10・2・3本用意した方がいいかも
( ・ω・)血圧の薬がまた増えた(ジジイ)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
同じ長髪の黒髪をポニーテールにして、和装に
身を包んだ少女が向かい合う。
「そういえば悪霊ちゃん。
ナヴィとの新居が、高級タワマンの
最上階フロア丸ごとになりそう、
って聞いたんですけど」
「……そうですね。
フィオナ様のお母さまの意向が強いですが、
スポンサーなのであまり反対も出来ず……
というところです」
そこで女神は首を傾げ、
「あり? 悪霊ちゃんもしかしてタワマン嫌?」
その問いに彼女は目線をやや下向けにして、
「……贅沢な悩みとは思いますが、純和風の
環境で暮らしてきましたから―――
どうしても地面から離れた生活というのは、
違和感があるといいますか……」
「あー……
まあわからなくもないです。
でも慣れてしまうと案外気にならない
ものですよ?
ここ、マンションの最上階ですけど、
時々ママが窓から入ってきますし」
「……それはそれで何か違うといいますか」
人外同士の会話なので、常識から外れるのは
いかんともし難く。
「……でも、やっぱり好きな殿方と暮らす
家ですからね。
和風の庭付きの一軒家が夢だったのですが……
……いえ、今のあたくしの身分からすれば、
タワマンでも恵まれ過ぎというのはわかって
おりますけれど……」
悪霊が寂しそうに微笑むと、
『その願い、叶えてしんぜよう……』
「え? ママ?」
突然アルフリーダの声がしたかと思うと―――
同時に天井からパンフレットのようなものが
落ちてきて、
それは床でパラパラとめくれ、あるページで
止まった。
「こ、これは……
最上階の屋上に和風庭園!?」
「和風建築に竹垣や鯉のいる池、
砂利敷きの道まで……!
……よ、よろしいのですか!?
アルフリーダ様……!」
悪霊は思わず天井を見上げて叫ぶ。
『可愛い息子のようなナヴィと結ばれる……
いわば義娘となるのだから、これくらいは
当然の事……
あ、でも和風一室フリーにしておいてね。
私とパパ専用の』
「待ってママ。その条件は聞いていたけど、
5人分用意させる気なの?」
最後の母親の言葉に娘がツッこむ。
『だってーいろいろなシチュの部屋があると
萌えると思ってー』
「でもこれだけ広ければ、あたくしとしては
文句はありませんけど……」
「ラブホじゃねぇんだよ。
どれだけ取りそろえるつもりなんだよ。
んでアタシも使っていい?」
そのやり取りを遠目で聞いていた、従僕である
銀髪の美少年が呆れるように目を細め、
「さて、そろそろ―――
本編スタートしましゅか」
│ ■コザイ国・王都 │
「お~……」
「お疲れ様でしゅ、みなさん」
コザイ国・王都の中でも一番の宿屋―――
トーリ財閥が用意した宿泊施設で、うなる女神と
その一行を前にナヴィが労いの言葉をかける。
「すごい歓迎でしたね……」
ロングウェーブの銀髪をした少女の後に、
「ウチのアルプちゃん、あそこまで人気
だったなんて。
これも女神様のおかげですわ」
「ファジーもすごかったなー……
姉として鼻が高いよ、ウンウン♪」
グリーンの長髪を持つ妙齢の女性と、
三白眼のブラウンの髪の少女がうなずき合う。
「でも見事に女性だけ残ったわね……
ナヴィだけは女神の護衛として残らなければと
免除されましたけど」
今、この宿屋には―――
フィオナにナヴィ、メイ、ソニア、ミモザが
ベッドやソファに横になっていた。
「そりゃ仕方ねーよ。
どうもあちらさん、フィオナ様が来るのは
想定外みたいな顔してたし」
「神様の迎え方なんて誰も知らないでしょうし、
フィオナ様が『人間の都合を優先して
構いません』って言ったら、すごく
ホッとした表情をしていましたしね」
ミモザとソニアの言う通り……
アルプとファジーが最優先で招致されており、
『他のメンバーは出来れば』と考えていた
コザイ国の面々は、
まさか本当に女神様が現れるとは思わず、
彼女の出現に右往左往し、
混乱を避けるためにナヴィからのアドバイスで、
いったん宿屋へ下がったのである。
ただ、各国―――
特に序列上位国から、
グレイン国王妃:グレイシア・グレイン。
シフド国王女:スカーレッド・シフド。
ミイト国正妃:シャロレー・ミイト。
この三人が出席しており、貴族階級である
バーレンシア侯爵、ビューワー伯爵を始め、
彼らの婚約者であるシッカ伯爵令嬢、
グラノーラ令嬢は、
今回の目玉であるアルプ・ファジーと共に、
貴賓たちへのあいさつに回っている。
「アルプ君とファジー君は平民だけど……
真っ先に招待された2人だから、今各国の
お貴族様たち相手に祝辞を受けに回って
いるんですよねー」
「第一眷属と第二眷属だからなぁ。
女神様一行の中でも神格化されている、
それに顔立ちもいいからこういう式典に
持ってこいなんだよねぇ。
ただアタイたちはその身内といえど―――
平民だから後回しにされちまった。
あーあ、マルゴット嬢がうらやましいよ」
今出向いている中では二人の少年を抜かせば、
グラノーラ・マルゴットだけが平民であったが、
その婚約者がビューワー・バートレット伯爵と
いう事もあり、同席を許されたのである。
「まあまあ。
バーレンシア侯爵様やビューワー伯爵様は
気さくな方々ですけど……
本来、貴族様のお相手ってとても疲れる
ものですよ?」
ソニアの話を聞いて、『まー』『確かに』と、
メイとミモザが同意する。
「しょれに―――
グレイン国のグレイシア王妃様が、
この後みんなで集まる場を用意して
くださったでしょう。
不満はあるでしょうが、その時までゆっくり
休むといいでしゅよ」
ナヴィの指摘にみんなが首を縦に振り、
「そーねー。
それに多分、あいさつ回りしているみんなの
方がプレッシャーで疲れているだろうし。
バーレンシア侯爵とか、
レンジ・バーレンシア侯爵様とか、
バクシア出身者の貴族様とか。
そのために栄養ドリンクをいくつか、
出しておきましょーか」
女神の言葉に女性陣はコクコクとうなずき、
「あれは効きますからねー」
「ウン。時々アタイも頂くけどアレはガチで
体力回復する。
何かもうパカーっと目が覚めるっていうか」
「でも念のためバーレンシア侯爵様には……
2・3本用意した方がいいかも知れません」
そして一行は、あいさつ回りしている組の
帰りを待つ事にした。
―――その頃、王都の路地裏で……
怪しい影が二つ出現していた。
「女神一行は入ったようだな、ワーダー」
「堂々とあれだけのパレードを行って
くれるとはな。
人が多ければそれだけやりやすくなる……が、
出来るか? フォルド」
「問題無い……と言いたいところだが。
『バクシアの鬼神』『フラールの剣聖』―――
剣姫と称される者の戦闘能力は侮れない。
どこかで戦力が分散されるのを待つしか
あるまい」
限理神・マファーダの手先の魔族二人は……
そのまま姿を影に溶け込ませた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7655名―――
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