18・直撃ならばぶっ壊れていた
( ・ω・)祝日が憎い(無理にエンジンを
かけないとダメな社畜体質)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
ロングウェーブのブロンドの、カラスのような
羽を持った少女が対峙する。
「そういえばタワマンに引っ越しは確定っぽい
ですけど……
もう堕天使ちゃんは準備とかしてます?」
「我の私物って実はそんなに無いんですよね。
仕事で使う物は、各国の都市部にある
集会所とかにあって―――
それらはそこの信者が勝手に管理してくれて
いますし」
女神・フィオナと堕天使は日常会話のように
非日常を語る。
「じゃあ今すぐ引っ越しても何の問題も
無い感じ?」
「……まあ、プライベートでちょっとどころ
ではなく人に見せられない物もありますけど、
でもそれはフィオナ様と同レベルというか」
「えうっ!?
どうしてアタシに飛び火させるん
ですかっ!?」
しばらく二人はじゃれ合っていたが、
やがて落ち着くと、
「そういえば堕天使ちゃんもパパママオンリー
ルームを空けておくように言われていると
思いますけど……
あなた自身はどんな部屋にカタスマイズする
つもりなんでしょーか?」
「いやまあ、これでも元天使なので―――
そういう神職? 聖職? ってゆーか、
背徳感あふれる感じでですねえ。
そもそも堕天使ですし、宗教観ガッツリで
そういうシチュを楽しめるように」
その答えにウンウンと女神はうなずき、
「いいですねえ……
シスターとか聖職の者が、愛欲に堕ちていく
イメージ……」
「ダテに堕天使ではありませんからねえ。
ぜひ不道徳に陥った神殿のようにして、
そこでナヴィ様と―――
たまりまへんなぁ、オイ♪」
いつの間にか少女二人はヨダレを垂らし始め、
『アリ……アリだわ!!
女神を信仰する少年が、やがて身も心も
捧げるようになっていって―――
女神もそれを拒めずにドロドロに
溺れていく……!
さっそく今夜パパで試さなきゃ(使命感)』
さらにそこへアルフリーダの声が響き、
「あ、それはアルプきゅんにも適応出来そう
ですねえ」
「お2人とも、後でぜひともご感想を
お願いいたします」
より混沌が加速していく中、その空間を
一人の銀髪の美少年が見つめ―――
「はあ……
それじゃ今回もそろそろ、
本編スタートとまいりましゅかぁ」
│ ■コザイ国・王都王宮 │
「待機……か。
悔しくはあるが、現状打つ手が無いのも事実」
女神一行のこれからの方針を伝えるため、
バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が、
王宮の一室にある、女性陣が滞在する部屋へ
来ていたが、
ボリュームのある黒髪を持つ―――
グレイン国王妃・グレイシアがまずうなずき、
「明らかに眷属の少年2人を狙った犯行……
確かに、相手側から何らかの接触はあるはず」
次いでシフド国王女・スカーレッドが、
淡いピンクヘアーを揺らしながら、丸眼鏡を
かけ直す。
「事ここに至っては、女神様とその配下の方々に
お任せするしかありません」
厚化粧のパープルヘアーの女性……
ミイト国正妃・シャロレーが続く。
「此度は、我が国でこのような事態を招いて
しまい―――
申し訳なく思っております。
今回の件は外に漏らさず、かつ警備を厳しく
いたしますので、女神様ご一行はあの2人を
取り戻す事だけをお考えください」
最後に三十代後半に見える上品そうな夫人、
コザイ国王妃・ミレーヌが頭を下げ、
「感謝いたします。
今となっては、公式な行事全てを済ませて
いたのが、せめてもの救いでしょう」
「各国の王族の方々におかれましては、
不自由な思いをさせてしまいますが……
眷属の少年たちが奪われた、という情報は
伏せますので、これまで通りの振る舞いを
お願いいたします」
三白眼に頬にクロスの傷のある侯爵と、
実年齢より若く見える、ホワイトシルバーの
短髪の伯爵は、頭を下げ―――
報告を終えた後、部屋を退室した。
│ ■コザイ国・某所 │
その頃、拉致されたアルプとファジーは、
限理神・マファーダの拠点……
そこでテクス、エクシルを中心とする
女性魔族たちに監禁・監視されていたが、
「も、もういいですか?」
「心の準備、もとい覚悟はしておけ。
もう10人以上やられている。
私たちでさえ5秒持たなかった」
「そ、それほどまでに―――」
説明するテクス・エクシルを前に、行列を作る
魔族の女性陣は息を飲む。
「では行くぞ……
マズいと思ったらすぐに退け」
「言っておくが、最初の3人は即座にやられた。
くれぐれも自分の実力を過信するな。いいな」
散々『おもてなし』と称し、着せ替え人形に
された少年二人は―――
用意されたベッドで一緒にぐっすり眠っており、
その寝顔を見たいと女性魔族が殺到していた。
そして通された彼女が二人の眷属の少年の
様子をのぞくと、
「……ッ!!」
すぐに顔を背け、鼻血を出して無言で
七転八倒する。
「(声は出すな!)」
「(絶対起こすなよ!)」
上司にあたる魔族の指摘に、彼女は起き上がって
コクコクとうなずく。
そしてそれを見ていた後方の女性陣は、
「そ、そんなにか?」
「いったい、どれだけの光景が―――」
その質問に、先ほどのぞいていた彼女は
鼻血を出したまま、
「見れば……わかる。
どんなに覚悟をしても無駄だぞ、アレは。
むしろ心を無にして立ち向かった方がいい」
その指摘にゴクリと喉を鳴らし、
「次はお前だな?」
「よし、行ってこい」
テクスとエクシルの合図に、彼女はそっと
扉に手をかけ、中をのぞく。
するとそこには、グリーンの短髪に陶器のような
白い肌を持つ少年と、
ブラウンの短い髪をした、もう一人の少年より
やや年下の男の子が、
兄弟のように抱き合って眠っていて―――
「……!!」
彼女はそれを見た途端、膝を落として
片手で顔を覆う。
「(音を立てるな!)」
「(静寂を維持するんだ……!)」
上司の二人の指示に従い、彼女は深呼吸しながら
立ち上がる。
「ク……ッ、さすがは女神が選んだ眷属……
眠りながらにしてこの破壊力とは―――
直撃ならばぶっ壊れていた」
「聞くと見るとでは大違いというが、
まさかこれほどまでとはな」
「よし、次……!」
そして女性魔族の行列は粛々と進んでいった。
│ ■コザイ国・王都王宮 │
その頃、さらわれた眷属の身内である
フィオナ・メイ・ソニア・ミモザに電流のような
ものが走り、
「今、何か―――」
「旦那様の評価がすごく上がったような、
そうでないような」
「ええ、母親としても微妙と言いますか」
「姉としてもねえ……
いや、嫌われるよりはいいんだろうけどさ?」
恋人の帰りを待っていたレイシェンと
マルゴットは、それを見て首を傾げた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7796名―――
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