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02・生きて動いてりゃしょれでいいです

( ・ω・)水分摂取量が半端ない日々。


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主と思われる黒髪セミロングの、やや目付きの

悪い少女が、


カラスのような漆黒の羽を持った少女と、

和装に身を包んだ黒髪ロングのポニーテールの、

純和風少女と相対していた。


「あーねー、悪霊ちゃんがいるんだから、

 確かに今さら心霊とか恐怖映像とか

 言われてもねぇ」


「あたくしと比べられても困るのですが……

 それに、今まで幽霊らしい事なんて……

 みなさんに仕掛けた記憶は無いですよ」


9章30話、

【いえ、ずっと異世界ファンタジーでしたよ?】

の冒頭ネタで、女神とサキュバスが怖がって

いたという話をフィオナから聞いて―――

堕天使と悪霊が半ば呆れるように答える。


「そうですよね。

 本人のいないところで失礼しました。


 確かに幽霊らしい事なんて、する機会も

 無ければ、アタシたちにする理由も無い

 ですしねえ」


フィオナがウンウンとうなずきながら、

謝罪と共に考えを述べる。


「いえ、今の時代は時代で……

 幽霊らしい事をするお仕事もありますけど……


 オバケ屋敷、とか……」


「あー、それは何ていうか」


「天職そのものじゃないですか」


悪霊の言葉に、堕天使と女神が感心していると、


「ええ……

 特に、よく『かっぷる』がお客様でやって

 来るので……

 気合が入りましたわ……」


それを聞いて女神と堕天使は顔を見合わせ、


「え? 悪霊ちゃんってそういうキャラ

 でしたっけ?」


「意外というか何ていうか」


二人が驚いていると、彼女は妖しくクスクスと

微笑んで、


「だって……ねえ……

 『キャー♪ ヤダあ♪』とか、

 『大丈夫、僕がついているよ♪』とか、

 聞こえてくるんですよ……


 それを聞いたら……

 『……来い』

 『……来い……!』

 『……来い……!!』


 ってなるじゃないですかあ……♪」


「確かにそれは―――

 『ホットな気分を冷ましてやるぜえ!!』

 って気持ちになりますね」


「あーわかりますわかります」


同意するようにうなずく二人と、

賛同を得られて嬉しそうにする一人。

そんな三人の人外を少し開いたドア越しに

銀髪の少年・ナヴィが見つめ、


「何を話し合っているのかと思いましゅたら、

 この人たちは本当にもう。


 しゃて、そろそろ本編スタートしましゅ」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




「なるほど……


 バクシアでのフラールの奉公労働者解放と、

 ルコルアでの鉱山の一件―――

 ぱんつぁーふぁうすとさんの事は知られて

 いると見ていい、と」


グリーンの短髪と瞳を持つ少年……

第一眷属のアルプがナヴィの報告を聞いて

感想を口にする。


「そこまでわかるものなのですか?」


「人間であれば、神様が雷のような何かを

 使った、で終わりでしょうけど―――


 人ならぬ身の者なら、どういう物を使ったか

 まで、わかってしまうものでしゅよ」


アルプの母、ソニアの問いにナヴィが答える。


「しかし、もう二ヶ国を回っているんですか?

 調べるにしても、そんなに手勢がいるなんて」


シルバーのロングウェーブの髪を持つ、

第三眷属の妹であるメイが疑問を呈すが、


「いえ、この国にも来た気配がありましゅたよ。


 しょれに、各国を回ってみたところ……

 どうも気配は多くて2・3といった感じ

 でしゅね」


「それくらいしかいないんですか?


 まあ、ナヴィ1人に各国を回ってもらっている

 アタシが言う事じゃないですけど」


従僕の言葉に女神が驚きつつも納得する。


「一応、それらの事は―――

 ポーラさんやボガット夫妻、

 あとファジー君・ミモザさんとも連携して

 情報共有してましゅので。


 限理神・マファーダの手下は多分その後、

 マービィ国やオリイヴ国、序列上位国にも

 調査の手を伸ばすと考えられましゅ」


「フィオナ様が救済のためにめぐられた

 国々ですね。


 でも、この国にも来ていたなんて……

 僕、全然気付きませんでした」


アルプの言葉に、ソニアとメイもうなずく。


「まあ、フラールはこことビューワー伯爵の館、

 あとはバーレンシア侯爵の代官館くらいしか

 調べるところは無いでしょうから―――

 しょんなに時間はかけなかったかと。


 しばらくはいきなり襲撃とかはないで

 しょうから、フィオナ様。

 あのトラップよりも数段落とした、

 防犯用のものとか作ってみてもいいんじゃ

 ないでしょうか」


まだ時間はある、という前提で……

ナヴィは女神に提案すると、


「そっそうですね。

 それに多く作っておけば、各国の眷属や

 協力者を守るために渡す事も出来ますし。


 じゃあちょっとやってみましょう」


フィオナは立ち上がると、そのまま外へと

駆け出し、


「じゃあ私は何かやらかさないか見張り、

 もとい念のため護衛してきましゅので―――


 アルプ君たちは留守番をお願いしましゅ」


「は、はい」


人間組はそれ以上は何も言えず、大人しく

女神主従の帰りを待つ事にした。




│ ■ミイト国・首都ポルト  │




「う~む……」


人通りの少ない裏路地で―――

外見上は普通の人間の女性になっているが、

正体は限理神・マファーダの配下である、

テクスが両腕を組んでうなる。


「どうかしたの、テクス」


同じく配下のエクシルが、そんな彼女に

聞き返すが、


「女神・フィオナと行動を共にしている

 有力な財閥……

 トーリ家があるんだけど。


 その従者は少年―――

 で合っているのよね?」


「そんな事聞かれても。

 それを調査したんじゃないの?」


エクシルの聞き返しに、テクスは再び

うなり始め、


「そーなのよ。

 そーなんだけどぉ~……


 足跡とか痕跡を辿たどって、関係した人々の

 記憶を読んでみると―――

 なんかごっちゃになっているようなのよねぇ」


するともう一方の配下も悩み始め、


「あー、あなたも?


 こっちもルコルアをちょっと調べて

 みたんだけど……

 第二眷属のファジーってコ?


 ラムキュールの館に潜入した事があるっぽいん

 だけど、そこだとメイドの女の子なのよ。


 認識阻害でもかけていたのかしら……」


エクシルもまた、自分が集めた情報に対して

困惑していた。


まさか関係者が趣味と実益を兼ねて、

従者や眷属を女装させていたとは知らない

彼女たちは、動揺を隠せないでいた。


「マファーダ様が渡してくださった情報に

 齟齬そごがあるのかしら」


「とはいえ、あの方が女神やその仲間に

 会ったのも、わずかな時間でしょう。


 私たちのするべき事は―――

 今一度調べ直し、完璧な情報を

 マファーダ様に報告する事よ」


そして二人は互いにうなずくと、その姿を

瞬時に消した。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




一方その頃、女神の主従は……


「こりぇは何でしゅか?」


「はい!

 対戦車地雷では被害が大き過ぎると

 思いましたので―――


 爆発する方向に指向性を持たせ、

 被害を最小限に抑えてみました!」


新たにフィオナが作ったトラップを見て、

ナヴィは軽くため息をつき、


「さすがは軍神・ユニシス様の娘でしゅね。


 ですが今回は防犯レベルでお願いしましゅ。

 捕らえるとか気絶させりゅとかで」


「ん~……

 そうなると電撃によるショックとか

 ですかね?」


それを聞いたナヴィは首を振り子のように

ニ・三回斜めに振ると、


「もう相手が生きて動いてりゃしょれで

 いいです」


「ちょっと!?

 投げやりにならないでください!!」


果樹園の一角で、女神の叫び声が響いた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7121名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894

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