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12・敵より質が悪い何か

( ・ω・)もう冬って事でいいじゃん(投げやり)


日本・とある都心のマンションの一室―――


銀の短髪の美少年が、正座してテーブルに座り、

書類に何やら書き込んでいた。


「あっ、ナヴィ。

 ……って、何か作業中?」


「この世界の滞在申請書でしゅよ。

 天界市役所に提出するんでしゅ。


 しょれより何か用でしゅか?」


黒髪セミロングの女神は、そのやや目付きの悪い

目を上に向けた後、


「ちょっと聞きたい事があったんだけど、

 何かやってんのなら―――」


「別にいいでしゅよ、書きながらでも話は

 聞けましゅし。


 しょれで何を聞きたいんでしゅか?」


お目付け役(人間Ver)は書類から顔を

上げずに聞く姿勢を見せる。


「3Pってやっぱり、人数の多い異性が主導権を

 握るべきだと思う?」


「いやー書いている最中に聞く話じゃなかった

 でしゅね」


ナヴィは事務処理を止めてフィオナに向き直り、


「ていうか完全に貴女とメイさんとアルプ君の

 話でしゅよね?

 しょれのベッドインプロレスの事でしょ?


 しょの嗜好しこうを私に話されても困りましゅよ」


「い、いやー。でもナヴィだっていずれは

 5人ほど相手にするわけですし……」


「勝手に邪神さんたち全員とくっつく未来を

 想定されても迷惑なのでしゅが。


 まあそろそろ、本編スタートしましゅ」




│ ■シフド国 職人ギルド街・印刷工房   │




「よし、ここらでいいか」


私服だが、ただならぬ雰囲気を持つ女性たちが、

工房からやや離れた場所でたたずむ。


「限理神・マファーダの配下がこの国に

 潜入している事に加え―――

 女神の眷属や部下が動けない状態で

 あるとの報告を受け、各拠点の警備任務が

 我々に下った。


 彼らの体力が回復するまで……

 目立たぬよう、各拠点を見守るのだ」


リーダー格らしき女性の言葉に、他の女性陣が

ビシッと最敬礼する。


「我々の任務はあくまでも極秘である。


 ただ、まあ―――

 接近し過ぎたり、モデルと出会ってしまう事も

 中にはあるだろう。


 それについてとがめる事は無い……

 決してよこしまな気持ちからでは無く!

 決して邪な気持ちからでは無く!!」


握りこぶしを作って力強く話す彼女に、


「別にいいですよ隊長」


「誰も反対していませんし」


あっさりと返す部下たちに、彼女はコホンと

咳払いして、


「そ、そうか。


 ではこれより任務にあたる!

 各自、得た情報は後で共有するように」


「「「ハッ!!」」」


そして彼女たちはそれぞれ、各々の場所に

散っていった。




│ ■シフド国・王家宮殿   │




「……任務に就いた者たちは、もう現地へ

 到着したかしら」


丸眼鏡のアラフォーの貴婦人は、そばにいた

侍女に話しかける。


「はい。印刷工房、商業ギルド―――

 そしてカトゥ財閥の監視・警備についていると

 思われます」


侍女は軽く頭を下げ、スカーレッド王女に

受け答えし、


「ああでも、わたくしも行きたかったわぁ……

 それに獣人ってこんなにも美しく尊いのね。

 これは良いアクセントだわぁ」


メルリアの使者から受け取った生スケッチを

見ながら―――

彼女はうっとりとした表情を浮かべる。


「しかしやはり良い……

 耳としっぽが加わるだけで野性味を増し、

 まるで襲っているようなシチュに……」


「え? キーラ君は襲われる方では

 ありませんか?」


そこに微妙な空気が形成され、


「あなた、わたくしの美学に異論を挟むの?」


「そこは命をかけても譲れませんよ……!

 負けられない戦いがここにある」


二人はファイティングポーズのように構えて

対峙すると―――

そこへメイドや護衛の女性騎士たちが

駆けつけてきて、


「何をしているのですか!?」


「止めなさい!

 スカーレッド王女様も落ち着いて……!」


そこで王女と侍女は止めに来た女性陣に向かい、


「だって侍女がキーラ君は受けって

 いうのよ!」


「違うでしょう!?

 キーラ君は絶対攻めなんかじゃ

 ありません!!」


それを聞いた他のメイドや女性騎士たちは、


「いえ、王女様。安易に攻めと決めつけて

 しまうのもどうかと―――」


「何と!?

 あの野生からどこに受けの要素を……!」


と、二手に分かれて論争が始まってしまい、

身分関係なく泥沼の騒動が加速していった。




│ ■シフド国 メルリア本屋敷  │




「……うみゅ?」


「……ん」


ナヴィが首を窓に向け、同時に巻き毛の

獣人族の少年、キーラも耳をピクピクと動かし、


「どうかしたー? キーラ兄。

 それにナヴィさんもー」


そこへ赤茶のツインテールの、キーラの妹も

やって来て、


「妙な気配がするでしゅ」


「うん、この屋敷を取り囲んでいる」


するとカガミも耳を立てて気配を伺い、


「そうー?

 確かに複数人、屋敷を取り囲んでいるような

 気配が増えたけど。


 でもコレ、限理神・マファーダの配下じゃ

 ないよね?

 確か2人だけって話だし」


「そうでしゅね。

 人数が多いでしゅし、それとは違うと

 思いましゅ」


「でも何か壁越しでも、べたつく気配

 なんだよなあ……」


ナヴィとキーラは体のあちこちを押さえるように

腕やひじを曲げる。


「寝る場所を変えたからかしら。

 ご希望通り、入口にやや近い部屋に

 してみたんだけど」


ピンクのロングヘアーに眼鏡をかけた、大企業の

秘書のような女主人が入ってきて、


「まあ護衛も兼ねているし、それはボクたちが

 頼んだ事だから」


獣人族の少年が伸びをしながら彼女に答える。


「今、飲み物と何か食べ物を持って

 こさせるから―――


 でも何なのかしら?

 敵……ではないのよね?」


「まあ、ある意味?」


「敵よりたちが悪い何かという気がしないでも

 ないでしゅけど」


二人の少年は眉間にシワを寄せ、

メルリアとカガミは?マークを頭につける。


「あ、一応今回の件はシフド国の王宮にも

 報せてあるから―――

 もしかしたら、何人か護衛の人員を送って

 きてくれたのかも知れないわ」


「そーかも知れないねー。

 確かにみんな、そこそこ戦闘力が高めの

 人たちだし」


女性たちの説明にナヴィとキーラはうなずき、


「なるほど。そういう事でしゅか」


「じゃあしばらくは大丈夫かな?

 さすがに警備しているってわかったら、

 潜入とかも考えるだろうし」


そこでいったん話を区切った後、


「ひとまず状況をフィオナ様に報告して

 おきましゅか」


ナヴィはフラールにいる女神に向けて、

神託カイセンを開けた。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




「いやあいいですねえこの構図はゲヘゲヘゲヘ♪」


「はしたないですよフィオナ様。

 せめてヨダレを吹きましょう」


「独身でよかったわぁ。

 こんな姿、お父さんには見せられない……♪」


ちょうどその頃、フィオナ・メイ・そして

アルプの母ソニアの三人は、シフド国から

送られてきた新刊を堪能していた。


『3週間ぶりの本編登場がしょれで

 いいんでしゅかダ女神』


「うおっひょおっ!?」


ナヴィの神託に、思わずフィオナは跳ねるような

反応を見せる。


同時に他の女性陣も佇まいを直し、


「どどどどうしたんですかナヴィ、

 何か緊急事態でも?」


『いえ、どうもシフド国が応援を寄越した

 ようなのでしゅ。

 と言ってもこちらには連絡が来てましぇんし、

 どうも密かに警備している感じなのでしゅが。


 取り敢えずしょれだけ報告しておこうかと』


そこで女神はふむふむとうなずき、


「わかったわ。報告して来ないって事は、

 気を使っているとも考えられるし。


 マファーダの配下については何かあった?

 そう……まだ接触はしてないのね。


 向こうも強硬手段には出ないと思うけど、

 油断はしないように」


いくつかのやり取りを経て一段落した後、


『わかりましゅた。

 また何か動きがあったら連絡しましゅ』


「あ、ナヴィ。あと1つだけ―――」


『何でしゅ?』


フィオナは一息ついたあと、


「ぜひとも次にやってもらいたい構図が」


『ちにぇ♪』


ナヴィの超ストレート死亡要求の後、

神託は閉じられた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7250名―――




( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914

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