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13・出来たら本当に心の底から

( ・ω・)冷蔵庫がそろそろヤバめ。


日本・とある都心のマンションの一室―――


黒髪セミロングの少女と、銀髪の美少年が各自

手持ちのスマホに集中していた。


「おっ、ここはもう荒らされた後ですね」


「んー、近くに人影は無かったでしゅが。

 この後、敵はどの方向に行ったんでしゅかね」


「まだ暖かいわ。遠くへは行ってないはずよ」


「どうしてわかるんでしゅか……」


いわゆるバトロワ系のゲームをペアでやっていた

女神・フィオナと従僕のナヴィは、いつもの

やり取りを交わす。


「それはそうとナヴィ。

 今、あなたとあの5人の人外娘との愛の巣を

 選定しているみたいだけど―――」


「アルフリーダ様のお手を(わずら)わせているので、

 申し訳ないとは思っていましゅ」


「まあ当人は楽しんでやっているから、

 そこは別に。


 でもいろいろと彼女たちの要望を聞いて

 いたようだけど……

 あなたには何か無いわけ?」


そこで彼は片眉を少しだけ上げ、


「何か当人たちの好みを反映させるために、

 カスタマイズしているとは聞いてましゅけど。


 でも私には聞かれた事ないでしゅね」


『フフフ……』


と、そこへアルフリーダの声が室内に響く。


「ママ!?」


「アルフリーダ様―――」


スマホから手を放して二人は天井を見上げ、


「ママが今のタイミングで来たという事は」


「私には要望を聞かなかった理由を?」


期待を込めて女神と従僕は問う。

それに対しアルフリーダは、


『……それはね。


 だってナヴィの事なら、赤ちゃんの頃から

 知っているし。

 (すみ)から(すみ)まで知り尽くしているもの。


 小さい頃はフリフリの服が好きだったとか、

 奴隷を模した薄いスケスケの衣装とか』


「ほほお……それはそれは」


母の答えに娘がヨダレを垂らしながら返すと、


「それは主にアルフリーダ様の趣味ですよね?

 そして私とユニシス様にしていた事ですよね?


 私の名誉のために撤回を要求しましゅ」


「え? パパの名誉はいいの?」


ナヴィの言葉にフィオナは聞き返すが、


「だってユニシス様は基本、アルフリーダ様の

 希望なら全面的に受け入れるお人ですし」


『いっ一方的じゃないからね!?

 私だってちゃんとあの人がしたい事なら

 叶えるわよ!?』


そしてそれを聞いたフィオナは、


「えーと、このままだと甘々(あまあま)ノロケに発展しそう

 ですので、緊急回避という事で本編スタート

 しますね」




│ ■コザイ国・王都王宮 │




「どうですかフィオナ様!

 この姿勢エグいでしょヤバいでしょ!?」


豊かな黒髪を揺らしながら、いかにも身分の

高そうな女性、グレイシア王妃が興奮しながら、

例の『モデル』を描いたデッサンを手に女神に

詰め寄り、


「あらあら……はしたないですよ?

 仮にも一国の王妃たる者が」


丸眼鏡に淡いピンクヘアーの、アラフォーの

貴婦人・スカーレッド王女が彼女をたしなめ、


「スカーレッド様も、あの女神様の従者が

 出て来た途端―――

 目が血走っておられましたけど」


厚化粧のパープルヘアーの女性……

シャロレー正妃がその隣りで鼻息荒く語り、


「う、噂には聞いておりましたが、まさか

 実在していようとは……!

 まるでこの絵からそのまま抜け出して来た

 ような感じでしたわ!」


三十代後半に見える上品そうな夫人―――

コザイ国のミレーヌ王妃が、ある紙面に目を

通しながら吠えていた。


ここは王宮の一室で……

そこは身分も立場もバラバラであったが、

女性という共通点での集団がおり、


「いいですねえレイシェン様。

 こちらなんかどうですか?」


「いい趣味しておりますわね、マルゴットさん。

 でもわたくしの旦那様はむしろこっちで」


真っ赤な髪の豪商の娘と、女騎士といった風体の

ロングの金髪をした伯爵が意見を交わし合い、


「いいですねぇ~、美少年同士の絡み……

 尊いと思いませんかぁミモザさん♪」


「ウチの弟は昔から素材が良かったからねぇ♪

 そりゃ『枠外の者』にも目を付けられる

 レベルで……♪」


銀のロングウェーブの少女・メイと―――

第二眷属の姉である、三白眼(さんぱくがん)の少女が語り合う。


「いいですねぇ、この人も神も問わず……

 そして身分も越えて互いに自由な意見が出せる

 世界……!

 これこそが平和というもの―――」


「平和というか混沌(カオス)と言いますか……

 いえ、私はまあ母親として息子の成長を

 見届けるという意味でも見ますけど」


最後に女神の言葉に、第一眷属の母・

ソニアが答えるが、一行を包む異様な熱気は

そのままに、『鑑賞』は続けられた。




一方その頃……

その扉を前にして、限理神・マファーダの配下・

そして魔族であるフォルドはまだ悩んでいた。


「何だというのだ―――

 身の危険は感じないが、精神汚染のような

 恐怖ががひしひしと……


 この感覚は、勝っても負けてもロクな事に

 ならない未来しか待っていないような。


 ……関わりたくない……!」


ある意味正直な感想を持ちながら、それでも

中の様子を調べるかどうかで逡巡(しゅんじゅん)する。


「しかし、この中には一行の女性陣―――

 あの女神、フィオナとやらも混ざって

 いるはず。


 それがどうして、このような邪気にも匹敵する

 ドス黒いオーラを(かも)し出しているのだ……?」


「それはでしゅね、と説明したいところ

 でしゅが、わからない方がいいという事も

 世の中にはありましゅて」


「いやそれはわかるのだが、これでは女神と

 いうより邪神か堕天使に似た何かだと―――」


と、そこまで話した時点でフォルドは

警戒態勢を取る。


そこには女神の従僕、ナヴィがいて、


「くっ、やはり罠だったか!

 するとこの部屋の中にいる女神含む女性陣は

 偽物……!」


「いえ、正真正銘の女神とその一行そして

 その他です。


 世の中って本当におかしいでしゅよね?

 あっはっはっはっは」


ナヴィの乾いた笑いを、魔族の青年は複雑な

表情で見つめ、


「何か苦労していそうだな、いろいろな意味で」


「そう思うのであれば、大人しく手を引いて

 欲しいのでしゅが」


「いや、この状況も相まって出来たら本当に

 心の底からそうしたいのだが―――

 あいにくそうも言っていられない。


 マファーダ様の命は絶対だからな」


そして女性陣の部屋の扉を前に、二人は

戦闘態勢に入った。




「よろしいでしょうか?」


一方その頃、ワーダーは男性陣の部屋へ侵入を

試みていた。


「はい、どなたでしょうか」


「お話でしたら、ボクたちが聞きますけど」


扉の向こうから、第一眷属と第二眷属の少年の

声が返される。


「(好都合だ。

 中にいる最高戦力―――

 『バクシアの鬼神』『フラールの剣聖』と

 引き離す事が出来れば……!)


 あのう、トニック・ソルトという二人組から

 伝言を預かっているのですが、ここで話しても

 構いませんか?」


「え? お待ちください」


「じゃあボクたちで承りますので―――」


そしてグリーンの短髪を瞳を持つ少年と、

ブラウンの髪の垂れ目ガチな少年二人が

扉を開けて出て来た。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7724名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【毎日更新中!】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

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