23・勧誘を断れない一人暮らしの学生か何か
( ・ω・)フィオナも戦力上は強いはず
なんですよ(物理方面)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
ロングの金髪をした、抜群のプロポーションを
持った女性が相対して座る。
「ほう……これが例の」
「ルールー家の秘伝書のようなものですからね。
感謝しなさいよ」
果樹の豊穣を司る優しき女神―――
フィオナ・ルールーと、
その母である時と成長を司り、見守る女神……
アルフリーダが、数枚の書類を挟んで語り合う。
「これがママがかつてパパに対して行った、
萌え行動一覧―――
本当にいろいろとやってんですねえ」
「だって本当に可愛かったんですもの~♪
それにパパも今は丸くなっているけど、
昔は私のために本当にはっちゃけていて」
母娘である女神二人は、その文章を目で追い、
「でもママがすでに、汗まみれの衣服で五感に
訴える境地をすでに獲得していたなんて」
「フフ……
小道具を使うのは基本中の基本よ、
フィオナちゃん。
他にもいろいろあるから、手を変え品を変え
試してみるといいわ」
その紙にはアプローチやイタズラなど、数々の
手法が書き連ねられており、
「おぅふぅ♪
これもなかなか……
ん? この―――
『水を飲んでいるところを笑わせる』
というのは?」
「いいところに目を付けたわね、
フィオナちゃん。
それは文字通りの行動だけど……
それでガマンしたり、吹き出したり―――
いつもとは違う反応を見られるだけ萌える
ものがあるわ」
そこでフィオナはぐいっ、と顔を突き出し、
「ちなみにパパはどんな反応でした?」
「ちょっと咳込んだ後……
『アルフリーダ様のバカ! いじわる!!』
って言って少しの間拗ねていたわ♪
あぁ、思い出すだけで濡れる……」
それをウンウンと聞いてた娘の方の女神に
電流が走り―――
「……ねぇママ、これミルクでもいけない
かしら?」
「?? 別に飲み物なら何でもいいと
思うけど。
その真意は?」
そこでフィオナはいったん大きく息を吐き、
「いやだって考えてみてくださいよ。
『その後』を。
盛大に吹き出した後、対象の顔や胸が
ミルクまみれになるんですよ?」
「でもそれ、別に水だって濡れて―――
……っ!?
ま、まさかそれって、白濁の液体まみれに
なるって事で……!?
―――ごふっ♪」
数分後、訪問してきた主人をもてなすため、
短い銀髪をした美少年がお茶菓子を持って
入って来たところ、
「アルフリーダ様、フィオナ様、お茶……
どうしたんでしゅか、お2人とも」
従僕であるナヴィが見たものは、女神の母娘が
二人そろって横になり、身もだえている様で、
「まあ、どうしぇろくでもない事を考えて
いたんでしょう。
しょれではそろそろ、本編スタートしましゅ」
│ ■コザイ国・王都王宮 │
「あー、転移かー。
自分もその目で見た事がありましたのに」
「確かに女神様がいればその一行ごと、
瞬時に転移出来るんでしたね。
それを見逃しておりました、面目ありません」
頬にクロスの傷を持つ侯爵と、銀髪の若々しい
見た目の伯爵が、女神の言葉に受け答える。
「そうです!
万が一の事があっても、アタシの能力があれば
全員を無事戻す事が出来ます!
ただ問題は―――」
「次元の異なる世界を拠点にしている、
というのが気になりましゅ。
その能力で仲間を分断しゃれるとか、
そういう事も考えりゃれましゅので」
女神の後に続いて、従僕も懸念を伝える。
「厄介ですね、それは……」
「こうまで来ると、人間が手を出せる範囲では
ありませんし」
ロングの金髪を持つ女性騎士の体をした
伯爵令嬢と、真っ赤なロングヘアーの豪商の
娘が共にうなずく。
「最悪、フィオナ様だけ引き離される可能性も
あるわけですか」
「てかアタイならそれを狙うよ。
目標でもあるし、わざわざ戦力になりそうな
侯爵様や伯爵様を相手にする必要が無いもん」
グリーンの長髪を持つ第一眷属の母と、
首まで伸びたブラウンの髪の三白眼の少女が
意見を述べる。
「それより、問題が―――」
銀のロングウェーブの髪をした、フィオナと同じ
夫(予定)を持つ少女が片手を挙げ、
「む? 何ですかメイさん」
「確かフィオナ様の能力って……
眷属のいる地にしか転移出来ないんじゃ
無かったでしたっけ?
それならわたくしの姉、ポーラ姉さまを
呼んだ方がよろしいのでは」
それを聞いた彼女は首を横に振り、
「いえ、すでに1度行った場所になら、
転移出来るようになったんですよ」
「おお、そうだったんだ」
「それならば問題は―――」
バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が、問題が
解決した事に喜んでいると、
「……いえ、一応念のため呼んでおいた方が
いいと思いましゅ」
「ん? 何でナヴィ様?」
従僕の答えに、思わず赤茶のツインテールの
獣人が聞き返す。
「どういう事だい?」
「敵の能力が未知数過ぎるんでしゅよ。
その次元の異なる世界―――
その中でもフィオナ様が自在に転移出来るので
ありぇば、警戒する必要はありましぇんが。
出来る事は全てやっておいた方がいいと
思いましゅね」
ミモザの問いにナヴィは答え、そのまま
フィオナの方を向いて、
「さあ、数少ないあなたが活躍出来る
場面でしゅよ。
さっそくポーラしゃんを連れて来るでしゅ」
「ええもうホント人のやる気を削ぐ事については
卓越した技術を持ってますねー。
わかりましたよ連れて来ます!」
文句を言いながらも転移のために構える女神。
従僕はそんな彼女に向かって、
「あ、しょれと……
連れて来るだけでいいんでしゅからね?
体力温存のためにも、余計な物とかは
持って来ないでくだしゃい。
せいぜいシモン君くらいで。
あ、あと余計な寄り道とかもしないように」
「わかっていますよ、もー。
子供のお使いじゃないんですから!」
そう言うとフィオナの体はまばゆい光に
包まれ―――
一行の前で消えて行った。
「しょれでこれはどういう事でしゅか?」
小一時間もすると、女神は第三眷属の銀の
ロングウェーブをした少女と、その恋人である
褐色肌に黒髪・黒目の少年を連れて転移して
来たのだが、
そこにはごっそりと、木箱で梱包された
荷物が山のようにあり……
「す、すまねえ。
店が救援物資として、果物を持っていけって
言われてその」
「あとボガッド家からもいろいろと―――
主にバーレンシア侯爵様向けの物ですが」
シモンとポーラが申し訳なさそうに、
頭を下げる横で……
フィオナはぐったりと横たわっており、
そこへナヴィが近付いて、
「オイ、ダ女神。
ありぇだけ体力を温存しろと言って
おいたのに、何があったんでしゅ?」
「い、いやぁ、そのぉ~……
事情を話したら、出来る限りの協力を
したいとの事で?
そ、それを無下に断る事も出来なくってぇ」
それを聞いた彼はフー、とため息をつき、
「勧誘を断れない一人暮らしの学生か
何かでしゅか。
どうせ『女神様!』『女神様!!』って
言われて気を良くしてホイホイもらって
帰って来てしまったんでしょう。
まあいいでしゅ。
毒を食らわば皿まで―――
地球に飛びましゅよ、フィオナ様」
「へ? なな、何で?」
「どうしぇもう体力的にヘトヘトでしょうから、
しばらく動けないでしゅよね?
じゃあいっそ今日明日の出撃は諦めて、
栄養ドリンクやスポドリを入手して
きましょうそうしましょう」
「あ、いやお願い!
ちょっと少しの間だけでいいから休ませてえ
えええええええ」
と、女神は叫び続けながら従僕と共に消え、
後にはどんな顔をしていいかわからないという
体の、一行が残された。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7877名―――
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