28・俺が狙っている神々の娘がこんな駄女神であるはずがない
( ・ω・)限理神・マファーバの名前を
マファーダに変更(ファーバという商人が
いるので紛らわしいから)
日本・とある都心のマンションの一室―――
家主と思われる目付きの悪い少女が、
その目をさらにとがらせながら、
目前の同性と対峙していた。
その少女は顔の片方を黒い長髪で隠すような
髪型で、半分になった表情で口を開き、
「う~ん……
確かにワタクシは邪神ですけど、
そういうのは聞いた事無いです。
滅された時に何らかの方法で、どこかで
復活する仕掛けを施していたとか―――」
「邪神ちゃんだったら出来る?
そういうの」
話題になっているのは、限理神・マファーダに
ついてで……
フィオナの問いに、邪神と呼ばれた少女は
両腕を組み、
「同じ世界ならまあ?
ただ、フィオナ様のご両親でしょう?
多分ワタクシだと完・全・消・滅まで
やられてしまうと思います」
軍神の父と、時と成長を司る母―――
改めてその実力を評価され、女神は少し
照れて頭をかく。
「でもまあ、別世界へ転生というか移動して
しまえば……
完全復活よりそちらの方が、まだ望みが
あると言えるかも知れませんね」
「あっはっは♪
異世界転生ものじゃあるまいし、
そんなチートじみた事があってたまりますか」
その言葉に邪神は眉間を人差し指と親指で
つまんで、
「失礼ですがフィオナ様。
今あなたが信仰を集めている世界って
どこでしたっけ?」
「そういえばそうだった」
「めっちゃ素直に受け入れてますね」
そこで二人はいったん間を置いて、
「しかしまあいくら何でもねー。
神様とはいえ別世界へ行ってどうこう
出来るとは思えないんですけど」
「すでにフィオナ様、あちらの世界で
複数の国にまたがってご活躍なされて
おりますよね?」
「そういえばそうだった」
「めっちゃ素直に受け入れてますね(二度目)」
そこへ、従僕である銀髪の十一・二才くらいの
少年がお茶とお菓子を手にして姿を現し、
「まあ成り行きとはいえ、果樹の女神が
成し遂げていい事ではない事をやって
のけておりましゅからね。
しょれではそろそろ本編スタートしましょう」
│ ■ミイト国・首都ポルト │
│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷 │
「そ、それでは―――
バーレンシア侯爵様が邪神を退けられたと」
「やるじゃん。
さすが勇者様!」
ミイト国に戻って来た女神一行は、事の顛末を
ミモザ・ファジー姉弟に報告し、
連合各国は侯爵に『勇者』の称号を正式に
認めようとしている事、
またそれを理由に、堂々と支援を受ける事が
期待出来る事などを共有した。
「ははは……
まあ成り行き上仕方なく、そういう事に
なってしまってね」
「ですが、国家の支援があれば―――
今まで以上に『枠外の者』、『新貴族』は
手出しをしにくくなるでしょう」
侯爵と婚約者のシッカ伯爵令嬢が現状を語り、
「問題は、限理神・マファーダの狙いと、
今後どう動くかが予想つかないという
事なんですよね」
「パニックになるのを恐れて、その部分は
各国の上層部止まりで……
かん口令が敷かれましたから」
次いで、ビューワー伯爵とマルゴットが
懸念を話す。
「でも、フィオナ様を狙っているというのは、
間違いないんでしょう?」
不安そうに、女神の第一眷属であるアルプが
口を開く。
「そうでしゅねえ。
ただあの時、多分マファーダとやらも
混乱していたと思うんでしゅよ。
『俺が狙っている神々の娘がこんな駄女神で
あるはずがない』
というラノベのタイトルみたいな感じで」
「これ以上は無い的確な指摘でございますが、
もう少し手心というものを加えて頂けないで
しょーかっ!?」
女神の従僕の言葉に思わずフィオナは反発し、
周囲はまたどうしていいかわからない反応を
見せる。
「でもでもぉ、その件はフィオナ様のご両親に
報告済みなんでしょ?」
「そうなんですけどね。
ただ2人が相手した魔王やら邪神やら、
数が相当多いらしくて。
だから今、調査中なんですよ」
カガミが空気を読まずにツッコむが、この時
ばかりは有り難く女神が返す。
「でも問題はこれからですよね。
各国から勇者一行と認定されたら―――
好き勝手に動けなくなるんじゃ」
メイが話を本題に戻すと、トーリ財閥の姉妹が、
「その心配は無いと思うわ。
一応、正式に勇者認定はすると思うけど、
大々的にその限理神とやらが動く気配が
出て来るまでは、静観するはず」
「……私もそう思う……
今のところ、各国に入国した際にいろいろと
便宜を図る……
くらいに落ち着くと思う……」
シンデリンとベルティーユに続き姉妹の従者が、
「そういう意味では、何かが起きるまでは
私たちを自由にさせておくでしょう。
逆に考えれば、限理神・マファーバに
対抗するためという名分があれば―――
これほど制限なく動ける理由はありません」
ネーブルの説明にみんなが納得したように
うなずき―――
ひとまず待機という名の休憩に入った。
│ ■コザイ国・某所 │
「うぬぅ……
あの娘が忌まわしき軍神と、時と成長を司る
女神の子供だと……?
未だ信じられぬ」
限理神・マファーダは、あの遺跡から一時
撤退したものの―――
その身はまだコザイ国に留めていた。
洞窟のような場所に身を潜め、限理神は
思考する。
「とにかく、我のみでは満足に状況も
つかめん。
我が配下を復活させ、各国にあの女神の
足跡を追わせるのだ……
ユニシスとアルテリーゼの血を引く娘、
果樹の豊穣以外に、何かあるはず……!」
そしてマファーダは儀式に扱うような
祭壇の前で、何やら唱え出し―――
「……出でよ、我が眷属にして四天王よ!
招きに応じ我が意に従え……!」
その言葉が終わると同時に、限理神の前に
四つの影が現れた。
「マファーダ様―――」
「ついにご復活なされましたか」
「我ら四天王、この日を心待ちにして
おりました」
「軍神・ユニシス……
そして女神・アルフリーダ……!
この二神に報復する時が来たのですな?」
それぞれが悪魔的な角と翼を持ち、
男女と思われる者が二名ずつ―――
跪いてマファーダに首を垂れる。
「よくぞ来た。
フォルド、ワーダー、テクス、エクシルよ。
今から貴様らに命を下す」
「「「「ハハ……ッ!!」」」」
そのままの姿勢を崩さない四人に対し、
限理神は、
「まずはフォルド、ワーダー。
お主ら2人はひとまず結界を張ってみよ。
我が周囲、そうだな……
それほど広くなくとも良い。
しかし強力なものにするのだ。
異界の侵入すら許さないほどにな」
「「ハッ!!」」
男性と思われる二名が答え、
「そしてテクス、エクシル。
この世界に現れた―――
ユニシスとアルフリーダの娘、
フィオナという女神を調べよ。
今、我が記憶から情報を渡す。
そしてその娘がこの世界に来てから
何を成したか調べてまいれ」
「「仰せのままに」」
命に対する答えと同時に―――
四天王の姿はその場から音も無く消えた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在7063名―――
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