06・良い方向にさえ行けば大丈夫無問題
( ・ω・)来週で5周年かあ(無駄に長い)
日本・とある都心のマンションの一室―――
目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
顔の片側がワンレングスで隠れている同性が、
カーペットの上でくつろいでいた。
そして両者の手にはスマホがあり、
「うおぉおお!
邪神ちゃん1人そっち逃げた!
あぁアタシの愛車あぁああ!!
盗むな持っていくな!
アタシの! それアタシのー!!
ナオトーーーー!!」
「ゲーム内の移動用の乗り物に愛着持つのは
いいとしても、名前まで付けるのはどうかと。
ああもうっ、忙しいですわね!
はい、適切に処理しておきましたわ」
バトロワ系のアプリをチーム戦でやっていた
2人は、リアルで応答しながら進む。
「あれ? ナオト動かないんだけど」
ゲーム内で奪われた車に近付き、運転しようと
するも反応が無く―――
「どうやら燃料が無くなったようですね、
フィオナさん」
「お前が! お前がナオトを!!」
すでに動かなくなった相手に対し、
女神は銃弾を撃ち込みまくる。
「止めてくださいフィオナさん!
死体撃ちはマナー違反です!!
あと燃料切れに関してはその人にそこまで
責任は無いと思われます!」
「ナオト……仇は取ったわ……」
「いえ燃料入れればまだ動くんですけどナオト」
そこへ銀髪の少年―――
女神の従僕であるナヴィがお茶とお菓子を
持ってきて、
「いろいろと感情が忙しいでしゅね。
ただのゲームでしゅのに」
「ナヴィ様♪
あとでワタクシたちと一緒に
やりませんかー?」
邪神が彼にゲームで遊ぶ事を提案するが、
「んー……
しょれ苦手なんでしょよね」
「あり? 興味が無いとかじゃなくて?」
意外な返しだったのか、フィオナが聞き返す。
「リアルな匂いとか気配とかしない
でしゅからね。
音はまあ聞き分けられましゅけど」
それを聞いて女神と邪神は微妙そうな表情で、
互いに顔を見合わせ、
「それゲーム内に持ち込まれたら、
勝負にならないでしょーが」
「無敵過ぎる……
ま、まあそろそろ本編スタートしましょう」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
「おーし、じゃあやりますかぁ!」
と、フィオナは自室で気合いを入れ―――
フラールから地球・自分の部屋のPCへと
意識を繋ぎ、質問を書き込む。
【 ナヴィの同行者? 】
【 そりゃカガミしかいないだろうけど……
みんなが納得する理由を考えてくれって? 】
【 ずいぶんとまた、フワッとした
質問だなー 】
当然といおうか、『アンカー』たちからは
あまり良い返答は返って来ない。
「でっですけど、調査をただ1人でやるのは
限界があると思うんですよー。
まあ性格とか人格とか行動とか、
ちょーっと彼女に難があるのはわかって
いるんですけど?」
【 全部じゃねぇか 】
【 問題しかない 】
【 まぁ何だ。
必要な理由とか考えてみようぜ? 】
と、前向きな意見も出て来て、その方向で
みんなが思案する。
【 まず戦闘力……
はナヴィ1人で十分だよな 】
【 逃げ切れない事も無いだろうし 】
【 カガミがいたら―――
むしろ深追いしそうでなぁ 】
と、まず戦いにおいては否定され、
【 交渉、はもっと無理か 】
【 ナヴィが出来ない交渉を、うまくカガミが
まとめるビジョンが見えない 】
【 むしろいた方が邪魔まである 】
と、こちらも全否定され……
「いやいやいや!
な、何かカガミさんにもいいところが
ありますって!
きっと多分恐らく絶対に!!」
【 具体例が出て来ないところが何とも 】
【 まあもう、適当にアンカーで決めちゃって
いいんじゃね? 】
【 そうそう。
こうなりゃ流れに任せるのもアリかもよ? 】
半ば投げやりな対応をされるも、フィオナの
方にも案は考えつかず―――
「わ、わかりました。じゃあいきますよー。
『アンカー』は今のスレで……
550!
聞きたい事は―――
『カガミがナヴィの同行者として
必要な理由』!
―――さあ、アタシを導き給え……!!」
>>550
【 理由:女性だから 】
それを見たフィオナは一瞬思考を放棄した後、
うんうんとうなずき、
「当たり前じゃー!!
たいていの生き物は雄と雌が
いるんじゃーい!!」
心の中で大文字フォントで叫ぶと、
そのままベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
│ ■ミイト国・首都ポルト │
│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷 │
そして数時間後―――
定時連絡の神託を終えたナヴィは、
トーリ家の屋敷で一息ついていた。
「では、カガミしゃんに来てもらうまで、
ここで滞在させて頂きましゅ」
「いえいえ。
どうぞ我が家と思ってお寛ぎください」
「……私たちとしては……
大歓迎……」
屋敷の主である―――
シンデリンとベルティーユ姉妹が、
共にお茶を飲みながら歓待する。
「しかし、考えましたね。
カガミさんが同行するというので少し
不安がありましたが……
理由は理にかなっていましたし」
この世界では珍しい、黒髪黒目の少年―――
姉妹の従者であるネーブルが語る。
「そうね。
フィオナ様に『お、女だからっ』って
言われた時は何かと思いましたが」
バイオレットヘアーの、トロンとした目付きの
姉がまず述べて、
「……カップルか、夫婦か……
男女が一緒に行動している方が、確かに
警戒はされにくい……
それに、男性が入りにくい場所も……
確かに……ある……」
髪の色は同じだが、日本人形を思わせる
無表情な妹が続く。
実際、フィオナの言葉の後にそれを解釈、
理由付けしてくれたのはローン・ボガッドで、
その時にたまたま参加していた諜報組の、
トニックやソルトも、男単独だと調査は
やりにくい、と経験上の事を話し、
またミモザも、ファジーと一緒に姉弟で
行動していた時の方が、警戒されにくかったと
後押しした。
「(まあ実際は、周囲の人たちが好意的かつ
深読みして理由付けしてくれただけで
しょうが……
聞いてましゅかダ女神?)」
個別に神託を繋がれたフィオナは焦りながらも、
『(べ、別にいいもーん!!
それで良い方向にさえ行けば大丈夫無問題!!
万事オッケーなんですー!!
そ、それよりナヴィ!
今後は貴方次第なんですから、頑張って
くださいよ!!)』
「(わかっておりましゅ。では―――)』
ナヴィは他の三人に気付かれないように
神託を閉じる。
「しかしナヴィ様。
そのテクスとエクシルとやら……
シフド国に行くと言っていたんですよね?」
「……ナヴィ様から逃げおおせたところを
見ると……
かなりの機動力・速度……
シフド国に先に向かわれ、調査を済ませ……
取り逃がす恐れも……」
シンデリン・ベルティーユ姉妹が懸念を
伝えるも、
「多分、その心配はしなくてもいいと
思いましゅ」
「と言いますと?」
女神の従僕の言葉に、トーリ家の従者が
聞き返す。
「恐らくあの2人は、限理神・マファーダの元へ
一度、報告に戻ると見ていましゅ。
私と接触し、トラブルがありましゅたから、
まずはしょの事を相談するはず。
1日くらいの遅れなら、何とかなると
思いましゅよ」
それを聞いた姉妹とネーブルは、それもそうか、
と納得し―――
取り敢えずカガミの到着を待つ事にした。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7166名―――
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