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29・そりゃそうでしゅよ当事者

( ・ω・)暑さ、ピークを過ぎたかな(渇望)


日本・とある都心のマンションの一室―――


リビングで床にうつ伏せになる家主の少女を、

銀髪の少年が見下ろし、


「どうしたんでしゅかフィオナ様?

 部屋の中でヘッドスライディングの練習

 でしゅか?」


「いや何のための練習よ。

 ただ絶望して倒れていただけ。


 この時のために溜めておいたポイント、

 全て水着ガチャに突っ込んだのに、

 お目当ての物が来なくってぇ~……」


端末を手にしたまま、女神は姿勢を起こして

座る。


「まあいつも通りと言えばいつも通りでしゅが。


 ていうか、すでにリアル夫(予定)の

 アルプ君ががいるんでしゅから、

 彼に着てもらえばいいのでは」


目付きの悪い黒髪セミロングの女神は、

その目を大きく丸く見開いて、


「いや、まあ?

 結構きわどいのも購入済みなんですけどね?


 こんなのとかこういうのとか」


「ほとんどヒモに近いものもあるんでしゅね。

 本当にこれ水着なんでしゅか?


 こんなものをアルプ君が身に着ける姿が、

 ちょっと想像出来ないのでしゅが……」


フィオナが取り出した水着類を手に、ナヴィは

いぶかしむ目で見つめるが、


「いやいや。

 それを見て恥ずかしがったり、もどかしく

 身に付ける姿を鑑賞するまでがワンセット

 でしょー」


「ある意味そのブレ無さは敬意に値しましゅ。

 もっとも尊敬までは出来ましぇんが。


 それではそろそろ、本編スタートしましゅ」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「はー疲れた……」


「お疲れ様です、レンジ様」


応接室らしき広い部屋で―――

バーレンシア侯爵がゆっくりとソファに

腰かけると、婚約者であるレイシェンが

ねぎらいの言葉をかける。


あの後、ミイト国で合流した一行は……

いったん解散する事になった。


トーリ財閥の姉妹、シンデリンとベルティーユは

そのまま屋敷に従者のネーブルと共に残り、


ビューワー伯爵・マルゴットはフラールへ、

ミモザ・ファジー姉弟はそれに同行して

アルプの果樹園に戻った。


カガミはオリイヴ国の獣人族の村へ、


またその後、『女神の導き』にもこれまでの

情報を伝えに行く事になっている。


「やっぱりバクシアとしては、大々的に

 お披露目をしたいようですな」


「まあ仕方ないかも知れませんね。

 序列上位国すら『勇者』を輩出した事は

 ありませんから―――」


ボガッド家の現当主であるローンと、その妻

クレアがうなずきながら語る。


「この世界に勇者っていなかったんですか?」


女神が問うと、日焼けしたような褐色肌の

少年が、


「そりゃ、伝説やら伝承やらではいたと

 思うけどさ」


「シモン君の言う通り……

 おとぎ話の世界ですからね」


彼と深い仲になったポーラが続く。


「コザイ国でも、魔王の復活と同時に

 勇者降臨(こうりん)―――

 というお話でしたよね」


第一眷属である緑の短髪の少年、アルプが

補足するように語り、


「グレイン国の2人……

 マイヤー伯爵とガルディ騎士団長も―――


 タイミングや前後はともかくとして、そういう

 伝承があるとお話していましたから」


第三眷属の妹であるメイも、夫(予定)である

彼の話を確認するようにうなずく。


「まあ限理神・マファーダとやらも、

 フィオナ様のご両親が出てくれば敵ではないと

 思うのでしゅが。


 ただ向こうもそれを承知で姿を現したと思い

 ましゅので……

 引き続き警戒は必要でしゅね」


ナヴィがやや強引に話をまとめ、一段落する。


「確かに、パパとママにも相談済みですから、

 何かあればすぐ来てくれると思うんですけど。


 いくら神託地域や世界が異なるといえど、

 今回ばかりは関わりがある事ですからね」


女神の説明に、周囲はただ黙ってうなずく。


「問題は、いつまで大人しくして

 いるかだが……」


この屋敷の主人がボソッと懸念けねんをつぶやくが、


「まあ、すぐには動かないんじゃないかな?

 僕もあの場にいて、限理神とやらを

 見ていたけど……


 かなり困惑していたようだからね。

 であれば、次の手は現状把握。

 よほどのバカじゃない限りそう動くんじゃ

 ないかな?」


「わたくしもそう思います。


 思うに、フィオナ様のご両親との因縁らしい

 ですから―――

 かなり長期的に潜伏していたのではないで

 しょうか?


 状況がわからないのであればレンジ様の

 言う通り、まず情報収集すると考えるのが

 自然でしょう」


バーレンシア侯爵に続いてシッカ伯爵令嬢が、

今後の動きを予想する。


「ふみゅう。

 となると、今までフィオナ様がいた国が

 対象となりましゅか」


「そうねー。まさか天界や地球まで

 押しかけては来ないでしょ」


女神の主従コンビの発言に、屋敷の老夫婦が、


「しかし、マファーダとやらは単体で出現

 したのでは?


 そうなると調べるのも手間だと思うが……」


「あなた、部下がいるかも知れませんよ。


 それにその時復活したのなら―――

 今頃かつての手下も呼び寄せているかも」


その言葉に周囲もウンウンとうなずく。


「そうなると……


 フラール、ルコルア、バクシア―――

 マービィ国にオリイヴ国、コザイ国……」


「序列上位の三ヶ国にも当然派遣しているで

 しょうね」


シモンとポーラが調査対象について述べ、


「部下が何人いるかわからないけど、その調査が

 終わるまで結構時間はかかるだろう」


「その間に対抗策を考えませんと」


侯爵と婚約者が今後の方針について話す。


「どうします、フィオナ様?」


「うぇえっ!? アタシ!?」


「そりゃそうでしゅよ当事者」


アルプの問いに女神が驚き、そしてナヴィが

間髪入れずにツッコミを入れる。


「ほ、ほら。

 またあの人たち? 存在?


 『あんかー』っていうのに頼んでみたら」


メイの提案に、全員の注目が集まった。




│■フラール国・バクシア国代官館(改3)│




「……さて、と。

 調べた情報では、ここが女神の一番の

 協力者にして、有力者がいる館のはずだが」


限理神の眷属の一人・テクスは、フラールの

バーレンシア侯爵の拠点である代官館へと

やって来ていた。


「しかし何だここは。

 ずいぶんとエンゲル係数の高そうな

 建物だな」


ややグレードの高くなった野戦病院のような

外観を彼女が見ていると―――

そこへ住人らしき農民たちがやって来て、


「侯爵様はまだお戻りにならないのか?」


「バクシアへ戻っているらしい。

 噂じゃ、魔王だか邪神を退けたって事で、

 『勇者』様の称号を受けるんだとか」


「そりゃまあまた、とんでもない事を

 やってのけたもんだ。


 だがあのお方なら、それくらい何でも

 ないかも知れん」


テクスは情報収集に徹するため気配を消す。


コザイ国での一件はすでに彼らの耳にも入って

いるらしく……

彼女はその会話に集中する。


「野菜は受け取ってもらえるのか?」


「ああ、行けば使用人の人が保管してくれるぞ。

 ただ保存の効くものの方がいい」


「そうだなあ。

 あの人、ここに来た当時から食事が

 不安になるほどの生活だったが……


 今でも受け取ってもらえるって事は、

 きっと質素な生活をなさっておられるの

 だろうな」


マファーダの部下である彼女はその話を

記憶に入れていき、


「おおよそ情報通り、か……


 バクシアに行っているエクシルと、

 後で情報をすり合わせておこう」


気配を遮断していた彼女は、今度はその身を

別の場所へと移した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在7079名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894

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