24・現場でナマを直にみられるというのは特権
( ・ω・)この時期は仕事が多忙。
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い、黒髪セミロングの少女が
ウキウキしながら微笑みを称える。
「……ずいぶんとご機嫌のようですが
フィオナ様。
いったい何が―――」
そこへお目付け役であるシルバーの長毛種が
通りかかり、声をかけると、
「いやあ、ここ二十日あまりは聖戦と
年末年始と……
いろいろとありましたのでゲヘゲヘゲヘ♪」
「確かメイさんと一緒に、でしたっけ。
順調に色ボケしているようで何よりですが、
あまり調子に乗ってアルプ君に引かれない
ように」
特段何の感想もなく、ナヴィが話を流すと、
「おりょ? それだけですか?
意外とタンパクというか―――
もっと根掘り葉掘り食い付いてくるものと」
「人のそういう話に、何で食い付かなければ
ならないんですか。
だいたいそういう話なら同性……
それにアルフリーダ様と散々共有したで
しょうに」
それを聞いたフィオナは目を丸くして、
「ど、どうしてそれを!?」
「まあ、ご主人様の性格ならそうしたかな、と。
それに母娘ですし―――
推測というか予想はついたと言いますか」
淡々と述べるナヴィに、女神は目をそらすように、
「そ、そーですかー。
そういえばナヴィ、あなたはクリスマスの日、
あの人外5人娘と一緒だったと聞いてます
けど……?」
「一緒は一緒でしたけど―――
翌朝酔いつぶれていたのか、みんな寝て
しまっていて……
それにお布団をかけ、おじやを作って
帰っただけですよ」
「いや、それで何もしないっていうのもある意味
すごいというか何というか」
「どんな事を期待されているのか知りませんが、
5人も一緒にって、普通どうにも出来ない
でしょうに。
では私は買い物に行くので失礼します」
猫の姿のまま彼は別室へと行き、フィオナは
それを見送ると、
『……行った?』
「行きましたよ、ママ」
そこでフィオナの母・アルフリーダの声が
室内に響く。
「あんな事言ってますけど、本当はすごかったん
でしょう?」
『ええ、5人を代わる代わる……
しかも全員ダウンするまで。
子猫の頃から育ててはいたけど、まさか
あそこまでとは』
ナヴィが邪神たちとクリスマスを過ごした
夜の事を、主人であり母親代わりである
アルフリーダは見ていて、
「録画はしてあるんですよね、ママ?」
『そこは抜かりは無いわ。
ただデータの転送はリスクがあると思うから、
直接手渡しでね』
「いぇっさー! そのデータは旦那様(予定)
であるアルプきゅんとのバトルに役立たせて
もらう所存であります!
それではそろそろ、本編スタートしましょう」
│ ■グレイン国 │
│ 王都ウィーンテート・トーリ財閥拠点 │
「ふぅ……」
「ふぅ……」
「ふぅ……」
女神と、ライトグリーンのミドルヘアーの女性、
そして赤茶のツインテールをした獣人族の少女が
同時にため息のように息を吐く。
「これで情報のすり合わせは終わりました。
なるほど、あのテミスさんとエクリルさんの
話に、ウソは無いようです」
トーリ財閥の支店であり拠点でもある、現地の
責任者は書面に目を通しながら語る。
「これでアタシたちもあの場にいたのは
納得頂けたかと」
「そうですね。ありがとうございます。
しかし、情報が同じとはいえいろいろな人から
話を聞くというのは重要ですね。
見落としとまでは申しませんが、違った見方が
見えてきます」
「カガミたちは現場にいたからねー。
情報の新鮮さが違うよー」
三人の女性陣は真剣な表情で語り合うが、
やっている事はBL談義の延長である。
「現場でナマを直にみられるというのは
特権ですね……
しかもシチュエーションを指定出来る
なんてジュル」
「モイラさん、ヨダレヨダレ」
フィオナの指摘に責任者は口元をぬぐい、
「こ、これは失礼をば」
「そういえばモイラさん、テミスさんと
エクリルさんはどれくらい前に来たのー?」
「お2人がここへ来る3日前ほどでしょうか。
ほとんど入れ違いと言ってもいいでしょう」
そこで話は例の二人に移り、
「まあ直接工房には戻らず、見識を広めたいと
言っておりましたから―――
グレイン国に来ても不思議は無いんですが」
「もしかしたらここの後は、メルリア様の
カトゥ財閥に行かれたのかも知れませんね。
あの主力商品である本はそちらでも取り扱って
おりますゆえ」
そこで拠点の代表者はコホン、と咳払いして、
「……あのお2人に何かご不審な点でも?」
「んー、ただ行き先が同じだったっていうのが
気になったんだっけ?」
モイラの疑問にカガミが答え、
「まあちょっと神経質になっているのかも
知れません。
シフド、グレインと―――
何かアタシたちの行く先々に現れている
感じで。
偶然なんでしょうけど、アタシたちの目的を
考えると」
限理神・マファーダに関する情報は、連合国の
上層部及び主要メンバーには共有されている。
それには当然、各財閥の主な人間も含まれ、
「……私もあの主力商品に関わっている
者として、限理神に関しては聞いております。
先ほどのお話からも―――
テミスさんとエクリルさんに不審な見られ
ませんでしたが、一応調べる事は可能です。
どうしましょうか?」
拠点の代表者の提案に、女神と獣人族の少女は
両目を閉じて考え、
「う~ん……
見張るようでちょっと嫌なんですけど、
護衛として考えれば」
「そうだねー。
あの2人自由行動だけど、女性だけで動いて
いるのは不用心かなー。
陰ながらサポート? してあげるのも
いいんじゃない?」
それを聞いてモイラが口を開き、
「そうですね。
それにあのお2人は見識を広めると言って
おりましたから―――
その情報をいち早く知るというのは、決して
無駄にはならないかと」
それっぽい提案をするが、結局は
『あの2人が何かいいシチュを見つけたら
一番早く知りたい』
という欲望に他ならない。
「ではそういう事で……
誰かいないか!」
「はい、ここに」
するとそこには入り口でフィオナとカガミを
対応したメイドがおり、
「テミスさんとエクリルさんの動向をそれとなく
調べるよう―――
あと、影で護衛もよろしく」
「はっ」
彼女は両手でスカートの裾をつまんで
一礼すると、素早く立ち去った。
│■王都ウィーンテート・某所 │
王都の中を平民姿の女性が連れ立って歩く。
人間に化けた、テクスとエクシルである。
「さてと……
これからどう動きます? エクシル」
「あのモイラって人間がいろいろと教えて
くれたけど―――
この国にある財閥でも、例の本を生産している
らしいんですよね」
彼女たちは街中で普通に話し込み、
「そこはやっぱり協力関係にあるのかしら」
「まあ間違いなく」
そして二人は互いにうなずき合い、
「調査しておくに、越したことはないでしょう」
「私も同様の考えですわ」
すると彼女たちは路地裏へと入って行き……
そこで姿を消した。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7419名―――
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