07・やべぇ妄想と想像が止まらねぇ
( ・ω・)5周年突破!(そして何事もなく
過ぎて行く)
日本・とある都心のマンションの一室―――
黒髪セミロングの少女が、ペットと思われる
シルバーの毛並みの猫に話しかける。
「ようやく猛暑が落ち着いた感じですねー、
ナヴィ」
「そうですね、それでも外は30度超えですけど」
撫でられながら、従僕である彼は伸びをして、
「で、5周年なわけですが、今年もまた記念とか
そういうのは無しと」
「あの作者にそういうのを求めるのは、もう
諦めてはいますけど―――
まあ作者に対する処遇は後で決めるとして、
フィオナ様もこの1年、これといった進展は
無かったと思うんですが」
「何か思わぬところから流れ弾が飛んで
来ましたね……しかし!」
と、そこでフィオナは少ない胸を張って、
「去年の今頃!
アタシはすでに!!
アルプと結ばれているんですよ!!
どうですか!?
これでも進展が無いと言えますかー!?」
(■8章32話
アグレッシヴビーストモード参照)
「いえ、むしろ双方の親の同意もあって、どうして
この程度で済んでいるのか不思議なんですけど。
マンションにアルプ君を連れて来るのも、
ごくたまにですし……」
そのツッコミに女神はうっ、と後ずさりし、
「い、いえそのですねー。
アタシも彼を連れて来て、いろいろとご奉仕とか
プレイとかシチュとか考えてはいるんですよ?
でもそれを考えているうちに妄想ゲージが
振り切れるといいますか、ええ」
「……メイさんに協力してもらえばいいんじゃ
ないですか?
あの人もアルプ君の妻(予定)でしょう?」
と、ナヴィはフィオナと対等の少女の名を
持ち出すが、
「あ、それダメでした。
2人いるから妄想ゲージ2本になるかなーって
思ったら、化学反応を起こして超強化されて
むしろゲージ消費が早くなってしまったと
いうかー」
「まあ、当人たちがそれで良ければいいんです
けどね……
それじゃそろそろ、本編スタートします」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
「あれ? メイさん、フィオナ様は?」
女神の第一眷属であり、また彼女の夫(予定)の
少年は、姿の見えない妻について、もう一人の
妻となる少女に問う。
「今、神界から連絡が来たらしいので、
その対応に当たっています」
第三眷属の妹であり、姉と同じシルバーの
ロングウェーブの髪を持つ彼女は、一緒に
朝食の準備をしながら答える。
「何かあったのかしらねえ……」
心配そうにアルプの母、ソニアがフィオナのいる
部屋の方向へ視線を送るが、
「いえ、ご両親からの連絡みたいですよ。
今回の件はどうもフィオナ様の身内も
絡んでいる話なので―――
向こうでも調べてもらっているとか。
んで、先に食べていてくださいって
言ってました」
それを聞いた息子と同じグリーンの色をした
長髪を持つ彼女は、下唇に指をあてて、
「もう少しお待ちしましょう。
あと10分して来なければ、先に頂いて
しまいましょう」
「はい! お義母様!」
「お母さん、その時はお食事をお部屋まで
持っていく?」
メイは元気良く答え、アルプはフィオナを気遣い
聞き返すが、
「ううん、邪魔をしてはいけませんよ、アルプ。
話が込み入っている可能性もありますし」
「そうだね」
そこで三人は方針を決めると、それぞれが
着席した。
「……で、テクスとエクシルなんですけど、
何かわかりました?」
フィオナは天界にいる両親―――
軍神ユニシスと女神アルフリーダの連絡に耳を
傾ける。
『結論から言うと―――
僕とママの討伐・封印した者の中にその名前は
無かった』
『でも他の記録からは見つかったわ。
2人とも亜神・準神ともいえる存在で、
単体で暴れ回っていたみたいね。
だけど……』
父親の後の母親の言葉は、やや歯切れが悪く、
「どうしたんですか?
何かマズい事でも?
というか、その記録があるという事は、
神様の誰かに倒されたって事ですよね?」
フィオナの問いに向こう側の両親は一瞬沈黙し、
『まさにそれなんだよ、フィオナ』
『テクスとエクシルに関しては、暴れ回っていた
記録はあるんだけど―――
神々が向かう前に姿を消しちゃっているの。
だから天界側では、限理神・マファーダが
実力で配下にしたのでは、と推測しているわ』
手先にとなって動いているからには……
確かにそう考えた方が自然だろう。
「そ、それで―――
そのテクスとエクシルとやらは強かったん
ですか?」
娘が知りたい情報についてたずねると両親は、
『僕やママだったら相手にすらならないけど』
『どちらか1人だけでも、神様初心者が相手に
するような相手では無いわねぇ……
『哄笑の魔女・テクス』―――
『落煌の堕神・エクシル』……
その地に元々いた天界側の神を下すほどの
実力だっていうから』
ユニシスとアルフリーダからの情報に、
フィオナは眉間にシワを寄せて、
「んむむむむ~……
アタシとの実力差をガン〇ムで
例えるとどれくらい?」
向こうで数秒ほどの間があってから、
『ボ〇ルとガン〇ャノンくらいかな……』
『戦いに行く前に、パ〇ンサラダ作って
待っててくれって言うくらい?』
「パパの方はともかく、ママの方は完全な
死亡フラグじゃないですかヤダー!!」
その後も、テクスとエクシルについての情報を
積極的に聞き出し―――
それはアルプが食事を持ってくるまで続いた。
│ ■コザイ国・某所 │
「……ご苦労だった、テクス、エクシル。
『哄笑の魔女』・『落煌の堕神』―――
そう称されるお前たちすら手こずる者で
あったか、そのナヴィとやらは」
洞窟の奥深く……
そこで限理神・マファーダは二人からの報告を
聞いていた。
「2人がかりで戦えば勝機はあったかと」
「ですが、マファーダ様のご命令を最優先と
しました」
人間の女性から、魔族のような角と翼を備えた
姿に変わった彼女たちは、主の前に跪く。
「次はシフド国か。
情報はいくらあっても良い。
あのユニシス・アルフリーダとの戦いの
同じ轍は踏まぬ。
今度こそ万全の体制を持って―――
まずはあの2人の娘を葬ってくれる……!」
そして手をかざすように動かすと、
テクスとエクシルは立ち上がり、一礼してその場を
去った。
そこへ今度はフォルド、ワーダーが彼女たちと
入れ違いになるように入って来て
「マファーダ様。
結界の検証は終わりました」
「即座に任意の場所に出すのは難しいですが、
引き入れる事さえ出来れば、マファーダ様の
言われる条件は満たす事が出来るかと」
その言葉に限理神は満足そうに口元を
歪ませる。
「ご苦労だった。
テクスとエクシルの調査も順調のようだ。
これで我の復讐の時も近い―――」
そう語る主に、男の配下二人は顔を見合わせ、
「何だ。何があったのか?」
「い、いえ。
そのテクスとエクシルなのですが」
「視線が妙……とでも言いましょうか」
するとマファーダはクククと笑い、
「いかに貴様らでも―――
『哄笑の魔女』・『落煌の堕神』と称された
あの2人は恐ろしいか」
その言葉にフォルド、ワーダーは微妙な
表情となり、
「恐ろしい、と言いますか……
確かに何かこう背筋がゾッとするとでも
言いましょうか」
「別種の恐怖というか、あまり見られたく
ない感じが」
「??」
部下二名の語る事に要領を得ず、限理神は
首を傾げた。
その頃、話の対象であったテクスとエクシルは
歩きながら、
「いやー汗だくになっていろいろと働いている
男2人の構図はいいですなぁ」
「今頃マファーダ様と3人で……
やべぇ妄想と想像が止まらねぇ。
せめてマファーダ様がもうちょっと男の配下を
多くしてくれれば」
「せめて?
いや受けでしょうマファーダ様はどう見ても」
「いやそういうつもりで言ったんじゃないけど?
言っちゃう? そーゆー事言っちゃう?
それについちゃ譲る気は毛頭無いしね私も」
配下の女性二人が、同じく配下の男性陣もろとも
自分を妄想の糧にしている事を―――
限理神・マファーダは知る由も無かった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7184名―――
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