28・人が話している最中に火力兵器で攻撃してはいけない
( ・ω・)第一話の伏線がこんなところで
(絶対何も考えていない)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
カラスのような黒い羽を持った、ブロンドの
長髪の同性が対峙する。
「んで、堕天使ちゃんの『封印』されし箱、
黒歴史はいかがなものが?」
「いきなりズバッときますねえ。
……まあ、想像通りのものだと思われますが」
お互いにお茶に口を付けながら、二人の少女は
静かに語り合う。
「いやいや、アタシの想像を舐めてもらっちゃ
困りますよ」
「なぜそこで威張れるのかはわかりませんが、
まあその、信者たちの求めるもの―――
とでもいいますか。
具体的には修道女とかシスターと呼ばれる
ものの、衣装とかエロ本とかですね」
そこでフィオナは両腕を組み、
「んん? コスプレみたいなもの?」
「そう言っては身も蓋も無いんですけど……
我は堕天使ですから。
特にそういう、背徳的なものが好まれた、
としか言いようがありません」
女神はフムフムとうなずき、
「あー、でも何となくわかるような気が。
こっちでも巫女さんとかナースとか
女性教師とか―――
聖職者だったり、お堅い職業系のものって
根強い人気がありますからね」
「それと一緒にされるのは違和感といいますか、
複雑な気分ではありますけど……
概ねそのような認識で合っているかと。
というよりフィオナ様は、そのようなプレイは
楽しまないのでしょうか?」
ふと話の流れが変わると、女神は堕天使の問いに
天井を見上げ、
「まーコスプレ的な?
というのは考えないでも無いんですけど、
アタシの場合相手がそもそもファンタジーの
住人なので。
我が夫であるアルプきゅんなら―――
どんな衣装でも似合うと思うんですけど、
効果が薄いというかー」
「ご自分ではなくそっちですか。
その発想は無かった。
いえでも、なかなかの素材と伺って
おりますよ?
探せばあるのではないですか?」
堕天使の言葉に、フィオナは苦笑して、
「いやーだからそれがなかなか。
だって、どうコスプレさせても異世界の住人
なんですから……
あまり非日常にはならなくって」
「いえ、そこは思い違いをしておられます」
「む?」
女神が彼女に聞き返すと、
「アルプ様は異世界の少年と聞いておりますが、
彼からするとこちらが異世界でしょう。
ならば、こちらの世界のアドバンテージを
生かす事―――
この国の古典的な着物や、近代に入って
からでも、いろいろありましょう……!」
「そ……そうか……!
その手があったか……!!
よしではさっそくメイド服をアルプに」
その答えに堕天使は首を傾げ、
「女装ですか?
いえ、ある意味王道ではありますが。
フィオナ様にしてはひねりが」
すると女神の少女は『ククク……』と笑い、
「閃いたんですよ、あなたの言葉で―――
上半身はメイド服、
しかし下はブルマという組み合わせを……!」
「な、なんと……
ファンタジーの王道と、旧時代の
コスプレ文化を融合させるとは……!
ぜひとも感想をよろしくお願いします!!」
そして盛り上がる二人を、扉の隙間から見守る
銀髪の美少年と、緑の髪と瞳を持つ男の子が二人。
「あの、フィオナ様にご友人が多いのは喜ばしい
事なんですけど、あの人たちはいったい……」
「そのうち紹介はされるでしょうが、全員
『変態』というジャンルで認識しておけば
大丈夫でしゅよ。
それではそろそろ、本編スタートしましゅ」
│ ■コザイ国・某所遺跡 │
「あー、なるほど……
では勝敗に関わらず、アルプトファジー、
あの2人の人質は返すつもりだったんですね」
「そうですね。
マファーダ様も、事が終われば返すのが筋だと
仰っておりましたから」
コザイ国辺境・洞窟の奥深く―――
限理神・マファーダが潜む地下基地。
そこで女神一行と魔族……
各々の女性陣はなぜかテーブルに着きながら、
会談のようにやり取りをしていた。
「それでまあ、私とエクシルが人質の返還に
ついて任されたんですけど」
「あの2人の可能性―――
まだまだ試していない事が多く、勝敗に
関わらずという事であれば、予めあなた方と
交渉しておいた方がいい、と思ったのです」
女神一行からは、レイシェンとカガミ、
魔族からはテクスとエクシルが代表のように、
テーブルを挟んで相対する。
「とゆーと、扱いは別段酷くはなかったと
いう事ー?」
「むしろこちらの方が被害甚大ですよ!
例の本も資料としてありましたし、その
ナマモノが私たちの前で……!
あの2人が一緒のベッドで眠る寝顔に、
何名の魔族が撃沈したか!」
カガミの言葉にエクシルが反応し、身もだえる。
「それで、わたくしたちと交渉したい事と
いうのは?」
「出来れば、借りている期間延長をお願い
したいのだが―――」
「も、もし難しいのであれば、共同という事も
考えられなくは……!」
その光景を女神一行の男性陣は遠くから
見守っていて、
「どうしようか、コレ」
「何とかしなければならない気もしますが、
どうにもならない気もします」
バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が、
何とも言えない表情で話し、
「まあ実害は無いでしょうし―――
こういう場合、男が口を出すのは逆効果だと
思いましゅから。
しばらくは様子見しましょう」
ナヴィの言葉に貴族青年二人はうなずき、
様子見という名の現実逃避に入った。
「さて、いつまでにらみ合っているつもり
ですか?
アタシに用があったんでしょう?
いくら次元空間とはいえ、永遠にこのまま、
というワケではないでしょうし」
特殊部隊のような装備に身を包んだフィオナは、
ゴーグルの奥の瞳で眼前に照準を合わせ……
散発的にサブマシンガンを発射する。
石壁の後ろで何とかしのいでいる
限理神・マファーダは顔をのぞかせ、
「ククク……
そう言っていられるのも今の内だ。
それに言う途中でいきなり攻撃を受け、
伝えられなかったが―――
戦うのは余ではない。
なぜこの2人きりの空間に、お前を移動
させたのか?
それはこの次元空間こそ、誰の邪魔も
入らない……
それこそ、お前の両親であるユニシス、
アルフリーダすら干渉は不可能なのだ!
そして余だけが『ガガガガッ!!』」
演説のように語るマファーダに、フィオナは
銃撃を浴びせ、
「だからまだ余がしゃべっている途中で
しょうが!!
人が話している最中に火力兵器で攻撃しては
いけないって、お父さんお母さんに言われ
なかったの!?」
「いやあんまり長話されると眠くなって
しまうので。
出来れば手短にお願いします」
抗議する限理神に女神は面倒そうに返す。
「ハァハァ……
まったくもうこの子は!
いいか、よく聞くが良い―――
この次元空間はあらゆる干渉を拒む。
この余以外はな。
そして余は、あらゆる次元からあらゆるものを
召喚する事が出来るのだ!
そう……
例えばある者の前世、そして来世の存在
までもな―――」
「え?」
マファーダの言葉に、思わず女神の少女は
銃口を下げる。
「やっとわかったか。
これからお前が戦うのは……
前世と来世の自分よ!!
どうかね?
輪廻の中の自分と戦わされる気分は―――」
「あ、それはちょっと止めた方が」
「もう遅い!!
過去と未来、双方の自分と戦って
果てるがよい……!!」
そして限理神とフィオナの間の空間が歪み、
そこへ紙に包まれた一個の飴玉が転がった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7956名―――
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