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04・接触は危険よ。二重の意味で

( ・ω・)三ヶ月も前に通ったシナリオの

リテイクってマジか?(爆)


日本・とある都心のマンションの一室―――


目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、

野性味あふれる金髪のウルフカットの同性が、

テーブルに腰かけて対峙する。


「ほほー。

 悪霊ちゃんが……


 名前の通りだとするとまあそれっぽいん

 ですけど、オバケ屋敷の話はまあ共感

 出来るところがありますねえ、私も」


「ワーフォックスちゃんもですか?

 悪霊ちゃんとは別の意味で、そういう

 キャラじゃないと思ったんですけど」


家主である女神・フィオナは意外そうに、

獣人っぽい見た目の彼女に返す。


「私はどちらかというとー、

 オバケ屋敷に連れて行くとか、チマチマ

 やってないで食っちまえって感じ?」


「めっちゃワイルドですねえそれ。

 いやでも、もう食べた後かも知れないじゃ

 ないですかゲヘゲヘゲヘ♪」


そこへ銀髪の美少年―――

女神の従僕であるナヴィが入って来て、


「しょういうところで同意しなくても

 いいでしゅから。

 お茶のお代わり持ってきたでしゅよ」


彼はテーブルの上に、お茶とお菓子を

並べて置いていく。


「そういえばワーフォックスちゃん。

 ナヴィって猫みたいに、この前何も無い

 ところを見ていたんですけど……


 あなたもそういう事ってあります?」


「あーあーアレね。

 別に私そういうの信じてないしー、

 そりゃ生きている方の気配はかんづくかも

 知れませんけど、死んでいるのはねえ」


カラカラと笑うワーフォックスにフィオナは

ホッとして、


「そっ、そうですよね!

 そんな事、そうそうわかるわけ

 ありませんよね!」


そこで少年と獣人の少女は互いに目配せし、


「(……という事にしておくでしゅ)」


「(そーですね……)」


ボソッと話した言葉を女神は聞き逃さず、


「ちょっとおぉおおっ!?

 今何て言ったんですかあぁああっ!?」


「えっ?

 あー……いやその。

 空耳じゃないッスかー?」


「というわけでそろそろ本編スタート

 しましゅよ」


「いやあぁあああっ!!」


本編に入る事を宣言したにも関わらず、

しばらく女神の混乱と絶叫は続いた。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




「あら?

 ナヴィ様のお姿が見えませんが……」


第一眷属の母・ソニアが、朝食の支度をしながら

誰に向けてでもなくつぶやく。


「情報共有の神託は昨晩したんだけど、

 気になる事があるからもう一度ミイト国へ

 行くんだって。


 それで朝イチで家を出て行かれました」


母親譲りのグリーンの髪を持つ―――

アルプが彼女の疑問に答える。


「えぇ……

 朝食くらい済ませていけばいいのに」


フィオナが呆れと驚き半々で語るが、


「一応、ウチで採れた果実を持っていって

 もらいましたが……」


「おおー、さすがは旦那様(予定)」


眷属の彼にシルバーのロングウェーブの髪の、

第三眷属の妹がめ称える。


「でも、ここフラールにバクシア、そして

 ルコルア、ミイトと……


 その限理神・マファーダの手先は、

 次はどこへ行く気なのでしょうか」


ソニアの問いに、女神は両腕を組んで悩み、


「ナヴィは、ミイト国へ行くと言って

 いたんでしょう?

 気になる事があるって。


 それなら多分、ミイトで何かつかんだんじゃ

 ないかと思います」


「そうですね。

 しかも泊まってからすぐでしたし。


 何か重要な事を見つけたのかも

 知れませんね」


フィオナとメイが受け答えしていると、


「お母さん!

 台所から何か煙が……!」


「いけない!

 お鍋、温めたままだったわ!


 と、とにかくお話は朝食後にしましょう」


あたふたと母子は台所へ向かい、

話はいったん中断された。




│ ■ミイト国・首都ポルト      │




「う~みゅ。


 来たのはいいんでしゅけど、

 しゃて、どうするか……


 気になると言っても―――

 危機的なものとかじゃなく、

 いえ、身に危険が迫るような感覚が

 ありましゅたが」


ナヴィは街中を散策しつつ、マファーダの

手先であろう魔族の気配を伺う。


「この国で関わった事があるのは、確か……

 トーリ財閥、滞在した高級宿、後は装飾品店

 くらいでしゅかね?


 シッカ伯爵令嬢のお屋敷に行った事は

 無かったはずでしゅから」


彼が一人悩み考えていると―――


「(……!


 来た、でしゅね)」


そこでナヴィは、自分に意識を向ける存在の

気配に気付いた。




「テクス、あれは……」


「ええ、間違いないわエクシル」


限理神・マファーダの配下にして、今は人間の

女性に化けている二人がナヴィを見つめる。


しかし、それは人間であればとうてい肉眼で

見えない範囲からで、


「ええと、資料は―――」


「こちらね。この本に描いてある通り」


そこで彼女たちは身を寄せ合い、

その本を人目から隠すようにして、


「オゥフ♪

 あの目付きあの顔あの髪型……

 全部特徴と一致するわデュフフ♪」


「いや再現度パネェわこれは。


 これは―――

 もっともっと調べる必要があるのでは

 なくて!?」


一応、人通りの少ない路地裏で小声で

話し合ってはいるのだが……

妙な熱気を帯びつつヒソヒソ声で話し合う

その姿は、近寄り難いオーラのようなものを

発していて、


「となると、この出版先が問題ね」


「ご丁寧にちゃんと本に書いてあるわ。

 いくつかあるようだけど、一番古いのは

 シフド国で作られたみたい」


そこでテクスとエクシルは互いに顔を

見合わせると、


「そうなると―――

 次の調査先はシフド?


 でもあの、ナヴィという女神の身内は

 どうするのハァハァ?」


「接触は危険よ。二重の意味で。


 まずはどこからどうなって、このような

 逸品が生まれたのか……

 その原因を突き止めるのよグフフ♪」


そう言うと彼女たちはいったん本から

緩み切った顔を上げて、


「そうね。どうもこれ資金源だけじゃなく、

 人脈作りにも使われているようだし」


「より完璧な調査をして―――

 マファーダ様にご報告差し上げなければ……!


 じゃあ私はシフドに行くから、エクシルは

 グレイン国を探ってもらえないかしら」


すると二人は真顔に戻って、


「え? いやいや。

 そんな重要な調査をテクスだけにさせるのは

 ちょっと」


「いえいえ。

 これでもマファーダ様配下の四天王の1人

 これくらいは私だけでも―――」


「いやいや」


「いえいえ」


互いに任務を取り合っている二人の背後に、

ナヴィはすでに移動していて、


「何をやっているんでしゅか、あなたたちは」


「ひゃうっ!?」


「ぴゃいぃっ!?」


そこでマファーダの配下二人は地面を蹴って、

ナヴィの側から逃れる。


「い、いつの間に!?」


「さすがは女神・フィオナの部下。

 こうもやすやすと後ろを取られるとは。


 しかもあの距離で気取けどられるなんて」


身構えるエクシルとテクスに対しナヴィは、


「いや気配は結構前から感じていたん

 でしゅけどね。


 しょれが敵意ではなく、かと言って

 監視でもなく―――

 何というか、ねっとりとした視線が

 体中をめ回してくるというかでしゅね」


というナヴィの言葉に、二人は地面に転がって

身もだえ、


「あぁんこの舌ったらずな語尾……♪

 それがリアル声でこんな間近にぃ♪」


「あの本完璧過ぎるでしょコレは♪

 こんなところまできちんと再現するなんて」


「どうしましゅたか?

 病気でしゅか?」


戦ってもいないのに勝手に目の前で

身をよじって転がる魔族を前に、

さすがのナヴィも手は出せず、


「く……っ!

 と、取り敢えず退くわよ! テクス!」


「別の場所で落ち合いましょう、エクシル!」


急に正気に戻った二人は、それぞれ別の方向へ

身をひるがえしてその場を脱し、


「うみゅう……


 厄介しょうな相手でしゅね。

 いろいろな意味で」


無人となった路地裏で―――

ナヴィは独り言のようにつぶやいた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7146名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914

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