ちこたえる意味で)』


「そうですねえ。

 それくらいなら大丈夫かと……

 (仕留める意味で)」


「え、ちょ、待……っ」


限理神は異議を唱えようとしたが、それは

フィオナの耳に入らず―――

彼に取って絶望的な時間が始まった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7967名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

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