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11・とにかくしゅごいでしゅね

( ・ω・)本編では2話続けてフィオナは

声だけの出演。ヒロイン()


日本・とある都心のマンションの一室―――


目つきの悪い黒髪セミロングの少女が、

カラスのような羽を背負った、ブロンドの

ウェーブロングの髪の同性と向き合う。


「そういえばこの前サキュバスちゃんと

 話していたんですけど……


 堕天使ちゃんは好きな異性を落とした後、

 どうしていました?」


「もしかしてアルプ君対策ですか?


 でもあまり参考になるものは無いかと

 思いますが」


堕天使の言葉に女神はさらに身を乗り出し、


「え? だって落とした後は維持管理しなきゃ

 いけないんじゃないの?」


「そんな機械のメンテみたいに言われましても。


 それに我の場合―――

 堕落させるのが目的であって、ある意味

 落とした時点で達成されているんですよ」


それを聞いたフィオナはガックリと肩を落とし、


「あ~……

 異性を捕まえる動機から異なるのかぁ。


 いやでもホラ、あなたナヴィを狙って

 いるんでしょ?

 そう考えて逃さない方法を」


「えぇ~、我どちらかというとナヴィ様に

 身も心も捧げて無茶苦茶にされたい派

 なんでぇ。


 でもそうですね。

 ナヴィ様やアルプ君みたいな年下美少年を

 好きに出来る環境であったなら―――」


そこで女神はゴクリとのどを鳴らし、


「あったなら……!?」


「ベタベラに甘やかして、我がいなければ

 何も出来ない―――

 我の姿が見えないだけでオロオロするような、

 そんな感じに……


 ナヴィ様のイメージとはかけ離れて

 いますけど……」


しばしの沈黙が続き、フィオナと堕天使は

お互いに目を合わせると、


「「それはそれで!!」」


そう言って腕をクロスさせる人外二名を、

シルバーの短髪の美少年が遠い目をしながら

見つめ、


「はあ……


 それではそろそろ、本編スタートしましゅ」




│ ■シフド国 メルリア本屋敷  │




「え~っと……大丈夫?

 ナヴィ様、キーラ、カガミちゃん」


豊満な胸を持つ眼鏡の女性が、モデルの仕事を

終えてきた三人をねぎらう。


「大丈夫そうに見えましゅかねえ」


「絶対あの人たち、ボクたちから何かを

 吸収ドレインしてるよ……」


女神の従僕に続き、銀色の巻き毛を持つ

獣人族の少年が力なく答える。


「あ~……カガミもダメぇ~……

 あと一週間はちゃーじが必要かもぉ~」


赤茶のツインテールの獣人族の少女も、

ソファにうつ伏せになりながらしっぽを

宙にだらしなく浮かせるが、


「はいカガミちゃん、これ新刊」


「ちゃーじ行きまーす!!」


光の速さでカガミは身を起こすと、その新刊を

奪うようにして持っていく。


「何かしゅごいでしゅね……

 何ていうか、グロッキーなのでうまく言葉が

 見つかりましぇんけど。

 とにかくしゅごいでしゅね……」


「精神的な何かが削られた後だから、

 精神的な補充があればいいのかな……」


ナヴィとキーラがぼそぼそと話し合っていると、


「ねー、2人も補充するー?」


「さりげなくトドメを刺そうとしないで!」


手持ちの本を近付けようとするカガミを、

メルリアが慌てて止める。


『新刊……

 それをすぐフラールにも送るのです……


 あ、宛先はアタシ宛てでちゃんと『重要書類』

 って書いて厳重に箱に詰めて―――』


「だかりゃ神託をそういう事に使うなダ女神」


フィオナの神託にすかさずナヴィはツッコミを

入れる。


「でも困ったわね……

 2人とも、限理神・マファーダの手下が

 調査しにくるのを、けん制・阻止するために

 来たんでしょう?


 それがこんな状態じゃ、文字通り動けない

 でしょ」


そこで少年たちは頭だけ持ち上げ、


「誰のしぇいでこうなっているのかと……」


「責任の一端はメルリアにもあるって事、

 わかってる?」


至極しごくごもっともです返す言葉も

 ございません」


名指しされた彼女は、ピンクのロングヘアーを

振ってばつが悪そうに目をそらす。


「まあでも、探りに来ているだけなんでしょー?

 いくら何でも暴れ回ったりはしないだろーし。


 しばらくはここで休養して、何かあったら

 出動! って事でどーお?」


カガミに同調するように、メルリアは眼鏡を

かけ直しながら、


「それがいいかも知れないわね。


 シフド国内の情報なら、どこであっても

 1日で屋敷に入って来るわ。

 何が動きがあるまで、ここで休んでも」


「ふーみゅ。

 ではお言葉に甘えさせてもらいましゅか」


「だね。

 どっちにしろボクたち、動けないから」


ナヴィとキーラは仰向けで頭をソファに

押し付け、そのまま夢の世界へ突入した。




「さて、と……

 ワタシはワタシで出来る事をしなくちゃ」


「え? 何かあるの?」


新刊に読み入っていたカガミは頭を上げて

女主人の顔を見る。


「限理神・マファーダに関しては連合各国が

 全面協力しているわ。

 それはシフド国も例外じゃない。


 特に王家、スカーレッド様からは庇護ひご

 受けているから―――

 一応この事を報告しておかないと」


そしてメルリアは手紙を書き上げ、1時間後には

王宮に向けて、屋敷から馬が駆け出した。




│ ■シフド国・王家宮殿   │




「……女神様の使いが限理神・マファーダの

 手先を追って我が国に来たと。


 しかし体調を崩され、動けない―――

 何があったのかしら?」


丸眼鏡に淡いピンクヘアーの、アラフォーの

貴婦人が、報告に来た女性兵士を前に書面を

受け取る。


限理神・マファーダの存在自体は、

一般人でも知っているレベルであったが……

復活および女神フィオナに敵対しているという

事はトップシークレット。


しかしさすがに、上層部の周囲にはべる人員には

伝えられていた。


「詳しい事はそこに書いてあるそうで……」


「ふぅむ。どれどれ……」


王女は手紙に目を通す。


「あー……なるほどなるほど。


 女神様の従僕である少年と、メルリアの屋敷で

 お世話になっている獣人族の少年が―――

 絵のモデルになる事をこころよく協力してくれた

 ところ、移動の疲れも出たのか少し具合が

 悪くなってしまったと」


それを聞いていた侍女やメイド、女騎士たちは、


「それは仕方ないですねえ」


「不可抗力であったかと」


「やむにやまれぬ事でしょう」


スカーレッド王女は書面に目を通すと、


「……おかしいわね。

 何でこんなに枚数があるのかしら。


 他に何か報告する事でも」


と、複数の紙が封筒に入っていた事を不審に思い

王女が両手でそれらを分けると、


「こ……っ、これは……!!

 生スケッチ!?


 それもきょ、今日描かれたばかりのものと

 書いてあるわ!!」


彼女の言う通り、そこにはラフ絵のような

ものが何枚かあり、


その声に周囲にいた女性陣が身分問わず集まる。


「ぶっふぉ!! こ、これは……!!」


「1人はこちらの獣人族の妹さん?

 これはいらないような」


「いや、少女が1人混ざっている事で―――

 逆に少年2人が引き立つ!


 2人とも女性に見まがうほどの美少年

 だからな。

 これは良いアクセントだ……!」


そしてスカーレッド王女を始めとして、

生スケッチの品評会が開催された。




「ふぅ……」


「ふぅ……」


小一時間ほどして、一通り堪能した彼女たちは

一息つき、


「……どうしましょうか、スカーレッド王女様」


「?? どう、とは?」


一人の女騎士の言葉に王女は聞き返す。


「聞くところによりますと、現在、

 限理神・マファーダの配下を追ってきた

 女神の眷属は疲れ果てているとの事。


 ここはひとつ、その工房だけでも支援、

 守った方が良いのでは、と」


「ふむ、そなたの言う通りだ。

 何でもマファーダの配下は、かつて女神様が

 活躍された土地を調べているとの事。

 であれば、工房も無関係ではあるまい。


 しかし限理神の復活や女神様との敵対は

 一般国民にはしておる。

 あまり目立った事は出来ぬのだが……」


するとメイドの一人が手を挙げて、


「それとなく監視、見守るというのはどうで

 しょうか?

 少人数の女性を派遣するとかして―――


 それならマファーダの配下や、他の民にも

 不審がられずに済むのではないかと」


そこで全員が同意してウンウンとうなずき、


「では不詳ながら言い出しっぺの私が」


「いえここは戦闘力もある騎士である私が」


「え? そんな事を言うのならわたくしも

 変装して―――」


そこでまた議論が沸き起こり、一段落するまで

時間を要した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7238名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914

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