25・本当にシリアスが続かないと言いましゅか
( ・ω・)やっと対決直前!
(でも盛り上がらない)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
銀のロングウェーブの長髪の同じ年くらいの
同性が向かい合う。
「どうですかメイさん?
我がルールー家に伝わる秘伝は……」
「いい、これはいい物だですわフィオナ様。
でもお義父さまにお会いした事があります
けど、そういうプレイがお好み―――
いえ受け入れる度量があるなんて」
彼女たちが見ているのは、アルフリーダが
かつてユニシスに対し行った萌え行動一覧で、
「あー、パパの名誉のために言って
おきますけど……
ママと出会った時は、今のアルプきゅんと
あまり変わらない年齢だったんですよ。
それにママは生まれた時から女神でしたので、
外見上の年齢差は人間に当てはまらないって
ゆーかー。
いつでも自分とパパの外見年齢変える事が
出来ちゃいますし」
「それって反則ですよねー。
でもわたくしもそんな能力あったらバンバン
使っちゃいそうです」
そこで二人はいったん一息ついて、
「それでそれで?
あなたのネクタリン家には何か秘伝のような
ものは無いんでしょーかっ?」
「一応お母さんに聞いてみたんですけどね。
お父さんは年上だし―――
アルプ君のような年下に効く方法は
知らないって」
少女の答えに女神はガックリと肩を落とすが、
「あ、ただですね。
効くポイントというか場所?
みたいな情報は教えてもらいました。
それがこちらになります」
メイは一枚の紙をフィオナとの間に置く。
「ほほうほうほう。
え? こんなところも効くんだ?
ちょっと意外というか……」
「そうですね。
あとココとかこんなところとかはあまり
効果が無いという話です。
あとデリケートというか敏感な部分は、
ちゃんとやさしく扱わないとダメなそうで」
そこで少女たちは互いにうなずき合い、
「まっ!
どうせいろいろ考えている途中で、
ケダモノのように何も考えず本能にお任せに
なるんですけどね!」
「それは仕方ありませんよ。
アルプ君の声が! 匂いが! 反応が!!
わたくしたちの理性を消し飛ばすのです。
毎回あーしようこーしようと思って
挑むんですけど―――
最終的にはいつも何も考えずに突撃ー!
ってなりますから。
極上の素材はそのままかぶりついた方が
美味しいという見本です」
フィオナとメイが盛り上がる中、
それを扉の隙間から伺う銀髪の美少年と、
緑の瞳と短髪を持つ十一・二才くらいの
男の子がおり、
「どうしましゅか、アルプ君。
このまま突っ込みましゅか?」
「ちょ、ちょっとそんな度胸は無いです。
もう少し待ちましょう」
「いい判断だと思いましゅ。
というか本当に申し訳ごじゃいましぇん。
ウチのダ女神が……
しゃて、それではそろそろ―――
本編スタートしましょう」
│ ■コザイ国・王都王宮 │
「よっし!
じゃ、行くとしますか!」
頬にクロスの傷のあるバーレンシア侯爵が、
パンパン、と気合いを入れるように両手で
自分の頬を叩き、
「必ずや、女神様の敵を討ち払い……
アルプとファジー、両名を取り戻します!」
年齢より十才は若く見えるシルバーの短髪の
ビューワー伯爵が宣言する。
「バートレット様の事、お願いしますね」
「任せておいて。
揃って結婚式は挙げたいもの」
赤髪の豪商の令嬢、マルゴットの言葉に、
女性騎士という体のレイシェンが答え、
「ナヴィ様、ファジーを頼むぜ」
「カガミさん、どうかアルプを……!」
三白眼のブラウンのセミショートの髪の少女・
ミモザと―――
息子と同じグリーンの長髪の女性、ソニアが
嘆願するように頭を下げる。
「必ず2人は取り返しましゅよ」
「カガミは負けないの!」
ナヴィと、赤茶のツインテールの獣人族の
少女・カガミが元気良く応じ、
「じゃあフィオナ様、二人の旦那様を
魔族の手から救ってください!」
「同じ妻として約束します、メイさん!」
最後に、アルプを夫とする二人の少女が
ガッチリと手を握る。
「しっかし、本当にこれだけで行くのか」
「仕方ねぇよ。
限理神・マファーダがまだこの世界に存在
しているって事は、連合各国の上層部しか
知らないって話だ。
だからグレイン国王妃・グレイシア様を始め、
今このコザイ国にいる序列上位国の王女・
正妃様も、見送りをしない方針を固めたんだ」
中肉中背の、濃い緑色の短髪をしたトニックと、
彼よりは細身の体つきをした、薄いブラウンの
短髪をしたソルトが、状況を語り合う。
「では、『勇者』バーレンシア侯爵よ。
アタシの眷属、そして夫を救うために力を
貸してください!!」
女神・フィオナが号令のように声をかけると、
一行は跪き、
「ハッ! この命に代えましても!!」
彼の言葉で一同、身を引き締めるも、
「あ~……
でも人死にとかそういう展開は誰も望んで
いませんから。
ダイジョーブ!
いざとなったらパパかママが来ていちげき!
でしょうから。
作戦名『いのちをだいじに!』です!」
「本当にシリアスが続かないと言いましゅか
何というか―――」
女神の言葉にナヴィがツッコミを入れ……
一行は微妙な表情で立ち上がった。
│ ■コザイ国・某所 │
コザイ国辺境・洞窟の奥深く―――
限理神・マファーダが潜む地下基地。
主である限理神は、配下の四人を魔族を前に
玉座に座って彼らを眼下に見下ろす。
「ついに来たか……
やつらが到着したその時、例の魔法陣に
余の全ての魔力を注ぎ込む。
それで全てが終わる。
あの神々の夫婦との決着をここでつけて
やろうぞ……!」
復讐に燃えるマファーダは、不敵な笑みを
浮かべる。
「準備は出来ておりますれば」
「連中がここに来るまで、しばし時間は
ございましょう。
それまではごゆっくりと―――」
フォルドとワーダー、二人の魔族の青年が
進言し、
「ところでマファーダ様」
「決着がついた後―――
あの眷属の少年たちはいかように?」
次いで女性魔族である、テクスとエクシルが
限理神に問う。
「む? あの2人か?
そもそもあの女神をおびき寄せるエサだった
からな。
もうこれで利用価値も無い。
逃がせば良かろう」
そうマファーダが答えると同時に、
いつの間にか集結していた女性魔族たちから、
ブーイングが飛び始める。
「価値が無いなんて事はありません!」
「マファーダ様は何もわかって
おられません!!」
「え? あ、う……うん?」
女性魔族たちの反応に限理神が戸惑っていると、
瞬間移動でもして来たように、突然彼の前に
テクスとエクシルが迫り、
「では終わった後は、私どもに一任して
くださいますか?」
「いや、この戦いはそもそも余とあの神々の
血族との因縁が元だ。
基本的にあの2人は無関係というかその。
事が終われば身内に返すのが筋では?」
テクスの並々ならぬ迫力に押されながらも、
マファーダは正論で答え、
「で、では!
彼らの身内に返すのは私どもの手で、という
事でよろしいでしょうかっ!?」
「ま、まあ世話をして来たのはそなたたち
だから―――
別にそれくらいは任せても」
言質を取った二人が振り返ると、女性魔族たちが
歓喜に沸き上がり、
「ではこの事をあの2人、アルプとファジーに
知らせて来ます」
「私どもはこれにて」
そう言うと女性魔族たちと合流し、テクスと
エクシルは去って行った。
「じょ、情でも移ったのか?」
困惑している限理神に対し、フォルドと
ワーダーは、
「まあ、そんなところじゃないかと」
「深くお考えにならない方がいいかと
思われます」
男性だけが残った謁見の間で、微妙な同意が
形成された。
そしてその頃、女性魔族たちは通路を
歩きながら、
「返す……
確かにそう言った」
「だが、『いつ』返すか……
そこまでは指定していない……」
「その気になれば返すのは、十年後・
二十年後でも可能だろう……
という事……!」
そんな事を話しながら女性魔族の集団は、
アルプとファジーが軟禁されている部屋へと
向かった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7913名―――
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