18・心の動揺が一切見られないよ
( ・ω・)夜中のトイレが鬼門。
日本・とある都心のマンションの一室―――
セミロングの黒髪をした、やや目付きの悪い
少女と、
腰まである金髪のロングヘアーを床に付ける
ようにして、豊満なボディラインを持つ女性が
座り、対峙していた。
「ねーねー、ママ。
だから3Pの資料なり経験談なり無いん
ですかーって聞いているんですけど」
「いきなりブッ込んでくるわね我が娘。
ていうか貴女がメイちゃんも妻にしていいって
認めたんでしょうに。
私はパパ一筋だからそんな事言われても
困るのよ」
果樹の豊穣を司る優しき女神・フィオナと……
時と成長を司り、見守る女神・アルフリーダは
母娘としての会話を交わしていた。
「え~……
だってママの事だから複数プレイとか、
自分を分身させてでもやっていたと
思っていたのにぃ。
ていうか前、そんな事言ってません
でしたっけ?」
(■9章15話 希望目標ではダメでしゅ参照)
「あーあれね。
出来ない事は無いんだけどー……
やっぱりパパは私だけのものってゆーか?
いくら私でも私以外のオンナに触らせたく
ないってゆーかー」
「何かアタシの国語の理解力を越えてくるけど、
ママが独占欲が強いって事だけはわかった」
そこで母と娘はいったん一息ついて、
「ん~、じゃあさじゃあさ。
ママの方じゃなくてパパを分身させるって
いうのは?」
「可能だと思うけど、それやったら多分私の
致死量を超えるからダメ」
そこでフィオナは考え込み、
「あ! それじゃあ間を取ってナヴィを
参加させてみたら?」
「何の間を取ったらそうなるんでしゅか。
そんなバカな提案、アルフリーダ様が
受け入れるわけが―――」
そこで銀髪の美少年が入り込んで、二人して
彼女の方を見るが、
アルフリーダはその視線の先で天井を見上げ
硬直しており……
やがて15秒ほど経過した後で首を元の位置に
戻すと、
「そんな事私が許すわけないでしょ。
そもそもナヴィは息子も同然なんだし」
「今、間が空きましたよね?
結構悩んでましたよね?」
「いやいやいや。
決してパパをナヴィくらいの年齢にして、
くんずほぐれつやったらどうなるかなんて
考えてなんか―――」
その母娘の会話からナヴィは目を反らしつつ、
「しゃて、そろそろ……
本編スタートしましゅ」
│ ■コザイ国・某所 │
コザイ国辺境・洞窟の奥深く―――
限理神・マファーダが潜む地下基地で、
すでに多くの魔族がうごめいていた。
「数が増えてきたな。
フォルド、ワーダー」
「ハッ」
「テクスとエクシルも、かつての部下などを
引き入れているため……
それなりの戦力となりつつあります」
自分たちの主人を先頭に、魔族の男性二人は
後に付き従う。
そして彼ら三人を魔族の女性陣が見送り、
「いやーやっぱり主従モノは鉄板じゃね?」
「そこをあえて逆転させるのが……」
「それに二対一なら自然と」
「いやいや、それをさらに力で屈服させてこそ」
ヒソヒソハァハァと小声で話される会話は、
彼らの耳には届かず、
「……何というか、我々が通り過ぎると
女たちの鼻息が荒くなるような気がするの
だが、気のせいだろうか?」
「いえ、それは私も感じておりますゆえ」
「殺気ではありませんが、決して気を抜いては
ならない何かを背筋に感じて―――」
主従三人はその事について会話を交わすが、
正体がわからないそれに神経をとがらせる
事もなく、
「まあ良い。士気が高いのはいい事だ」
「う~ん……
高いといえば高いのでしょうが」
「あまり深く考えないようにしましょう。
その方が精神衛生上楽なような気がします」
やがて他の魔族の姿が見えなくなったところで、
「それよりマファーダ様。
テクスとエクシルがまた、調査に向かうとか」
「あまり動くと―――
却って気取られはしませぬか?」
そこで限理神は振り返り、
「あの者たちは良くやっておる。
余の想像以上にな。
女神一行の資金源から人脈、それに
王宮にまで伝手を持ちおった。
思ったより、あの忌々しき神々……
ユニシス、アルフリーダ、そして娘である
フィオナに報復する機会は近いかも知れん」
口角を持ち上げるその表情に、思わず
フォルドとワーダーはひれ伏す。
「後は『あの場所』へ招待すればいいだけだ。
最後の仕上げは余がやろう。
より範囲の魔術精度を上げるのだ。
2人とも」
「「ハハ……ッ」」
跪いた二人を残し―――
限理神・マファーダは奥へと姿を消した。
│ ■シフド国 メルリア本屋敷 │
「工房から2人が姿を消した?」
「ええ。
と言っても故郷に戻っただけと言われて
いるけど」
女神・フィオナは滞在している屋敷の女主人、
メルリアから情報を共有していた。
ピンクのロングヘアーに、その豊かな胸元、
そして知的さを感じさせる眼鏡に手をあてて
彼女は話を続ける。
「ホラ、いたでしょう?
テミスとエクリル……
構図とかシチュとか斬新なアイデアを
提供してくれた―――
故郷に錦を飾ると同時に、各国を回って
新たなネタを仕入れてくるとかで」
「おーおーおー!!
あのお2人ですか!」
「それなら問題無いねー。
きっと新たな可能性を見つけて、
びっぐになって戻って来るよ!」
赤茶のツインテールをした獣人族の少女、
カガミもその話の輪に加わる。
そしてその兄・キーラと女神の従僕・
ナヴィはそれを遠目で見つめ、
「なにをはなしているのかなあ、
あのさんにん」
「しっ、ぼうかんしていたほうがいいでしゅよ。
ぶんかもかんかくもなにもかもちがうんでしゅ。
わたしたちはただみつめるだけでしゅ」
なぜか8ビット的な棒読みで直接の会話を避け、
「ヘイヘイ、キーラ兄。
現実逃避している場合じゃないぜ」
「メインディッシュは貴方たちなんですから。
そういう反応すら妄想を掻き立てますぜ」
獣人の少女と女神が煽るように声をかける。
「まあそれはともかく―――
今後はどう動くんですか? フィオナ様。
そもそもシフド国に来たのは、例の魔族の
2人、テクスとエクシルとやらを探しに
来たんでしょう?」
そこでようやく女神一行は本題に戻り、
「そうは言いましてもねえ……
ナヴィ、近くに怪しげな気配は無かったん
でしょう?」
「無かったと言いましゅか、それ以上に強い
妄想と妄執と執着と白昼夢がありましゅて。
しょれで気配を感知出来なかったと言うか」
そこで女性陣三人組は顔を見合わせ、
「それは困った事でしたねえ」
「まったく、誰がそんな考えを」
「ええもう本当に。
危機的状況だという事をわかって
いないんですから」
そう口々に話すフィオナ・カガミ・メルリアを
見たナヴィとキーラは、
「しゅごいですね。
記憶改ざんってこうやって行われるん
でしゅか」
「ボクも初めて見るけど自然と行われるんだね。
心の動揺が一切見られないよ」
そんな彼らの言葉を右から左に流し、
女性陣は涼しい顔をしていた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7358名―――
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