22・それはある意味強敵
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日本・とある都心のマンションの一室―――
一匹のシルバーの長毛種の猫が、むくりと
目を覚ます。
「うにゃ、ここは……
あー、確か邪神さんの―――」
猫Verのナヴィはまず周囲を見渡して
確認すると、そこには自分を招待した家主、
そして他4人の人外娘が寝ており、
「酔ってそのまま寝てしまったんでしょうか。
それにしてもだらしがないですねえ……
ほとんど服もはだけてしまって。
まあ、フィオナ様も時々こんな感じで
ベッドから落っこちてますけど」
彼の言う通りそこには、いろいろな姿勢で
寝っ転がっている女性陣がいて―――
人間とほぼ姿が変わらない者、コウモリや
カラスのような羽を持つ者……
または獣のような耳やシッポを持つ少女が
それぞれの姿勢で眠っていた。
「邪神さん邪神さん―――
だめだ、起きないですね。
サキュバスさんも堕天使さんも、
悪霊さんも……
ワーフォックスさんまでダウンですか。
でもこのままじゃ風邪引いてしまいますし」
ナヴィは布団や毛布など、かけられる物を
持ってきて彼女たちにかぶせ、
「やれやれ―――
まさかクリスマスにこういうお世話をする事に
なるなんて。
このまま帰ってもいいんですけど……
あ、昨夜の残りのお鍋がありますね。
これで人数分のおじやでも作って
いきましょうか」
そう言いながらナヴィは人間の姿である
銀髪の美少年に戻ると、お鍋を持って
台所へと向かった。
すると毛布や布団をかけられた彼女たちが
もぞもぞと動き出し―――
「こちら邪神、こちら邪神……
腰が動きません、どーぞー……」
「はいこちらサキュバス。
野生の力には勝てなかったよ……どうぞ」
まず二人が報告のように語り、
「ハイこちら堕天使、堕とされました……
地の底まで、どーぞ」
「……こちら悪霊……
……もう無理です。あの方以外で満足出来る
体ではなくなりました……どうぞ……」
続いて力なくさらに二人の人外が答え、
「あ~……もうダメ。本能で負けた……
こちらワーフォックス、心身ともに
果てました。
しばらく立てません……どーぞ」
最後に獣人族が自分の状況を説明すると、
『あらあら~……
大丈夫、みんな?』
そこへアルフリーダの声が室内に響く。
「アルフリーダ様!?
あ、じゃあ今回のナヴィ様ビーストモード化は
アルフリーダ様が」
邪神と称した少女は天井に向かって
問いかけるが、
『いやそーじゃないのよ。
ホラ、貴女に渡したお薬あったでしょ。
二種類掛け合わせるヤツ』
「は、はあ……
確かに偶然、一つはナヴィ様に使用する形に
なりましたけど。
でももう一つは別に」
前回クリスマスイブにナヴィを彼女たちが
呼んだ時、邪神は彼にある薬をかけてしまって
いたが、その時はそれだけで済んだはずで―――
(■10章21話
ほんじゃ、ちょくら行ってきますかあ参照)
『えっと、それがね?
あれ、片方はお酒と一緒に服用すると効果が
出てしまうヤツだったの。
それが暴走系のヤツで……
しかも男に服用すると理性ぶっ飛び系の。
それでちょっと気になって様子を見に
来たんだけど』
すると他の人外娘たちも片腕を挙げ、
一人は親指を立て、一人は握りこぶしを突き上げ
それぞれ賞賛を表現し、
「ぐっじょぶでした、アルフリーダ様」
「我、この御恩は忘れません」
「あたくしも……生涯の忠誠を……」
「あのお方の野生を引き出して頂いた事、一生の
思い出とさせて頂きます!」
と、それぞれが感謝の言葉を述べ、
『なるほどなるほど、そうでしたか……
それでそれで?
ナヴィはどんなふうに貴女たちを貪ったの?』
女神の質問に、人外娘たちは顔を赤くして
うつむくが、そこで邪神が、
「え? あ、そ、それは―――
今度改めてお会いした時にでも。
それではそろそろ、本編スタートしましょう」
│ ■シフド国 メルリア本屋敷 │
「さて、そろそろグレイン国王都に着いている
頃でしょうか」
屋敷の女主人、メルリアがその眼鏡をクイと
直しながら語る。
「カガミが護衛しているからね。
安心でもあるけど不安でもある……」
銀の巻き毛の獣人族の少年が心情を吐き出すように
話し、
「まあ信じるしかないでしゅよ」
女神の従僕であるナヴィが、落ち着いた表情で
述べる。
「さすがは女神の従者ね。
それだけ信頼しているって事かしら?」
ピンクのロングヘアーをした女主人が、
飲み物を手にすると、
「ええ、私はフィオナ様を信じておりましゅ。
決してこのまま無事に済むはずがない……
必ず何かやらかしになるでしょう、と」
「そういう方向の信頼?」
キーラが呆れながら聞き返し―――
三人はただグレインに向かった、女神と獣人族の
少女の行方をそれぞれ案じた。
│ ■グレイン国 │
│ 王都ウィーンテート郊外 │
「お嬢さんたち。
そろそろ王都に到着しますよ」
さすがに徒歩ではなく、メルリアのカトゥ財閥が
手配した馬車の中、二人は揺られていた。
御者からの声に、二人は窓から外の風景を見て、
「あ、ホントだ。
いかにも都市って感じになってきましたね」
「おー、何か懐かしー」
黒髪セミロングの少女と、赤茶のツインテールの
同性の獣人族は、その光景を見て感想を述べる。
「あ! アレなんだろ。
ちょっと行ってきても?」
「そう言って勝手に馬車を抜け出し、さらに
猛スピードで戻って来るの―――
もう何回目でしたっけ?」
ぐったりとした表情でフィオナはカガミに返し、
「いやあ……そろそろ目的地、グレイン国内の
トーリ財閥の拠点に到着しますんで。
なのでそういうの止めて欲しいんですが。
馬も怯えまくっていますので」
御者も疲れ切った声でカガミに注意する。
実際、カガミは道中『あ、何だろアレ』という
感じで、何か興味のある物を見つけては馬車の
外へ飛び出し、
やがて土埃を上げて凄まじい速度で馬車に
追い付く、という行動を何度もしており、
御者とフィオナは呆れ疲れ果てていた。
「これまで同行していたナヴィの苦労が
知れるわ」
「え? でもカガミ、馬車を遅らせては
いないよね?」
「だからこそ質が悪いというか……
お願いですから、グレインのトーリ財閥に
到着したら、少しは大人しくしてくださいね」
馬車の中で、無駄だと思いつつ女神は注意し、
「そういえばあのテミスさんとエクリルさん、
今頃どの国に行っているんでしょうねえ」
「意外と、カガミたちと行き先―――
同じだったりして」
「あはは、いくら何でもそれは……
でも、だとしたらちょっと偶然が過ぎますね。
アタシたちの行く先々に回り込んでいると
したら、それこそアタシたちが警戒している
限理神・マファーダと関係があるとしか」
女神の推測は事実であったが、
「でもそうだとしたら、ずいぶんと『アレ』に
詳しい人が魔族側にいるって事になるけど?」
「うむむ、それはある意味強敵ですね―――
あの発想力、知見の深さ、そして何より同士で
ある事を考えると……
敵にはしたくないものです」
そしてその敵は、まさに行き先のトーリ財閥で
鉢合わせする事になる事を、この時の彼女たちは
まだ知らなかった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7390名―――
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