15・この人たち、敵じゃないんだよね?
( ・ω・)今週は暑かったなあ(しみじみ)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
露出の多い衣装を着た、首までの長さの髪を
ウルフカットにした半人半獣の少女が相対する。
「なるほどなるほど。悪霊ちゃんがねえ」
「黒髪和風美人ですからねー。
SでもMでもどっちも似合うと思うん
ですけど」
獣人であるワーフォックスと、女神・フィオナは
最近の件について雑談で情報を共有する。
「まあ、わからないでもないですよー。
あのお方……ナヴィ様に無茶苦茶されると
思っただけでもう……!」
「ワイルドですからねえナヴィは。
元猫でもありますし―――」
「わかりますわかります!
もうあのお方の獲物になりたいってゆーかー」
そこへ当事者である銀髪の美少年が入ってきて、
「ていうかしょれでしゅと、私がSっていう
前提なんでしゅが……
それでいいんでしゅか」
飲み物とお茶菓子を持ってきたナヴィは、
呆れながら二人に問うが、
「えっ? 違うんですか?」
「いえ! ナヴィ様は絶対Sですって!
誇りを持って胸を張ってください!!」
女神とワーフォックスの言い分に、彼は
片方の眉を吊り上げて―――
「……まあ、第三者の評価についてとやかくは
言いましぇんけれども。
それではそろそろ、本編スタートしましゅよ」
│ ■シフド国・王家宮殿 │
「ふむふむ……
しかし、この構図ではちょっと刺激が足りない
ような気がしますが」
「そうだねえ。
この前のスケッチのような斬新さがちょっと」
「緊張しているのかい?
もっとこう、妄想全開!!
って感じでいいんだぜ?」
女神・フィオナと工房のトップ二人、
男装の麗人のような衣装のカーレイ、
赤とダークブラウンの長髪をしたメヒラが、
提案された構図スケッチの前で話し込む。
そこへ淡いピンクヘアーをした、丸眼鏡の
スカーレッド王女が加わり、
「遠慮する事はありませんよ?
むしろ、前のものよりもさらに過激な
ものを……!」
限理神・マファーダの配下―――
テクス、エクシルもとい、テミスとエクリルは
要請を受けるも、
「いえ、このままでお願いします!」
「スケッチして頂ければわかります!」
女神や王女、上司を前にしても彼女たちは
退かず、
「ふーん?
何か自信があるみたいだねー」
赤茶のツインテールの少女、獣人族のカガミが
猫のような目になって話に割って入り、
「考えあっての事かしら?」
ピンクのロングヘアーに、知的な印象を受ける
眼鏡の女性、メルリアが続く。
「理由があるのかい?」
「意図を聞いておきたいが」
カーレイとメヒラがさらに追撃のように問う。
それに対し二人は、
「あのお2人がモデルなのです。
何をどうしようと、絵になる事は確実です」
「そしてどのような構図、ポーズを取ろうとも、
過激になる事は間違いありません。
なぜなら、あの時のスケッチも……
私たちは過激にする狙いは無かったの
ですから……!」
事実、テクスとエクシルは構図やポーズの
会議に半ば強制的に参加させられた時―――
適当に述べただけでそこに何らかの目的は
無かった。
もっとも途中から暴走はしたが。
「でもあんたたち……
結構熱烈に提案していたじゃないか」
「それも古株の職員と言い争いをしてまで―――
あれに何の意図も理由も無かったなんて
言われても」
(■10章10話目(第300話)
「現実逃避だね! カガミもやってみる!」
参照)
カーレイとメヒラの疑問に彼女たちは
顔を上げて、
「あの時の私たちは、構図やポーズなどでは
なく、素材の味を引き出す事に専念して
いたのです!」
「あれだけの美少年が2人、しかも1人は
妹まで参戦……!
ならば互いを引き立たせる構図を、と
思ったまでにございます!」
そこでギャラリー兼同志の女性陣、
工房職人やメイドや城の侍女、女性騎士などが
うなずき、
「な、なるほど……!
確かにあの過激さはあのモデルたちが
いてからこそ……!」
「となれば、構図やポーズなど二の次。
要はいかに組み合わせやシチュなどで
萌え上がらせるか―――」
「こ、これは盲点でしたわ……!
私たちもまだまだですわね」
女性陣は自分の未熟さを自覚するように、
口々にテクスとエクシルの指摘を認め―――
「おお……!
この世界にも、この域にまで達している
者たちがいようとは」
「女神・フィオナ様のお目に適う者でしたか。
このシフド国王女であるわたくしが許します。
思う存分おやりなさい!
テミス、エクリル……!!」
女神とスカーレッド王女のお墨付きを受け、
限理神・マファーダの配下は頭を下げた。
「うみゅ、これはしゅごい。
というか酷いでしゅね」
「熱気というか邪気というか何ていうか―――
命の危険は感じないけど、身の危険がビシバシ
感じられるね」
女神の従僕であるナヴィと、カガミの兄である
キーラは……
モデルとしてスケッチをする部屋に足を
踏み入れた途端、そのドス黒い何かを動物的な
本能で感じ取っていた。
さらにそこには、恐らく王女の人脈であろう
貴族階級の女性陣も参加しており、
「あの子が女神様の従者……?
本当にこの世の物とは思えない美しさ
ですわぁ♪」
「獣人の子も素晴らしいですわねぇ。
猛禽類のように気高い目……
それでいて肉食獣のように洗練された外見……
この機会を下さった王女様には、
感謝しなければ」
品定めされるような視線に、キーラは口を開き、
「この人たち、敵じゃないんだよね?」
「ある意味敵というか……
しょれよりもっと厄介な何かと
言いましゅか……」
そこへカガミがやって来て二人の背中を押し、
「さあ早く早く! ナヴィ」
「期待しているわよ、キーラ」
二人の主筋であるフィオナとメルリアの声が
さらに後押し―――
三人はモデルを務める事となった。
「ハイッ!!
ナヴィさんもうちょっとこちらに
視線ください!!」
「いいですよー!
キーラさん、もう少し足を上げて!!」
モデルの構図・ポーズを指定する担当として
選ばれたテクスとエクシルは、精力的に指示を
出していた。
それを見ていたギャラリーたちからは、
「あの2人は何者!?」
「すごい……!
私たちが望む、予想する事を―――
いえ、それ以上のシチュエーションを
次々と表現しておりますわ……!」
「あのお2人、スカーレッド王女が直々に
モデルの指導役として任命したそうよ」
上流階級の女性陣からも受けが良く、
同時に王女の評価も上がっていく。
「おぉ……あの2人にはアタシからも、
何かご褒美を出さないといけない
ようですね」
「ええ。わたくしの方からも何か出せないか
考えておりますが―――
取り敢えず今は、この場を堪能しましょう」
女神と王女はいったん顔を見合わせると、
目を皿のようにして、眼前の光景に全神経を
集中させた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7299名―――
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