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03・お早いお帰りで

( ・ω・)会社で冷房になるとは思わなかった。


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主である黒髪セミロングの少女が、その

やや目付きの悪い瞳を同じ室内の掘りごたつに

向けて、


「ねーねーナヴィ。

 暖かくなってきたんだし、そろそろその

 コタツをしまっても」


「それだけはこの身に代えても拒否します」


コタツの中からはハッキリと拒絶する声が

返って来て、


「いやいやいや……

 急だとは思うけど、それだけ突然暖かく

 なって来たんだしね?」


「私にはわかります。

 この後、必ず寒さが戻ってくると」


あくまでも徹底抗戦の姿勢を崩さないナヴィに、

フィオナは軽くため息をつき、


「(そもそも設置したのはアタシだけど、

 当初の目的は、あの人外5人組と一緒に

 下半身をナヴィに見てもらうため―――

 というのもありましたからねえ。

(■7章27話 好きな事とお仕事は違う参照)


 だけどその5人も一線を越えた事ですし……

 そういった意味でもコタツの存在意義は)」


そこではた、とフィオナは思考を変えて、


「(でも今はアタシの弟夫(オトウット)であるアルプきゅんが

 おりますし―――


 美少年の下半身を元猫とはいえこちらもまた

 美少年がのぞく……!?


 それはなんと極上で甘美なシチュエーション!

 であるならば―――

 コタツの存在意義もまた……!!)」


そこまで妄想を高めた時点で、もそもそと

シルバーの長毛種の猫がコタツからはい出し、


「あ、あれ? ナヴィさんコタツは?

 もう出てくるの?」


「いえ、何か出なければならない義務というか、

 使命感に駆られまして。


 何ていうかその―――

 貴女の妄想通りにしてはならないという」


「どうしてそういうところだけカンが

 鋭いんですかねえ……


 まあいいでしょう。

 そろそろ本編、スタートしましょうか」




│ ■コザイ国・某所 │




「やれやれ……」


「確かに第一眷属は女神の恋人であり、

 第二眷属の少年も比較的初期に一行の

 メンバーとなった、いわば古株だ。


 ターゲットとしては最適なのもわかるが」


コザイ国辺境・洞窟の奥深く―――

限理神・マファーダが潜む地下基地。


そこで配下の魔族、フォルドとワーダーは

お互いに愚痴っぽく語りながら歩く。


「その2人を拉致出来れば、確かに女神も

 救出に動かざるを得ないだろう。


 そういう意味では、これ以上は無い

 エサなのだが」


「そのエサが極上であればあるほど、

 警戒も厳重であろうに……


 まったく、好き勝手言ってくれるよ」


事の発端は、彼らの主であるマファーダから、

この地に女神をおびき寄せる命令が下り、


一通り女神一行の調査を終えたテクスと

エクシルから、眷属について情報をたずねようと

したところ、


二人以外の女性魔族も複数加わって―――

アルプ・ファジーを狙うようにと猛プッシュを

受け、


また他の眷属で、人間の女性もいる事から

そちらを狙った方がいいのではという意見は

逆に猛反対され、


彼女たちの勢いに押されるまま……

彼らは逃げるようにその場を離れたのであった。




「ほう。第一眷属と第二眷属の少年を狙うと?」


いったん自分たちの考えをまとめた二人は、

改めてマファーダにその事を伝える事にした。


彼らの報告を聞いた限理神は少しの間、

両目を閉じていたが、


「だが、第一眷属は女神の配偶者という事は

 知っておるな?


 そして第二眷属も、女神がこの世界に来てから

 日の浅いうちに加わった事も―――


 それを承知の上でか?」


フォルド・ワーダーの懸念に、すぐに主も

たどり着き……

その事を聞き返されるも、


「女神をおびき寄せる事が出来れば、

 よいのでしょう?」


「何も拉致・誘拐する事だけが―――

 彼らを移動させる手段ではありますまい」


二人の配下の返しに、限理神はアゴに

手をあてて、


「何か手立てがあるのか?」


「ハッ」


そこで二人は自らの考えを述べると、


「ふむ、なるほど。

 それはなかなか面白い。


 テクス、エクシルの両名の調査からも、

 つけ入れるスキは確かにあろうて」


そこで彼はいったん間を置いて、


「やってみるがよい。


 手段はどうあれ……

 あの女神をここに呼び込む事が出来れば

 いいのだからな」


「「ハハ……ッ!!」」


主の許可が下りた事に頭を下げると―――

フォルドとワーダーはその姿を闇へと溶かした。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「とゆーわけで!

 帰ってまいりました!!」


女神はとある大きな家に入ると、開口一番叫ぶ。


「お疲れ様です」


「お疲れ様でした、フィオナ様」


共に同じグリーンの髪を持つ母子……

ソニアとアルプがあいさつし、


「チッ……お早いお帰りで」


「おおぅメイさん、その本音ドストレートな

 態度も久しぶりでありますねぇ」


銀のロングウェーブの少女が、フィオナと

出会いがしらに火花を散らす。


「あっあの!

 フィオナ様、しばらくはこちらにおられるん

 ですよねっ?


 トニックさんとソルトさんの調査が

 終わるまで―――」


妻たち(予定)の間に夫(予定)の少年が入り、

何とか別の話を引き出す。


そしてすかさず母親である二十代後半の

ロングヘアーの女性が、


「とにかくお茶にしましょう。


 神託で大方の出来事は知っておりますが、

 直接お話する事もあるでしょうし」


そう言ってリビングへ誘導し、何とか場は

落ち着きを取り戻した。




「じゃあ、カガミさんはまだミイト国に?」


「ハイ。眷属がいればアタシはすぐそこへ

 転移する事が出来ますので……

 そのために残ってもらいました。


 シフド国にいるナヴィも、護衛も兼ねて

 待機してもらっています」


女神は細かい情報を改めてみんなと共有する。

そして軽くつまむものが無くなった後、


「じゃあ、僕が片付けて来ますね」


アルプが席を立ち、


「あ、ではわたくしもお手伝いを」


続けてメイもその後を追うように食器を

手にすると、


「ハイハイ、アタシも―――」


と立ち上がろうとしたフィオナの服の裾を

ソニアがつかんで制する。


「えっ!?

 お、お義母さま、アタシもお手伝いを」


「女神様はお疲れでしょうから、あの2人に

 任せてください」


それを聞いたメイは勝利したかのようなドヤ顔を

フィオナに見せて去っていった。


「い、いやぁ~……

 別にそんなに疲れているわけでも」


不満そうに女神は漏らすが、それに対し

ソニアは小声で、


「大丈夫ですよ。

 それにメイちゃん、フィオナ様がいなかった

 時はすごく大人しくしていましたし」


「へっ? そ、そうなんですか!?」


意外そうに驚く女神に、義母にあたる女性は、


「何か1人じゃ勢いがつかないみたいでねぇ。

 ホラ、アルプも自分からがっつくタイプじゃ

 ないでしょ?


 女神様と一緒だと取り合いみたいになるん

 ですけど、単体になるとどう接していいのか

 わからなくなるみたいで―――」


「ああ……

 何となくわかるような気が。

 わかりたくはないんですけど、

 死ぬほど理解出来る気が……」


微妙な表情になるフィオナの肩をソニアは

ポン、と叩いて、


「だから留守中の間は何も心配するような事は

 起きませんでしたよ」


「あ、あはは……」


それを聞いた女神は安堵の表情を浮かべ、


「?? な、何スかフィオナ様」


「べーつーにー?」


メイがアルプと戻って来た時は、生暖かい

笑顔で彼女を出迎えた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7561名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

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