31・おっお仕置きは今夜ね!?
( ・ω・)ホワイトデーネタはやらなきゃ(使命感)
日本・とある都心のマンションの一室―――
和装の黒髪ロングでポニーテールをした少女と、
同じく黒髪セミロングの目付きの悪い同じ年頃の
同性が向かい合って座る。
「ふむ……邪神さんたちがそのような事を」
「まあそれだけナヴィという嵐はすごかった
ようですので。
それで悪霊ちゃんとしては、どれくらいの
風量だったんでしょうか?」
フィオナの問いに悪霊と呼ばれた少女は、
静かに両目と口を閉じ、
「……
そうですね、普段のナヴィ様の行動をつむじ風
程度とすれば、アレは……」
「アレは……?」
女神はゴクリと喉を鳴らして続きに聞き入る。
「鳴門の渦潮級―――!
体の自由は利くのにどうにもならず、
ただひたすら翻弄され、どんなに抗っても
沈んでいく……!
そんな感じ、でしょうか……」
「おおお……
そして快楽の底まで沈められた、と」
興奮気味に聞き返すフィオナに対し、悪霊は
佇まいを直し、
「後はあの、文字通り獣のようなあの目……
あたくしがいくら涙目で訴えても、それすら
獲物の抵抗として楽しんでいたような……
あれで全てを持っていかれましたわ……」
「おおう、獲物ですか。
完全に支配されたーって感じのヤツですね。
わかりますよソレ。
アルプきゅんビーストモードを経験済みの
アタシは―――」
そこで二人はいったん一息入れ、
「でもナヴィが元猫って事は知っているでしょ?
アルプきゅんの場合はもともとすごく大人しい
子なので、そのギャップもありましたけど……
ナヴィにそこまでのギャップは無かったの
では?」
女神の問いに、和装の彼女は静かに首を
横に振って、
「……いいえ……
ナヴィ様は普段は氷のような冷静さをもった
お人―――
それが、あのような燃え盛る炎のような
攻めを見せるとは……
しかもいつもは紳士であるのに、あの
女性を何とも思わないような激しさ……
これをぎゃっぷ萌えと言わずして、何と
申しましょうか……」
「なるほど。通常時は大人しめのキャラが
見せるビーストモードではなく―――
クールキャラが見せる理性崩壊モード……
それはそれで燃えますよ悪霊ちゃん……!!」
そしてまた二人は飲み物を口につけて、
一休みすると、
「……それではそろそろ……」
「本編スタートしますねっ!」
│ ■グレイン国 │
│ 王都ウィーンテート・トーリ財閥拠点 │
「ふう……」
「ふう……」
女神と赤茶のツインテールの獣人族の少女が、
一戦終えたように脱力した感じで席に着く。
夜になり、いったん各地の女神一行メンバー、
特に女性陣と情報共有をするために神託を
繋げたのだが―――
フラールからはアルプ&ソニア&メイに加え、
・レンジ・バーレンシア侯爵
・バートレット・ビューワー伯爵
・レイシェン・シッカ伯爵令嬢
・マルゴット・グラノーラ令嬢
バクシアはシモン・ポーラ組に、
・ローン・ボガッド
・クレア・ボガッド
ルコルアはそのまま、
・ファジー・ミモザ姉弟
ミイトはナヴィ・リオネル・メルリアの他に
・ジア、カーレイ、メヒラの工房組
・ベラ・ボウマンとアーユ・ボウマンの子爵家が
集まり……
一通りの情報が伝えられた後、女性陣で
テミス・エクリル―――
つまり限理神・マファーダの部下である二人、
テクスとエクシルについての話し合いが
スタート、加熱、膨張。
そして出た結論はというと……
「やはりあの人材は惜しい―――
という事で、何とか連絡をつけて味方に
引き入れたい、と」
「まー意思疎通っていうか、交渉は確かに
出来る感じだったと思う。
ただやっぱり、限理神とやらを倒した後に
なるんじゃないかなー……」
もちろん男性陣サイドから反発はあったものの、
バーレンシア侯爵はレイシェンが、
ビューワー伯爵はマルゴットが、
シモンはポーラが……
アルプとファジー、第一・二の眷属は
ソニアやミモザが『味方になるのなら……』と
うまく誘導し、
またミイト国で実際に彼女たちに出会った
工房組の口添えもあり―――
『攻撃目標』からは、外される形に
なったのである。
「まー確かにあの2人、何か最後の方は
戦い辛そうにしてたしねー」
「やっぱり躊躇したんじゃないですか?
あそこにいた人たちとも、熱い議論を交わして
いたようですし」
実際はフィオナと彼女たちの間で暗黙の了解と
いおうか、『ここはいったんスキップで』状態と
なっただけなのだが、
カガミは戦闘の最中、それを野生のカンで
感じ取ったのか……
特に言及する事なく女神に歩調を合わせる。
「一応リアルタイムで連絡するところには
したけど―――
問題はやっぱりミイト国よね。
あの2人がただ逃げたんじゃなく、そっちへ
向かったのなら厄介だわ」
神託であれば一瞬で連絡はつくが、人や馬の
足ではそうもいかない。
トーリ財閥の緊急連絡がいかに早いとはいえ、
フィオナたちにかなうはずもなく……
そういう意味では彼女の心配は当たっていた。
│ ■ミイト国・首都ポルト │
│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷 │
「テミスさんとエクリルさんでしたか?
あのシフド国王女様から直々にお褒めの言葉を
頂いたとか―――
その見識、確かに疑うべくもありませんわ」
「……ちなみにネーブルお兄ちゃんは、何を
隠そう初期モデルの一人……!
ぜひともその眼力による評価・ご指導を
頂きたく……!!」
その頃、ミイト国にあるトーリ財閥の屋敷では、
実質当主であるバイオレットヘアーの、やや
トロンとした目付きの女性と、
同じ色の長髪をした、日本人形のような無表情の
少女―――
シンデリン・ベルティーユ姉妹が、魔族女性の
二人を歓待していた。
「いえいえ、こちらこそ眼福でありますよ」
「あのような美少年と一つ屋根の下とは、
うらやましい限りでございます」
人間の女性に化けたテクス・エクシルは、
トーリ財閥の屋敷を直撃していた。
そもそもナヴィに調査を見破られた事で
ここの断念していたのだが、
例の資金源であるBL本のミイト国中心地が
ここだという事は前回の調査でわかっていた
ため、
真っ先にここを狙い……
情報を得るだけ得たら脱出しようとして
いたのだが、
トーリ家姉妹から思いがけない接待と、また
二人ともネーブルとは『関係』を持っていた
経緯から、詳しくその他いろいろと『話せた』
事により、
すでに丸二日、屋敷に滞在してしまっていた。
「やはり自分の体を使っての経験に勝るものは
ないですわよゲフゲフゲフ♪」
「……シンデリンお姉さま、ヨダレが……」
そういうベルティーユも自分の口の端をぬぐう。
そして女性四名に『評価』されている最中の
この世界では珍しい、黒髪・黒目の12・3才の
従者である少年は……
口と目を線のように細くしながら、無我の境地に
達しつつ直立していた。
「ていうか、そのネーブルさんに反応が
無いんですけど」
「大丈夫なんですか、彼?
いえ私たちとしては非常にオイシイ……
もとい申し訳ない気持ちで」
テクスとエクシルの問いに姉妹は、
「あーあれはね、自分についての話を右から
左に流しているんだけど、さりとて私たちの
護衛として離れられないので、無になっている
ところよ」
「……来客もいるから、注意も出来ず……
……その結果、自己防衛としてあのような
状態になっているの……かと……」
シンデリンとベルティーユの言葉に、ネーブルは
片目を開けて、
「わかっているのなら少しは何とかして
頂けませんかね……
後で覚えておいてくださいよ、お嬢様方……」
従者の少年は呆れながら語るが、
「おっお仕置きは今夜ね!?」
「……激しいの、希望……!!」
自分の言葉が女性陣に火に油を注ぐ結果となった
事を見た彼は、
『ダメだこりゃ』というため息をついた後、
再び『無』に戻った。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7501名―――
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