11・いえある意味強敵ではあるんでしゅけど
( ・ω・)よし、本格的に夏になる前に
有給を使い切ったぜ(不測の事態が起きた場合は
何も考えていない)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
シルバーのロングウェーブの女の子、
そしてグリーンの短髪と瞳を持つ少年が、
一つのモニターを前に座っていた。
「おー……こう来ましたか。
やっぱりジャパニーズホラーはくるものが
ありますねぇ」
「ふぅ。ちょっと休憩しましょうか」
フィオナとメイが一息ついて―――
その間に座っていたアルプは立ち上がると、
「す、すいません。ちょっとトイレへ」
と、そのままパタパタと早足で部屋を出る。
入れ違いに銀髪の美少年が入って来て、
「珍しいでしゅね。
協力プレイ系でも無いゲームをみんなで、
なんて。
でも2人とも大丈夫でしたっけ?
こういう怖いヤツ」
と、お盆に載せていた飲み物やお菓子を近くの
テーブルに置く。
「ま、まあ怖いっちゃ怖いですけど……」
「めっちゃリアルですし、作り物とわかって
いてもマジ恐怖です」
「しょれなら何でわざわざそのような
チョイスを?」
二人の答えにナヴィは首を傾げるが、
「いやだってですねえ。
それなりのリターンがあるんですよ!」
「アルプきゅんが怯えて、わたくしたちに
抱き着いてくるというゲフゲフゲフ♪
そして夜寝る時はいつも以上に甘えてきて」
「それが目的かよ。
本当にこの人たちはでしゅね」
お目付け役(人間Ver)は呆れながら、
自分も飲み物に口を付ける。
するとそこにアルプが戻って来て、
「あっ、ナヴィさん」
「いらっしゃい。お茶とお菓子をお持ちしたので
食べてくだしゃい。
じゃあゲーム再開を……」
と、彼が立ち上がって去ろうとすると、その裾を
アルプがつかみ、
「えっ、えーと……ナヴィさんも一緒にこれ、
見ていきませんか?」
「え? まあ別にいいでしゅけど」
まだ怖かったのか少年はさらに追加で、女神の
従僕にもここにいて欲しいと頼み込む。
そしてそれを見ていたフィオナとメイは、
「ふぉおおお……
これはまた眼福でございますなあ♪
後で邪神ちゃんたちにも伝えてあげねば」
「これはとんだサプライズ―――
これだけでも恐怖に耐えた甲斐があったって
ものです!
それじゃそろそろ、本編スタートしましょう」
│ ■コザイ国・王都王宮 │
「このような辺境の国にお越し頂き、ありがとう
ございます」
三十代後半に見える上品そうな夫人が、
頭を下げる。
その先は序列上位国である、
グレイン国王妃:グレイシア・グレイン。
シフド国王女:スカーレッド・シフド。
ミイト国正妃:シャロレー・ミイト。
「わらわたちに気を遣う必要は無い。
ミレーヌ王妃よ」
その豊かな黒髪を揺らしながら、グレイシアが
まず返し、
「貴女も一国の王妃なれば、対等です」
丸眼鏡に淡いピンクヘアーの貴婦人……
スカーレッドが続き、
「そうです。
わたくしたちは同志として集まったの
ですから……!
これの前ではいかな身分も出身の差も
ありません……!」
厚化粧とも思える派手な印象の―――
パープルヘアーのシャロレーが両腕でとある
本を掲げる。
「いかにも、その通りにございます」
「この前では全てが平等になりますれば」
ブロンドの長髪を持った、女騎士といった体の
レイシェンと、
燃えるような赤い長髪のマルゴットが跪きながら
答える。
「して、その―――モデルの男性陣は?」
おずおずと女神・フィオナがたずねると、
「別室で待機しております。
ナヴィ様まで連れて来て頂き……
フィオナ様には感謝のしようもございません」
コザイ国王妃・ミレーヌが返す。
すると彼女は首を左右に振って、
「先ほど、シャロレー正妃が仰ったでは
ないですか。
これの前に、身分も出身も関係無いと―――
それは神と人の差も含まれます」
「その通りですわ」
「女神様の言う事に間違いは無かったし、
これからも無い……!」
女神の答えに、息子と同じ緑の長髪を持つ
アラサーの女性と、
三白眼のブラウンの髪の少女がうなずく。
「ではまず……
これらをゆっくりと堪能しましょう。
そしてその後でメインディッシュ……!
あの5人にモデルとなって頂きましょう」
続けてのフィオナの言葉が合図にように、
各国の王妃・王女・貴族・平民使用人を
問わず―――
女性陣はBL本に群がった。
「何か今、背筋に悪寒が走ったんだけど
風邪かな?」
「どちらかと言うと、精神的に悪いもののような
気が……」
頬にクロスの傷を持つ悪人顔の苦労人―――
バーレンシア侯爵と、
年齢の割に若々しい外見を保つビューワー伯爵が
何かの気配に気付く。
ここはコザイ国王宮内にある一室で、各国の
王妃たちが集まっている部屋とは離れており、
他にアルプとファジー、ナヴィもここで待機
していた。
「大丈夫ですか、バーレンシア侯爵様」
「お疲れになったのでは」
第一眷属の少年と、姉と同じブラウンの髪の、
垂れ目がちな第二眷属の少年が心配して声を
かけると、
「多分大丈夫だと思いましゅよ。
悪いものには違いないのでしゅが、
えーと、敵ではないと言いましゅか。
いえある意味強敵ではあるんでしゅけど、
関わった時点で負けと言うか……」
その答えに眷属の少年二人は『??』と
首を傾げ―――
二名の貴族青年は苦笑を浮かべた。
「つーか俺たち、もうやる事ってあったっけ?」
「それなんだよなあ。
ここでの情報を伝えたら、女神様ご一行が
この国に来ちまったから」
コザイ国王都・某所で……
中肉中背の濃い緑色の短髪の青年と、
その彼よりやや細身の、薄いブラウンの短髪の
男性が語り合う。
彼らは諜報員として派遣されていた
二人……トニックとソルトで、
元々は限理神・マファーダの情報収集の
カウンターとして、探りを入れるために
コザイ国へ来ていたが、
そのコザイ国が依頼主である女神様一行を
招聘し―――
それに合わせて彼らの調査も一時中断され、
開店休業状態となっていたのである。
「てか今、女神様ご一行の女性陣と男性陣が
別れているって知っているか?」
「あー、確か王宮内で……
別々の部屋で待機しているんだろ?
まあ女は女同士、男は男同士で話す事も
あるんじゃねーか?」
彼らは人通りの無い場所で、自分たちしか
いないと思ってしゃべっていたのだが、
それを聞いていた二つの影が二人を
見下ろしていた。
「……聞いたか? ワーダー」
「あの二人、かつてマファーダ様がいた遺跡の
周囲を、こそこそと嗅ぎまわっていたヤツら
だよな?
話を聞くに、あの女神一行の関係者らしいが」
そこにいたのは限理神・マファーダの部下である
魔族―――
フォルドとワーダーで、
「だからこそ、話の信憑性は高いと思う」
「しかしなあ……
男性陣と女性陣が別々の部屋で待機?
護衛として来ている者もいるだろうに、
どうしてわざわざ?
罠ではないのか?」
二人は顔を見合わせるが、
「だが事実だとすれば千載一遇のチャンスだ。
アルプとファジー、この2人の眷属を他の
男性陣、バーレンシア侯爵とビューワー伯爵、
それにナヴィという女神の従者から遠ざけ
させる事が出来れば……
今から王宮へ向かうぞ」
そして魔族青年の二人は、その言葉を最後に
姿を消した。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7684名―――
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