表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
307/402

17・何も言わずにこれを見て

( ・ω・)増える(感染)


日本・とある都心のマンションの一室―――


やや目付きの悪い黒髪セミロングのヒロイン・

フィオナと……

顔の片側がワンレングスの黒髪で隠れている、

同じくらいの年頃の同性が、床のカーペットに

隣り合ってうつ伏せとなる。


「邪神ちゃん……

 目標はあの中よ、準備はいい?」


「イェッサーであります。


 しかし女神様、確認は取れているので

 ありますか?」


フィオナと邪神は、ずりずりと匍匐ほふく前進しながら

情報を共有する。


「ここんところ一気に寒くなりましたからね……

 もはや彼は、アレ無しでは生きてはいけない

 体になっています」


「そうですね―――

 野良猫たちも非常にフレンドリーな気温に

 なりましたし。


 ぬくぬくした『コタツ』の中であれば、

 彼も無防備になっているはず……!」


そう言いつつも彼女たちは段差のある部屋の

一角を目指し、距離を詰めていく。


「では挟み撃ちといきましょう……!」


「多少の被害は覚悟で―――

 いきます!!」


そして正反対の方向から一気に頭から突っ込んだ

彼女たちに対し……

標的であったナヴィ(猫Ver)はするりと

残る二つの側面の一方から出ていった。


「せめて残る出入口をふさぐか、または

 四方向から四人で攻めるとかしないと

 そりゃ逃げられるでしょう」


冷静に返すシルバーの長毛種の彼に、上半身を

コタツから引き抜いた女神と邪神は顔を赤くして、


「いやぁ欲望が先だってしまったと

 いいますか―――」


「さすがはナヴィ様。

 でも、次こそは必ずや奇襲を成功させて

 みせますわ……!


 では、そろそろ本編スタートいたしましょう」




│ ■コザイ国・某所 │




「……調査、大義であった。テクス、エクシル。


 しかし今回はずいぶんと時間がかかったな?」


コザイ国の僻地へきち・洞窟の奥深く……

そこで限理神・マファーダは配下二人を眼下に

彼女たちからの報告を聞いていた。


「ちょ、調査がうまく行き過ぎたと

 言いましょうか―――」


「よもや、王宮からもてなしを受ける事が

 出来るとは、私たちも思いもしませんでした」


それを聞いた限理神は笑い出し、


「はっはっは!!

 何とも間抜けな話よ!


 魔族であるお前たちを見抜けんばかりか、

 国の中枢まで引き入れて歓待されたと。


 この世界はだらけきっておるようだ」


マファーダの指摘はある意味正しかったが……

自分たちとしては接触を可能な限り避けようと

した事、


BL本の製造に関わり過ぎて、しかもそれが

国の女王にまで影響を及ぼしていたとは思わず、

巻き込まれるように王宮に招待されてしまった

とは言えず―――


「何とも、手応えの無い事よ」


「しかもその場には……

 あのユニシス・アルフリーダの娘である

 女神・フィオナ、そしてその眷属までいたと

 いう話ではないか。


 軍神も、時と成長をつかさどる女神も―――

 ずいぶんと腑抜ふぬけたものだ」


彼女たち同じく配下の男性の魔族、フォルド・

ワーダーも嘲笑あざわらうように語る。


「その上、連合各国を自由に行き来出来る

 通行証までくれたのであろう?


 至れり尽くせりな事よ。

 お前たちに取っても、いささか簡単過ぎる

 任務になってしまったのではないか?」


限理神の言葉に、テクス・エクシルは改めて

頭を下げ、


「ハッ! おかげで次の調査も滞りなく

 進められそうです」


「女神一行の主要な資金源や、人脈はほぼ

 確認出来ましたので……

 次はミイト国を中心に調査いたします!」


その返しにマファーダは満足そうな笑みを

浮かべ、


「調査は思ったより順調のようだ。

 そう急がなくともよかろう。


 ちょうどいい。フォルド、ワーダー。

 こちらの進捗状況も共有しておくがいい」


「ハハッ!」


「仰せのままに」


そして配下の四人の魔族は一礼し、場を移す事に

なった。




「そういえば結界を施すという話だったけど」


「それはうまくいっているワケ?」


歩きながら女性陣は男性陣に問い、


「結界だけなら何とか出来るだろう」


「問題は条件だ。

 限理神・マファーダ様の求める前提が少々

 厳しくてな」


それを聞いたテクスとエクシルは笑い、


「あのお方の命令が簡単なものであるはずが

 ないでしょう?」


「泣き言も受け入れてくださるようなお方じゃ

 ないしねぇ」


そう返されたフォルドとワーダーは足を止め、


「まったくだ。今からでもいいから任務を

 取り替えて欲しいくらいだ」


「こうまでしてようやく、あのお方の合格点を

 もらえる程度なのだからな」


つられて足を止めた魔族の女性二人の前に、

大きな広間のような空間が現れる。


「ここは……」


「『異世界からの干渉も防ぐ事』、

 『ただしこちら側の時空干渉はアリとする』、

 か―――


 おかげで、これだけ狭い空間になって

 しまったが」


テクスの問いに、フォルドが苦笑しながら答え、


「ただし、どこでも発動出来るというわけでは

 ないのが残念だがね。


 あの方の要望を叶えるのは本当に苦労するよ」


続けてワーダーが両手を大げさに広げ、呆れる

ように話す。


「人員も増えたようね」


エクシルの言う通り……

発動には人数が必要なのか、何人もの同じ

魔族が、魔法使いのようなローブを被って

たたずんでいた。


「魔法構築はともかく、我々だけでは魔力が

 心もとなかったからな」


「かつての部下や仲間を呼び集め、やっと

 完成に至った―――

 最終兵器、というところか」


そこで女性の魔族二名は振り向き、


「私たちの部下や仲間は?」


「とっくに到着している。

 この洞窟の……お前たちと同じ西サイドで

 待機しているはずだ」


それを聞くとまた彼女たちは方向を変え、


「あまり待たせるのも良くないわね」


「久しぶりの再会といきますか」


そう言うとテクスとエクシルはそのまま別れ、

後には男性陣が残された。




「お久しぶりです、テクス様、エクシル様」


「『哄笑こうしょうの魔女』・『落煌らっこう堕神だしん』―――

 お2人に呼ばれたならば、何があっても

 はせ参じずにはいられますまい。


 どのようにでもご命令を」


そこには複数の女性魔族がひざまずいており、

異名で呼ばれた二人はしばらく顔を交互に

見合わせていたが、


「あー、うん、えっと」


「取り敢えず、何も言わずにこれを見て欲しい」


二人が取り出したのは、シフド国で得た例の

スケッチ、そして書籍だった。




「ふう……」


「ふぅ……」


小一時間後、誰からともなく女性魔族の間に

ため息がもれ、


「おそらく、これが女神の人脈―――

 主に女性を中心に形成していると

 思われるが」


「資金源としても重要な意味を持っていると

 私たちはにらんでいる。

 それについて、君たちに意見を聞いてみたい」


テクスとエクシルに促された女性陣は、


「これだけでは何とも……

 もっと正確な調査が必要かと思われます」


「これだけでは何とも……

 もっと正確な調査が必要かと思われます」


「序列上位国、しかも他数ヶ国に渡ってこれらの

 物が流通しているんですよね?

 情報が少な過ぎるかと」


「より広範囲な調査と、今以上のデータ収集、

 それによる分析が必須と思われます」


その答えに満足したように、

『哄笑の魔女』・『落煌の堕神』はうなずき、


「我々も同じように考える」


「では、協力をお願いしよう……」


二人に命じられた女性陣は、地の底から

沸き上がるような咆哮ほうこうを発した。




│ ■シフド国 メルリア本屋敷  │




ちょうどその頃、メルリアの屋敷で一息

ついていた女神・フィオナは突然立ち上がり、


「この感じ……ッ!!

 同志の予感……!!」


「座りなしゃい」


すぐに従僕であるナヴィにたしなめられ、

彼女は席に腰を下ろした。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7342名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【毎日更新中!】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ