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14・ヒロインが発していい言葉じゃない2文字

( ・ω・)欲望はある意味平等(意味深)


日本・とある都心のマンションの一室―――


黒髪セミロングの少女がリビングでスマホに

集中していると、そこへ銀髪の美少年が

入ってきて、


「ただ今戻りましゅた、フィオナ様」


「お帰りなさい、ナヴィ。

 どこ行ってたんです?」


彼は荷物を下ろすと複数の封筒を取り出し、


「邪神さんたちの保証人確認のための書類とか

 届けて来たんでしゅよ。

 最近はマイナンバーカードとかと併用でないと

 ダメなところもありましゅし……

 しょの確認も更新時だけでなく、

 1年に1回とか要求される事もありましゅし」


「あー、お疲れ様です。

 っていうか、そういうのママがしなくても

 いいの?」


フィオナの問いにナヴィはいったん飲み物を

口にし、


「まあ、アルフリーダ様ならたいての事は

 どうにでもなりましゅから―――

 本人が来なければならない条件を、

 代理人OKに『成長』させるとか」


「マジで何でもアリだからなーママ」


そう話していると、部屋の中に声が響き、


『……フィオナちゃん、悪霊ちゃんから

 聞いたわよ。


 『優秀なSは優秀なMでもある』―――

 確かにそれは私の言葉……

 それ自体は問題ない……でも……』


「マ、ママ―――」


「アルフリーダ様……!」


急に耳に入ってきた彼女の声に、娘と従僕は

息を飲んで天井を向く。


続いて【時と成長を司り、見守る女神】から、

出て来た言葉は―――


『『昔のエロいババア』……

 これは撤回しなさい。


 あ、『エロい』は別にいいけど』


「(エロはいいんだ……)」


「(エロはいいんでしゅか……)」


それを最後にアルフリーダの声と気配は

室内から消え、フィオナとナヴィは安堵の

ため息をつき、


「あぶねーあぶねー。

 今後は気を付けるとしますか」


「しゃて、そろそろ―――

 本編スタートしましゅよ」




│ ■シフド国・王家宮殿   │




「ついに来てしまいましたわね、エクシル」


「ええ……

 でも今回の件を何とか切り抜けられれば、

 今後はもっと調査をしやすくなるはず……!」


限理神・マファーダの配下である彼女たちは、

シフド国の王女・スカーレッドから呼び出され、

その謁見のために待機していた。


「何だい、緊張しているのかい?

 まあ俺もだけどさ」


「カーレイもか。俺っちもこんなところに

 来るのは初めてだからなー。

 工房職員のみんなもガチガチになっているよ。


 ま、さっさとお褒めの言葉を頂いて帰ろうぜ」


男装の麗人といった格好のカーレイ、

それに赤とダークブラウンの長髪のメヒラが、

二人を気遣って話しかける。


そしてカーレイの言葉通り、他の工房職人である

女性陣も、凍ったように固まっていた。


「あ、もう来てましゅか」


そこへメルリア家からナヴィ、そして

キーラとカガミの獣人族兄妹も姿を現し、


「あ、あれがモデルとなった……!」


「お、落ち着けうろたえるんじゃあない!

 シフド国軍人はうろたえない……っ!」


護衛として謁見の場に詰めていた女性騎士たちは、

モデルである彼らの登場に色めき立つ。


「おや? あんたたちだけかい?」


「メルリアも来ると思っていたんだが」


工房の実質トップの二人がたずねるが、


「あー、ウチの主人もとい、フィオナ様も

 いらっしゃってましゅけど、メルリアさんと

 一緒にまだ控え室にいましゅ」


ナヴィの言葉にカーレイとメヒラは困惑するも、


「あ、うん、そうかい。

 それならいい……のかな?」


「でもいったい何してるんだい?

 そろそろ王女様もお出ましになるってのに」


そこへバタバタと駆け足のような足音が

近付いてきて、


「お、お待たせしましたっ!

 ……ふぅ……」


「王女様への献上品の選定に思ったより

 手間取りまして……」


ナヴィが主人と呼ぶ少女と―――

ピンクのロングヘアーに眼鏡をかけたカトゥ財閥の

女主人が早足で謁見の間に到着する。


「来てそうそう、ヒロインが発していい

 言葉じゃない2文字を口にしゅるな」


「メルリアも何やってんだよ、まったく」


従者と獣人族の少年二人に怒られ、

二人はバツが悪そうに苦笑する。


そして女神と工房の一行は、スカーレッド王女の

謁見に臨む事になった。




「そなたたちが、芸術界に新しい風を起こした

 工房の者たちであるか。


 苦しゅうない、面を上げよ」


年齢はアラフォーほどの、丸眼鏡に淡い

ピンクヘアーの長髪の王女は、控えていた

全員に声をかけ、


そして業績を称える言葉を読み上げ、一通りの

祝辞が終わると……


「ナヴィにキーラですか。

 モデルの役目、ご苦労でありました。


 この王宮内で絵のモデルとなってもらう事は

 出来るでしょうか?

 時間は限られておるゆえ、さほどの手間は

 取らせないと思いますが―――」


「王女様の仰せでありましゅれば」


「光栄にございます」


事前に、受け答えの練習をメルリアの屋敷で

受けていた彼らはそつなく返答する。


「ではお二人は控室で待機を。


 それと女性の方々は残っておくれ。


 男がいると、話しにくい事もあるでのう」


スカーレッド王女の言葉に同性の人たちは

苦笑し……

そしてナヴィとキーラは退室した。




二人の少年が出ていった事を見届けると、

王女は上座から彼らのいる場所へ降りていき、


「テミス、エクリル。

 この前届いた生スケッチは、あなた方による

 構図と聞きました」


「はっ、い、いえ」


「これも工房の皆さま全員の協力があってこそ」


急に名指しされた二人は緊張しながらも、

身バレしないように細心の注意を払いながら

答える。


「……新人ですが、話してもいいでしょう。


 女神・フィオナ様。

 この二名があの生スケッチに大きく関わった

 者たちで―――」


「おー、あなた方がっ!!」


その答えにテクスとエクシルはきょとんとした

表情になり……

そして一瞬後に脳内がパニックになる。


「めめ、女神フィオナ……様ですってえぇえ!?」


「そ、そのような方がなぜこちらに!?」


いきなり調査対象と遭遇した事で二人は

驚き慌てるが、


「そう、かしこまらなくても結構ですわ」


フィオナはそう言うと何冊かの本を取り出し、

周囲に見せる。

すると、護衛にあたっていた女性騎士や

侍女、メイドなどもワッと集まってきて―――


「こ、これが噂の異世界の……!」


「すごく精巧な絵です! 表現技法も―――

 まだまだこの世界のレベルの低さを

 思い知らされます!」


「こ、この枯れたじいさんの絵は私の心に

 ド直球……!

 必ずやこの技法を自らのものに!!」


ポカンとして口を開けるテクスとエクシルに、

フィオナは背後からポン、と肩を叩き、


「どうですか?

 ここには王女も騎士もメイドも……

 神も人もありません。


 これを愛ずるのは女性として当然の事。

 いえ、抗えるはずがありません」


するとフィオナに続いて―――

メルリア、カーレイ、メヒラを始めとした

女性陣が二人を取り囲むようにして、


「あなたたち構図やシチュを考える能力、

 期待していますわぁ♪」


「さぁさぁ、また斬新なアイディアを頼むぜ」


「ちょうどあの2人を連れて来ているんだ……

 もちろん機材もバッチリ♪

 どんな構図も思いのままだよぉ?」


次いで、スカーレッド王女がカガミと共に、


「残念ながら時間は限られておりますが、

 何よりスケッチするのをナマで見られる

 貴重な機会……!」


「過激なのを頼むよー、2人とも!」


状況を理解したテクスとエクシルは互いに

顔を見合わせ―――


『もうどうにでもなーれ♪』という決意の元、

構図の選定に全力を傾ける事となった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7281名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

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