15・作戦会議
火曜日深夜(水曜午前0時代)・
金曜日深夜(土曜午前0時代)の
更新が定期的になってきたような気がする。
このペースがいつまで守れるか・・・
「牛乳を2週間以上放置して、
別の乳製品に変えた事のある人手をあげなさい。
ようアタシ」
「素直に自白するのは結構な事ですが、
冒頭からいきなり自爆されると手の打ちようが
ねぇんだよナヴィです」
日本、とある都心部のマンションの一室。
そこに住む女神・フィオナと
お目付け役兼サポート役の猫・ナヴィが
いつもの会話をスタートさせていた。
「しかし、味付けが壊滅的なのかと思ったら
素材の管理からですか……
ここはいったん、冷蔵庫の中の食材を整理した方が
いいかも知れません」
「じゃあアタシが渡しますから、
ナヴィは判別してくれますか?
それじゃこれから、カボチャと」
「はい、カボチャと―――」
フィオナが手渡すと、ナヴィは猫の姿のまま
器用にそれを両手で受け取り、並べるように
横に置く。
「ナスに……」
「はい、ナス」
「キャベツ、ダイコンと」
「キャベツ、ダイコン―――」
「スライムと」
「スライムと―――
待て。
待て」
「?? 何か問題が?」
「何か問題が? じゃなくて問題しかねぇんだよ。
異世界生物を食材にしないでください。
とにかく、本編入りましょう」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家・食卓 │
「……えーっと……」
アンカーに相談する人を託したフィオナは、
アルプの家で困惑した声を上げる。
>>400
【 1:バートレット 】
>>410
【 2:バーレンシア侯爵 】
「バートレットしゃんはともかくとして―――
バーレンシア侯爵でしゅか……」
とにかく、アルプと神託を繋ぎ、
時間を置いて話し合う事になった。
│ ■バクシア国・首都ブラン │
│ ■ボガッド家屋敷 │
「ミモザさん、ファジー君に続いて―――
今度はその2人を、『枠外の者』から
手を切らせたいと……
それをバートレットさんに?」
「お話はわかりました。
しかし、フィオナ様のおっしゃられる事に
異議を唱えるつもりはありませんが―――
私ではなく、商売慣れしている人間の方が
いいのではないかと」
その日の夜半―――
アルプを通じて、母親であるソニア、バートレット、
マルゴット、ローン・ボガットがまた相談のために
集まっていた。
「それに、もう1人……
バーレンシア侯爵というのは、その。
結構、融通の利かない方なんですよ?
彼と相談するというのは」
反対、とまでは言わないものの―――
彼らの戸惑いと困惑は隠しようもなく。
ただ1人をのぞいて。
「確かに、不安はあると思います。
でも―――
今までも、フィオナ様は常に正しい結果に
導いてくださいました。
僕は―――フィオナ様の言う事に従います」
「アルプ……でも……」
「ソニアさん、心配する気持ちはわかるが―――
あながち、見当違いという訳でもないと思う。
いずれ、そのソルトとトニックとやらの2人は
フラール国代官、バーレンシア侯爵の耳に入る
だろう。
ならばその前にこちらから彼に伝えれば、
ある程度状況は制御しやすい」
「そういう考えもありますか。
となれば、後はどのようにバーレンシア侯爵に
話を持っていくか―――」
「あの、フィオナ様。
そのソルトさんとトニックさんの扱いというか、
どうすればいいとお考えですか?」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家・食卓 │
「んあ?」
「俺たちの事?」
マルゴットから唐突に話を振られた
ソルト、トニックは、意図しない質問に
戸惑う。
「はい。今後どのように貴方たちを扱えば
いいのか―――
何か希望とかありますか?」
「(相手希望という名の丸投げですね)」
「(い、いいんですよ。
意見を聞くだけ何ですから)」
「いや、俺たちに選択肢なんてあるとは
思ってないけど……」
「見逃してくれるだけでも御の字なんだ。
どんな事でも従うよ」
│ ■バクシア国・首都ブラン │
│ ■ボガッド家屋敷 │
「(と言っているんですけど)」
「うーん……それなら2人とも、
私の下で働きませんか?」
「マルゴットのところで?」
「私たちは、『枠外の者』に対抗しています。
情報も広く集めているんです。
『枠外の者』の下で働いていた事のある人―――
それも情報屋なら、貴重な戦力になるでしょう」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家・食卓 │
「どうしましゅか?」
「どうするって、なあ―――トニック」
「依頼に失敗して捕まったような情報屋で良けりゃ、
世話になるよ」
│ ■バクシア国・首都ブラン │
│ ■ボガッド家屋敷 │
「話はまとまったようですね。
では―――次は、どうバーレンシア侯爵に
話を持って行くか、それを話し合いましょう」
「そうじゃな。
それなら、ワシとビューワー君とグラノーラさん
だけでいい。
アルプはもう寝なさい。
ソニアさん、よろしく頼むよ」
「わかりました、お義父様」
「ふぁあ……ふぁい……」
「あらあら、お風呂がまだでしょう?
ちゃんと入ってから寝なさい」
その後、祖母であるクレアが迎えに来て―――
2人はお風呂場へと向かった。
「さて、話の条件をまとめてみよう。
・ソルト、トニック両人の件を穏便に済ませる事。
・ラムキュールも見逃す事になるが、今回は痛み分けに
とどめておく。
そして―――
・バーレンシア侯爵にこの条件を納得してもらう」
「最後が一番難しいと思われますけど……」
「確かに、職務に対して真面目な若者という
印象を受けるが、アルプの取り分を1割に
するという人情も持ち合わせておる。
法には厳しいが、ワシからのお願いとも
申し出れば―――
それなりに配慮はしてくれるじゃろう」
「よろしいのですか?」
「こういう時のために恩は売っておくものだよ。
―――もしや、この展開もフィオナ様の
手の平の上の事かも知れんしな」
「あ……」
「多分―――こちらが聞いても『偶然です』としか
言わないんでしょうね。
ご期待に添えるよう、全力を尽くしましょう」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家・食卓 │
「では、神託も閉じたしそろそろ
お風呂に入りましょうそうしましょう
ファジー君はちゃんとアタシが身も心も
洗って差し上げますので―――」
「い、いやだからさ……
別にファジーはそこまで子供じゃないって。
それに、いくらここのお風呂がそこそこ
広いからって3人じゃ」
―――その頃、彼らの信奉する女神は―――
―――いろいろと乗り気であった―――
「仕方ありません。
ではナヴィと入るしかアタシに道は残されて
ないようですね」
「2人1組でなけりぇば入りぇない理由は
無いでしゅよね?
そりぇなら、私とファジー君が一緒に入って、
フィオナ様とミモザしゃんが一緒に入れば―――」
「バカな! アタシの孔明が……!」
「ほかに しゅることは ないのでしゅか?」
女神の欲望をお目付け役は華麗スルーし―――
夜は更けていった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在1278名―――